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引退ブログ 神谷果歩

あと69日で引退!?

ちは!漕手4年の神谷果歩です。
ななほさんが始めたこの「引退ブログ」というコンテンツも3年目に突入しました。書くのは嫌だけど読むのは好きなので、このままカヌー部門の伝統として根付いてくれたら嬉しいです。

私が入部してから学んだことはたくさんありますが、一番大事だなと思うのは「自分で自分の限界を決めないこと」です。

私は入部した時、選手でほとんど唯一の文化部出身でした。(ほとんどというのは、帰宅部出身の某先輩がいたからです)(今は聖子が入ってくれたので1人ではなくなりました!)

文化部出身の自分にとって、入部それ自体が大きなハードルでした。入部したての時は腕立てもVシットも、20kgバーでのベンチプレスも、もちろん懸垂も1回もできず、乗艇はといえばアザだらけになるまで沈をしていました。毎日が挫折の連続。「自分は体育会にいる資格があるんだろうか」ということもよく考えていました。

入部して1週間経った頃、沈をして河口から少し離れたテトラポッドの辺りまで流されてしまい、先輩たちに「この子はもう辞めてしまうんじゃないか」と心配されたことがあります。

いま思えば先輩たちは心配してくれていただけだと思うのですが、生まれつき負けず嫌いの私は、一度始めたことを投げ出す人だと思われることが本当に悔しくて、絶対に結果で認めてもらおうとやる気に火がつきました。

そんなこんなで今に至るわけですが、あの時「自分には体育会は無理だ」と限界を決めて入部を諦めたりしなくてよかったなと思います。
新歓するにあたって、文化部出身の漕手がいることは武器になるからです。新入生にとって新しい挑戦がしやすくなると思います。
私はとっても弱い人間で、弱い人間だからこそ他人の痛みに気づけると思っています。辛い思いをしている誰かに寄り添えることは、私だからこそ発揮できる価値です。

そして、何よりも端艇部カヌー部門に入らなかったら見ることのできなかった景色や出会えなかった自分がたくさんいます。

入部して1160日。

雲のような朝靄、燃えるような朝焼けや夕焼けに向かって漕いだり、
鏡のような水面を滑るように漕いだり、
飛行機雲や虹を見つけたり、
鶴みたいな大きくて白い鳥が佇む真横を漕いだり、
毎日川辺にラジオ体操にくるおじいさんに会ったり、
雨の日は地上より水中の方が温かいことを発見したり、
いきなり飛び上がる鴨や川魚にビビったり伊良波がそれを捕まえていたり、
遠征先の沖縄で透き通る海を漕いだり、
氷点下のなか漕いで凍傷になりかけたり、
猛暑のなかモーターに追いかけられて意識が朦朧としたり、
けやき丸が通った後の海のようなうねりを乗りこなしたり沈したり、

一度だって同じ練習はありませんでした。

こういう自然との出会いだけでなく、

雪の練習で凍えた後のお風呂が温かくて涙がこぼれたり、
練習でクタクタになったあと同期とくだらない話をしながら食べるご褒美のアイスとかご飯はこんなに美味しいんだと感動したり、
体育会本部に入ってそれぞれの部活で真剣に頑張っている大切な仲間ができたり、
久しぶりに実家に帰って食べるお母さんのご飯が美味しくて美味しくて疲れた身体に沁み渡ったり、
なんだかんだこの同期とは大人になっても会うんだろうなと思ったり、
綱登り2往復や懸垂連続31回できるようになったり、
漕ぎに悩んだときアドバイスをくれるだけじゃなくて一緒に12kmも自主練してくれる同期がいたり、
シングルの500mで同じ秒数に3人並んだものの競り負けて悔しい思いをしたり、
宏美さんとのペアで他大とコンマ1秒で競るという夢のようなヒリヒリするレースをしたり、
真奈とのペアで10kmの荒波を命懸けで漕ぎ切ったり、

どれも諦めずにここまで続けてきたからこそ見ることができた景色や、知ることができた新しい自分なのだと思います。自然を感じて、食べて寝て漕いで泣いて笑って、生きることを色濃く感じた1160日のカヌー部生活でした。

そして引退まであと69日。
自分がこの組織に何を残せるか。入部してからずっと考えてきたことです。
同期で話し合って決めた今年の代の目標は「応援されるチーム」「未来に続くチーム」です。

この目標を実現するため、主将の伊良波が中心となって様々な活動を実行してきました。
カヌー部員はそれぞれが部にとってなくてはならない存在であり、目標達成に向かって本気で努力できる人たちです。
そんな中自分に何ができるか、どうチームに貢献できるかを考えた結果、女子フォアを出すという挑戦をさせていただくことにしました。

常に自分を奮い立たせてくれる存在である漕手の真奈と聖子、
そしてマネージャー業もあり、来年主務になるという立場から、葛藤もある中出場を決めてくれた侑美の協力があって成り立つ挑戦です。
後輩たちに感謝し、未来のチームのためにできることを最後まで尽くしていきたいと思います。

覚悟が決まらず、震えながら入部届を書いた1160日前の自分に「この選択は正解だったよ」と自信を持って言ってあげられるように、
シングルはもちろん、ペア・フォアにも全力で取り組み、目標を達成できるよう残り2ヶ月身を粉にして走り抜けます。
応援のほどよろしくお願いいたします。

2024年6月29日
神谷果歩

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