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多様な学びの場と学校教育(4)

様々な通信制高校

今日も私のnoteにお立ち寄りいただきありがとうございます。


中学校を卒業した子ども達の98%が進学する「高校」。


ところが内申点、学力の両方で苦しい立場になる、中学校で不登校になった子ども達。

その不登校の子ども達の受け皿として、通信制高校がものすごく人気があります。


今から30年前だと、私立の通信制高校はまだまだ少なく、私のいる大阪でも、公立の通信制高校と私立の通信制高校が3校あったくらいです。

当時、大検(大学入学資格検定、現在の高校卒業程度認定試験)の大阪会場で、私が勤務していた予備校のチラシを、ある私立通信制高校の教頭先生の隣で配りながら、いろいろと意見交換させていただきました。


まだ、本当に生徒数も少なく、生徒集めを一生懸命にされていらっしゃいました。

その頃から比べると、通信制高校の数も、そこに通う生徒数も格段に増えました。


通信制高校もいろいろな特徴を持つ通信制高校ができ、子ども達の選択の幅も広がったことは、間違いありません。

その点では、中学校で不登校になった子ども達の受け皿となったことは、紛れもない事実です。


通信制高校の場合、転編入する子ども達がいるために、入学した子ども達のどれくらいが卒業できたかということが、とてもわかりにくいので、在籍している子ども達の中で、どれくらいの割合の子ども達が卒業していくのかということを考えてみると、高校3年生(3年制の高校の3年目)で、おおよそ90%以上の子ども達が卒業していると言われています。

しかし、これは各通信制高校によってかなりバラツキのある数字だということは、考えておかなければならないと思います。


また、この通信制高校の問題は、簡単には行かないことがあります。

問題点は大きくは3つあると思っています。

(1)レポート
通信制高校は、通う代わりに通信教育で学習をすることになっています。

このレポートも、現在では多くの学校でオンラインで実施されていますが、中には、郵送等でレポートを出させています。

このレポートでわからないところがあれば、教科書を読むとか、学習センターや本校に問い合わせて、質問をすることが求められています。

このレポートの出題内容や、評価をどうしているかが学校によって大きく異なります。

中にはサテライト校でわからないところは、答えを教えたりしている高校もありますから、高校として教育をしていると言えるのかという問題があります。

(2)スクーリング
通信制高校であっても、必ずスクーリング(面接授業)には行かなければなりません。

コロナ禍でオンライン授業をスクーリングとすることを代替措置として認めていました。

しかし、現在では、原則として全く通わなくて良い通信制高校というのはなく、必ず対面授業でのスクーリングに行かなければなりません。

ただ、その通う日数にはばらつきがあり、法律の運用の範囲内でスクーリング時間数を、各高校が決めているのが実態です。

ここでは、全日制や定時制と同じく、授業が行われるのですが、年に数回の授業で、何を教え、何を伝えられるかということは、本当に限られています。

あくまで、卒業要件を満たすために、子ども達が通っているケースが多くみられます。

そのため、友達ができることもなく、誰とも話さずに通って、卒業することになります。

(3)単位認定試験
この単位認定試験もオンラインでやっているところがあり、教科書などを見ながらでも出来ることが多く、点数を取りやすく、卒業しやすくなっています。

反対に言えば、それを学校教育と呼ぶのかと言いたくなる側面もあることは事実です。

元々、通信制高校の中には、スクーリング日数が、年間数日の学校から、週に2日程度通う学校、週5日通う学校など、通う日数もバラバラです。

卒業するだけを考えるのであれば、子どもにとっては、卒業しやすいことは間違いないありません。

反面、全日制普通科以上に、何のために通うのかということを明確にしにくい点があることは否めません。

通信制高校で何も学んだものはないと言った子ども達もいます。

中学校の子ども達の受け皿ではあるのですが、この通信制高校に通うことに、どのような意味を見出すのかは、学校間の違いも大きく、難しい点があることは事実です。

中には、単純に中学校を卒業するけれども、行くところがないから、とりあえず通信制高校に在籍していることがあります。

中学での不登校の延長線上に通信制高校があり、中学時代と何も変わらない家に引きこもっている状況を、ただ、3年間延長しただけのケースがあり、高校を卒業して、進学も就職もできない子ども達がいることは、実は大きな問題だと思っています。

多様な学びの場としての通信制高校もあり、子ども達が生き生きと、活動している学校もあります。

一方で、ただ卒業だけをするための場としての通信制高校もあり、何もできない状態のまま、子ども達が動けない時間を延長しているだけの場合があり、これを中等教育と呼ぶのか、高校卒業と言っていいのか、問題があるように思っています。

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Keisuke Tani
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