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# 216-N_怪談:コインパーキング(目黒、東京)

  • 形式

    • 遠隔で制作

  • 入り時間

    • N/A

  • 出演者

  • 概要

    • 民話などが持つ社会的な機能に焦点を当て、情報技術環境を扱った制作を通じて、現代においてありえるその姿を考えるアーティストが本展会期中に遠隔で制作を行なう。



時系列表

2021年

12月20日
島影圭佑、展覧会への出演を内田聖良にLINEにて打診。展覧会名、会期、会場などを伝える。後日、オンラインで打ち合わせをすることに。

2022年

1月4日
打ち合わせの日程をLINEにて調整。

1月11日
1月14日の18:00からで確定。

1月14日
打ち合わせ当日。お互いに事前に資料を送りあう。島影は展覧会の現状の企画書を、内田は最近の自身の実践を整理した作品集を共有。6時間ほどオンラインで打ち合わせ。

1月18日
内田、今回、出展する作品の前身になる作品の映像を島影にLINEにて共有。 〈バーチャル供養堂 Virtual Home of Mementos (VMH)〉 、 〈バーチャル供養堂(青森県、青森市) Virtual Home of Mementos (Aomori, Aomori)〉 の二点。またウェブ上でアクセスできるバーチャル供養堂のVR空間も共有。最後に想定される解説文の叩きも共有。

1月22日
内田、自身が登壇するオンラインのトークイベントを島影にLINEにて知らせる。

1月24日
島影、内田から知らせてもらったトークイベントのアーカイブを視聴。今回の具体的な展示のイメージについて内田にLINEにて聴取。

1月25日
内田、前日の島影の質問に対してLINEにて回答。1月18日に内田が島影に共有した二つの映像を展示する対象にし、それに加えて本展を機会に新たに制作される映像を展示する案が出る。

1月26日
1月18日に内田が島影に共有したVR空間の扱いについてLINEにてやりとり。URLからQRコードを生成して展示空間にどのように設置するかなど議論。

1月31日
内田、映像の制作にあたって、本展会場の周りの環境や、駅から会場までどのようにいくかなどを島影にLINEにて聴取。島影、本展会場の周りの環境についてLINEにて報告。具体的には周辺は閑散としていること、会場の目の前にコインパーキングがあること、近くに大学のキャンパスがあることなどを報告。また1月8日に実施した非公開ワークショップ「サンポマスター」の記録映像を周辺の状況について伝えるものとして共有。最後に中目黒駅から会場までの道中に印象的な建物があることを報告。

2月1日
映像の内容についてLINEにてやりとり。

2月5日
内田、島影に以前共有された会場の図面データを見ようと思ったが、アクセス権がないことに気づき、島影にLINEにて報告。本件、島影対応。また空間の構成や、映像を再生するiPadやそれに接続されるヘッドホンの設置場所や設置方法など内田に打診。

2月7日
映像に加えて、会場に設置する物理的な造形物の可能性に関してLINEにてやりとり。やりとりの中で賽銭との類似性からコインパーキングのコイン入れに着目しはじめる。

2月12日
村山雄太、内田の展示物の設置作業をする。iPadを吊るすケースの制作やワイヤーを使った天吊り作業などを行なう。当初、会場内で複数の映像の音が鑑賞し合うことを懸念し、観賞用のヘッドホンを用意していたが、最終的にiPadのスピーカーから映像の音を出す形となる。1月18日に内田が島影に共有した二つの映像がループで再生されることとなり、内田の映像作品の音が会場の基本の環境音となる。

2月14日
展覧会開始。

2月15日
内田、映像の制作にあたって、会場目の前のコインパーキングの写真や映像を島影にLINEにて依頼。島影、自身のiPhoneにて対応。印象的な部分を写真で撮り、コインパーキングの全体像を長回しの映像で撮る。この際、内田からコインパーキングのコイン入れの写真をと依頼内容に書いてあったが、島影、その箇所を読み飛ばしてしまう。また中目黒駅から会場までの道中も同じくiPhoneで長回しで撮影し共有。内田、島影から共有された写真や映像を観て、コインパーキングのコイン入れが青色であることを確認、島影に報告。

2月21日
内田、自身が書いた「話」を島影にLINEにて共有。

むかしむかし、あるところに、水色のコインパーキングが、ありました。
この、コインパーキングは、かつて、黄色でした。

黄色のコインパーキングに、マキシマがやってきました。
マキシマは、このコインパーキングの常連でした。マキシマには雛人形と住んでいる赤い屋根の自分のおうちがあるのですが、雛人形が、マキシマが稼いだお金で借りている家の周りのカエルがうるさいとか、文句ばっかりで、うんざりしていたのです。
マキシムは雛人形に仕事が忙しいといいました。雛人形は「がんばってね」と言いました。
「今日は大丈夫」
コインパーキングが言いました。
「そうなの?」
マキシマは一晩を過ごしました。
次の日曜日、マキシムは今日も、雛人形に仕事が忙しいといいました。雛人形は「がんばってね」と言いました。
コインパーキングが少し青みがかかってきました。
さらに次の日曜日、マキシムは今日も、雛人形に仕事が忙しいといいました。雛人形は「がんばってね」と言いました。
「今日は大丈夫よ」
「そうなんだ」
マキシマは一晩を過ごしました。
コインパーキングはさらに青くなってきました。
「今日は大丈夫よ」
「そりゃいいね」
マキシマは一晩を過ごしました。
コインパーキングは完全に水色になり、口から請求書を吐き出しました。
請求書は、風に乗って雛人形の赤い屋根の家まで届きました。

雛人形は真っ赤になり、お腹から火が出て家の車庫をつぶしてしまい、コインパーキングは完全に水色になりましたので、もう、マキシマは家に帰ることはできません。
マキシマは言いました。
「ここは、針のむしろです」
帰る場所のなくなったマキシマはいまでも青いコインパーキングにとまって、お金を払いつづけているんだって。
これが、コインパーキングの生きるやり方なんです。
だから、コインパーキングにはたくさんの車が止まって、コインパーキングの怒りに触れないように、すぐに退散するんですね。

これは、つい最近聞いた、本当の話なんですよ。

2月21日
内田、映像制作にあたり、島影にLINEにてコインパーキングのコイン入れの写真や映像などの撮影を追加で依頼。作品名についてやりとり。

2月22日
引き続き、作品名についてやりとり。

2月23日
島影、会期中の催しの運営や展示物のアップデート等で翻弄され、内田から依頼された追加の写真や映像が撮れない。

2月24日
内田、映像作品として〈怪談:コインパーキング(目黒、東京)〉を完成させ、Facebookのメッセンジャーにて島影などが入った展覧会の運営チームのグループに映像データを共有。島影、オープン前に岩永賢治と設置作業をする。内田とやりとりし、最終的に、天吊りしてあるiPad側に〈怪談:コインパーキング(目黒、東京)〉を、その右手下部のiPad側に1月18日に内田が島影に共有した二つの映像を流す形となる。当日17:00に展覧会閉幕。


2023-01-05_更新

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