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こんにちは、2年漕手の大久保です。二度目のブログを執筆します。広報係の理不尽極まりない言論統制により執筆が大変遅れましたこと、心よりお詫び申し上げます。(広報係の皆さん、執筆遅れて大変申し訳ございません。)

今回のテーマは「一年の振り返りと新入生に向けて」です。まず、今年一年の振り返りです。カヌーを通じて一年を振り返ってもいいのですが、如何せん、9月のカヌーデトックスにより謎に競技力が向上したことしか特筆することもないので、今年自分が意識的に取り組んだことを振り返ります。それは読書、特に村上春樹の小説です。(カヌー自体は非常に楽しんでおります。)

受験勉強などもあり中高の時はあまり読書に時間を割けませんでした。しかし晴れて競争社会の第一フェーズから解き放たれたこともあり、今年は積極的に本を読むようにしていました。その中で僕は村上春樹の小説に出会いました。遥か昔に「パン屋再襲撃」を読んだことはあったのですが、著者を意識して読んだのは初でした。きっかけは高校時代の友人と近所の古本屋に行った時に「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」という小説を勧められたことでした。奇想天外な結末や涙を誘う感動的なストーリーがある訳でもないのですが、登場人物の精神性とそのリアリティが僕の心を鷲掴みにし、以来、大学一年生の読書は村上春樹に捧げようと誓いました。ここで簡潔にその魅力を語ると、彼の小説上の人物は社会的な価値観とは別に独立した自分の価値観を持っていて、ambivalentになり得るその二つの価値観の調和のさせ方や、時に調和できず崩れていく様子、それらが質量を持って僕の脳に伝わってくる、その感覚がとても良いです。前置きが長くなりましたが、彼の小説の中で僕が特に気に入った作品とその中の台詞を紹介します。まず、作品名は「海辺のカフカ」です。ストーリーをざっくりまとめると、家族関係のうまくいっていない15歳の少年が家出を通してタフになっていく、という話です。この小説のテーマは主人公が「世界一タフな15歳」になっていくことです。その過程で主人公は様々な事件、出会いを通じてタフである、ということがどういうことなのか理解していきます。読んで後悔はしないはずです。時間のある方は是非。そして僕がとても気に入っている台詞は「世界はメタファーだ」というある図書館の管理人の台詞です。この台詞はゲーテの「世界の万物はメタファーである」という言葉に由来しています。僕の解釈を加えると作中でこの言葉は、「世の中の全ての事柄は具体的、物理的な事実とは別に、もっと抽象的で精神的な意味を抱えていて、それは僕らの解釈次第で無限の意味を持ち得る」という意味をなしています。僕はこの小説を読んで以来、自分が向き合う出来事に対し、これは何のメタファーなのか、僕はこの出来事をどう解釈すべきか、少しずつ考えるようになりました。出来事の象徴的な意味を考えていくと、目に見えるものだけに囚われなくなる気がします。そうすると、僕の人生で大切にしている価値である、「自分の言動に納得する」ということの一助になります。読書を通じて様々な言葉や考えと出会うことは自分の輪郭を作っていく上で僕にとって欠かせないことです。(村上春樹作品の魅力を語りましたが、先日「ノルウェイの森」を読み、どうしようもない気色悪さに襲われたため、以後村上春樹を読まないと決めました。)何だか一年の振り返りとは言い難い内容になりましたが、ご容赦ください。これまでカヌー部門の一員として過ごした一年、これから過ごす二年半が何のメタファーとなるのか、すぐには分からない問いだと思いますが、その問いに答えを出せるよう競技に専念する所存です。

次に新入生に向けて、です。

新入生へ
Be Realやってる先輩には敬語使わなくていいよ


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