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中国の流行語大賞 in 2020

2020年はコロナで始まり、コロナで終わろうとしています。東京五輪も延期となってしまい、本当に大変な1年になりました。年の瀬が近付くと、例年発表される「流行語」ですが、日本に限った話ではないようです。中国でも同様に「流行語」が発表されたので、ご紹介してみたいと思います。

中国の流行語TOP10

※順不同(カッコ内は中国語表記)

1.新型コロナ(新冠肺炎)

2. 反伝染病(抗疫)

3. 仕事と生産の再開(复工复

4.民法(民法典)

5.オンライン授業(网

6.ダブルサイクル(双循

7.人間の健康と健康共同体(人类生健康共同体)

8.反米援助70周年(抗美援朝70周年)

9.六安定と六保護(六六保)

10.嫦娥5号

これらのキーワードの中から、今回は「双循」、「六六保」、「嫦娥5号」について取り上げてみたいと思います。

ダブルサイクル(双循环)とは

2020年5月14日に提起された「双循環」戦略はグローバルビジネス界にいる者として抑えておくべきキーワードになりそうです。

双循環とは、国内消費(国内循環)メインとしながら、国際消費(国外循環)と国内循環が相互に好影響を与えるための発展戦略のことを指します。

簡単にいうと、海外取引に対して開放的な施策をとりながら、内需の拡大に注力をし、国際取引に頼れなくなった時にでも、中国の国際的競争優位性を保ち、持続可能な発展ができるようにしていこうね!

という、内容です。

双循環が提唱された理由と背景

双循環が今年の流行語になるには以下のような背景が挙げられます。

1.コロナウィルスによる国際取引の冷え込み
2.米中貿易摩擦
3.保護主義国家の台頭
4.世界の工場中国からの脱却

1~3点目については、大方その通りだろうなと思えるので、理解しやすいと思います。海外に頼るばかりの経済政策では、国際的な政治問題や環境変化に国内経済も大きな影響を受けることとなります。

4点目の「世界の工場中国からの脱却」について、少しだけ補足します。
中国といえば、世界の工場とも言われるほど、多くの国々が製造を任せてきたことは周知の事実でしょう。Made In China商品は数えきれないほどです。
しかし、それも昔の話です。現在では中国人労働者の人権費も上昇しており、従来のような低賃金での生産体制はとれません。また、加工生産を中心とした産業では高付加価値を生み出せないというデメリットも存在します。

サプライチェーン上流下流に位置する(物質調達やモノ・サービスの最終提供者)事業者は利益を多く得ることができますが、中流に位置する中国での生産加工では付加価値が生み出せないということです。

この状況では、中国は持続可能な発展を望めないという視点からこの戦略はスタートしています。

双循環戦略が目指すもの

「双循環」戦略が目指すところは、国内の潜在的な経済発展能力を十分に引き出し国内と国外のリソースをフル活用しながら、持続発展可能な経済を作っていくということにあります。

その実現のために、中国政府は以下の領域に力を入れると伝えています。

1.生産体制強化
2.流通の強化
3.資源の適切な分配
4.国内消費の喚起

サプライチェーン全体を見直し、共有側の構造改革を行い、最新テクノロジーを導入しながら、核心となる技術開発に手を入れ、需要と供給の最大化を行おうとしているようです。

今後、具体的にどのような施策が講じられるのか、注目していく必要がありそうですね。

参照記事:https://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/ssqs/201013ssqs.html

「六稳六保」とは

「六稳六保」とは、六つの安定六つの保証のことを表しています。
2018年7月に中央政府はまず「六つの安定」を提唱しました。

1.安定した雇用
2.安定した財政
3.安定した外国貿易
4.安定した外国投資
5.安定した投資
6.安定した期待

これら6つの要素は中国の安定した経済発展のために必要な要素として考えられています。

その後、2020年になると、世界経済は未曽有の事態に陥り、不安定な状態となります。そこで、経済の安定的状態を保つ上では、手段として六つの保証が必要という観点から以下に挙げる「六つの保証」を提唱しました。

1.雇用の確保
2.基本的な人々の生活
3.マーケット参加者の確保
4.食品、エネルギーの安全保障
5.産業サプライチェーンの安定
6.草の根事業の堅実的な仕事

これらは今後の中国経済の基本的方針となっていくことでしょう。

参照記事:https://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_7825181

嫦娥5号

日本では、はやぶさ2が歴史的な快挙を成し遂げたところですが、中国の宇宙開発も盛り上がっているようです。嫦娥5号は(じょうが)と日本語では呼ぶようです。

嫦娥5号は、2020年11月24日に打ち上げられ、その後の12月1日には月面に軟着陸を成功させています。月面でのサンプル採取の後、12月17日に地球に帰還をしています。

中国としては、宇宙開発は平和的目的としていますが、米国はそう思っておらず、この領域においてもますます両国の対立は深まっていきそうです。

まとめ

今回は、中国の流行語について3つのワードを選択し、説明をしてみました。中国にも流行語大賞があるのが面白いなと思った一方で、経済に纏わる言葉がランクインしている点は日本と異なる点だと思います。これを機に新しい言葉を知れたので、今後は中国の経済政策により注目して経過を見ていきたいと思います。




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