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新型コロナウイルス対応にみる危機管理

 寺村浩平選手の新型コロナウイルス罹患について、いわきFCは8日、会見を行った。会見を生中継で観ながら、クラブが行政の記者会見とほぼ同時に情報を公開した意義や意図について改めて理解することが出来た。同時に、クラブの危機管理と情報公開に関するスタンス、地域に対する思いというものを強く感じることが出来た。寺村選手の罹患というマイナス要素を補って余りある2日間の動きだったと感じた。

素早いSNSでの情報公開 

寺村選手の新型ウイルス罹患の情報は、7日夜にもたらされた。サポーターのグループLINEでも大騒ぎとなった。これは選手名特定とか、SNSが荒れるな…と思った矢先の午後8時に、選手名や行動歴、今後の対応などをwebサイトで発表した。その直後の午後8時12分にはTwitterでも大倉智代表取締役がコメントを発表した。

いずれも行政の記者会見から間髪入れずに行われたことで、いわゆる「犯人探し」や犯人探しに伴う「間違った情報」が拡散されることなく、初期の混乱が終息したように見えた。結果として情報公開の迅速さが、罹患した寺村選手本人をきちんと守ったと言える。そして同日午後10時50分過ぎには、webサイトと大倉代表のTwitterで翌日午前10時からの記者会見が発表される。

記者会見で直接語りかけることの重要性

記者会見は8日午前10時から、おそらくいわきFCパークで開催された。
異例のことだが、会見はYou Tubeで実況中継された。メディアとしては(特にテレビメディア)は自社ニュースのバリューが下がることから、独自配信などを嫌がる傾向にあると思うのだが、そこはいわきFC、しっかりとYou Tubeで配信してくれたのは、全体を見るのに非常に有り難かった。また、会見後の同日中に、クラブが会見要旨をwebサイトで発表したのも、いい試みだと感じた。

会見を振り返ってみて、記者会見や素早いリリースなどはこの部分があったからではないかと感じたのが、以下の引用部分だ。

選手が「物流センターで働いているのでは」、また「地元の温泉旅館に宿泊しているのでは」というご心配の声も一部聞こえましたが、今年から選手は物流センターでの業務はしておりませんし、住まいも全員がそれぞれの自宅を持っておりますので、現在はそういった心配もないということを最初にお話しさせていただきます。

新型コロナウイルスもさることながら、いわきFCを取り巻く空気の中には、クラブに対する批判的な声があるのも事実。そういった声を払拭するには、きちんとした対策や事業をしっかりと情報発信していくことが何より重要だ。今回クラブは①素早く②偽りなく③積極的に情報公開を行ったことで、寺村選手を守り、かつ不確実な噂が出るタイミング前にネット上の混乱を終息させることが出来た。会見も含め、危機管理と情報発信のあり方に「見事でした」と言わざるを得なかった。

引き続き、万全の対応を

会見やリリースから、クラブがきちんと対応を執っていたことも、寺村選手がほとんどの時間を家族と過ごすなど、批判されるべき部分はないことが十分に分かる。勿論、新型コロナに罹患した人のほとんどが何ら責められるべきではないのだが。したがって、今後クラブには引き続き選手、スタッフの安全確保を更に進めていただきたいし、寺村選手には「当然のことながら」、何ら臆することなく笑顔でフィールドに戻ってきてほしいと思う。

最後に会見中の記者からの質問について、個人的な感想を。
何十回、何百回と会見に出席してきたが、今回の質問は非常に穏やかなやり取りだったと思う。誰が悪いという案件でないのは明らかだっだし、厳しく何かを追求するものでもない事案のため、事実確認がほとんどで荒れる要素もなかったと個人的には思った。総じていい会見だった。間違ってはならない為、何度も確認を繰り返したり、時にきつい表現になる場合もあるけれど、それは間違った伝え方をしてクラブに迷惑をかけない為。しっかりといい関係を保っている会見だったと自分は思っています。


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