私の東京物語 羽田圭介 (1)心の故郷 お茶の水

 お茶の水へ訪れると、最も心が落ち着く。明治大学の付属校に中学時代から通っていたのだが、当時は神田猿楽町に校舎があった。そう、のっけから表記が揺れているように、あの一帯を「お茶の水」もしくは「神田」「神保町」と、どう呼んでいいのかいまだにわかっていない。埼玉の一軒家から、東武伊勢崎線と千代田線を乗り継ぎ片道一時間十五分かけて通っていた。定期券を有効活用するためおのずと、学生時代の自分は、東京中の各地へ「新御茶ノ水駅」中心にアクセスしていた。埼玉から電車に乗り、地下鉄の駅から地上へ出た先に、毎日東京があった。大学の一、二年生時だけ、京王線明大前駅の校舎に通っていたが、いったん御茶ノ水駅を経由して中央線を利用する少し遠回りなルートで通学した。

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