Keita's talk その408 写真と絵画


 ある方の投稿を見て気になった。

 カメラは絵画の下絵を描く道具がそのスタート。

 そんなこともあり関係が深いと思われている。

 確か、ブレッソンは元画家、写真家、そして画家という経歴だったと思う。

 写真を学ぶときの構図などにもその関係性は見て取れる。


 個人的には似て非なるものと考えている。絵画は基本的に1枚で完結。確かに写真もコマーシャルや多くのコンテストでは1枚で完結となる。

 1枚で見せるために大切なのはその完成度。そこにどれだけのメッセージが込められているか?何を伝えようとしているのか?そんなことに重きを置かれる。

 それは、テーマやステートメントという言葉でさらにその重要性が語られる。

 これについて異論はない。


 しかし、絵画と絶対的に違うには写真はシャッターを押す瞬間にその世界が完結すること。

 絵画は後から加えることもデフォルメすることもできる。それだけ1枚の完成度も高くでき、構図などの重要性が増す。

 確かに写真でもそれは可能で、デジタルになってからはさらに容易になった。フィルム時代、その多くはコマーシャル領域でのことだと思われてきたことが、デジタルでは、作品仕上げの手段になったと思う。

 そう考えるとデジタルで写真に新たな表現が加わったともいえる。

 絵画でも様々はジャンルがあるのと同じような感じだと思う。宗教画から写実主義、印象派などなど、ひと言で絵画といっても様々な表現方法がある。

 写真も同じように様々な形態があってよいのだと思うし、それはある。


 写真と絵画が絶対に違うのは、絵画には鉛筆画のデッサンという基本があること。これをやらずに画家になることはほとんどないと思う。写真は絶対に通らなければいけない基本というのが弱い。

 それでも絵画と決定的に違うのは数枚の写真を組み合わせる組写真の存在。その中でもフォトストーリーという物語を伝える考え方は絵画の中に見ることはできない。連作ともちょっと違うというのが個人的な意見。

 イラストや漫画の世界に近いのかもしれない。

 そして、物語を作る組写真は俳句や短歌という日本古来の文化により近い気がする。そこには1枚で全てを伝えるだけでなく想像力に訴えかける世界がある。

 それは、1枚の完成を目指すだけではなく、可能性を広げる世界。

 まぁ、その違いを論じるより、何を伝えるために何を使うか?そんなことを考える方がいい気がする。


 写真も絵画も結局は表現の手段でしかない。と、思う。



 また、次回

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