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春学期活動報告〜インクルーシブ研修〜

みなさんこんにちは。ユニタメ4年のしんごです!
今年度も猛暑が続く厳しい日々が続いておりますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
今回のnoteでは、あるワークショップの内容についてお話していこうと思います!

さて、6月17日土曜日にPwCコンサルティング合同会社様の合同社内研修に牛島ゼミとして参加させていただきました。本研修には、元ブラインドサッカー日本代表の落合啓士様と神奈川県のブラインドサッカーチームbuen cambio yokohama様も参加され、大所帯の賑やかな研修になりました。

本題のワークショップレポートの前に落合啓士様の簡単な紹介をさせていただきます。
落合様は横浜のご出身で幼少期からサッカーをされていましたが、10歳の頃から徐々に視力が落ちる網膜色素変性症にかかり、18歳で視覚障害者に。25歳でブラインドサッカーと出会い、2003年には初の日本代表選出。そして、2013年からは背番号10番を背負い、キャプテンとしてチームを牽引し活躍されました。また2010年には横浜で神奈川県初のブラインドサッカーチームbuen cambio yokohamaを設立。続く2020年には松本山雅B.F.C.の監督に就任し、日本初の全盲監督として指導しながらブラインドサッカーの普及活動や講演等を通して自身の経験を発信されています。
実は落合様とはunispo時代に関わりを持たせていただいていました。また今回のワークショップ前にはzoomで顔合わせの機会があり、落合様を愛称である「おっちーさん」(以下おっちーさん)と呼んでいます!今後もおっちーさんとの関わりを通して、私たちの理念に向けて活動していきたいと思います。

ではここからはワークショップの内容に触れていきます。まず初めにアイマスクをつけてのブラインドサッカーワークを行いました。普段目の見えない方がどのような状態で動いているのか、そして視覚のない状態でどのように走り、ボールを蹴っているのかを実感できた非常に貴重な経験になりました。いくつかのグループに別れてワークを行ったのですが、最初はチームメイトとコミュニケーションをとることすらぎこちなくなってしまったり、真っ直ぐ歩くことにも少し恐怖心を覚えてしまいました。ですが、チームメイトとしっかり声を掛け合い具体的な指示を出すことで、安心して次の一歩を踏み出すことができるようになりました。私はこのブラインドサッカーワークから「目の見えない方の状態を理解し、その人が最も安心して行動できるようなコミュニケーションをとる」という学びを得ることができました!

お昼休憩は午後からの会場への移動時間を含んでいたのですが、ユニタメメンバーを代表して私がおっちーさんとともにアイマスクをしたまま次の会場まで向かうという試みを行いました。牛島先生と3年生のよういちろう、だいあに補助をしてもらいながら、横断歩道を渡り、駅の改札を抜けて電車に乗り、目的地まで歩いて向かいました。この何気ない移動時間も視覚がない状態で行うと、様々な困難が存在していることが実感できました。まず、横断歩道を渡る際には車が横から突進してこないか、あとどのくらいで信号が変わってしまうのかなど、不安なことは多かったです。中でも私が最も難しいと感じたのは電車に乗り込むことです。その時は偶然駅のホームに同時に2つの電車が入ってきたのですが、視覚のない状態ではどちらが自分の乗るべき電車なのか全く分かりませんでした。おっちーさんもその際におっしゃていたのですが、視覚障害者の方が駅のホームに落ちてしまうなどの事故は多く発生しているそうです。だからこそ健常者のサポートがあるだけで気持ちが非常に楽になりました。あまり人通りが多いところではおすすめしませんが、ぜひ皆さんも一度目の見えない状態での移動体験をやってみてほしいなと思います。目の見えない人も補助する人も新たな視点を獲得できる良い機会になると思います!

午後からはおっちーさんのゲストスピーチということでおっちーさんが視覚障害者になられる前後のお話とブラインドサッカーとの出会いをスピーチしていただきました。おっちーさんは前述した通り、後天的に目が見えなくなってしまった方でだんだんと目が見えなくなっていく恐怖感を感じられていたそうです。ですが、おっちーさんは続けられていたサッカーがきっかけでブラインドサッカー界へ挑戦し、日本代表のキャプテンにまで。そんなおっちーさんがおっしゃていたのは、物事をプラスの視点でとらえることでした。例えば、上述した日常の移動に関しても、私が捉えていたのは恐怖心や不安感でしたが、おっちーさんが考えているのは、その移動の中でどんな新しい発見・ワクワクがあるか、どんな場所に辿り着くのかという一種の冒険のような感情でした。そんなおっちーさんだからこそ、視覚障害者になっても自分の新たな可能性に果敢に挑戦し、今なお活躍されているのだと思いました。しかし裏を返せば、私たちがこうして視覚障害者をはじめとした身体的に不利な条件を背負っている方と交流し新たな視点を獲得することで、将来的に自分がそのような立場になった際にも今回の経験を役立てることができると思います。健常者と障害者の共存を図るために、私たちが日常の中でできることを一つずつ積み重ねていく、これが必要なことではないかと考えました。

さて最後のワークは午前中のブラインドサッカーワークのグループでのマイノリティの視点を考えるグループワークでした。行った内容は大きく分けて2つありました。1つ目は、今回のワークショップの移動時間の間で、視覚障害者の方がどのような感情を抱く可能性があるかをブレストするというものでした。プラスの感情はピンクの付箋に、マイナスの感情は青の付箋にそれぞれ書き込み、それを感じるであろう時間帯に貼り付けました。私は実際に自分が目が見えない状態を体験していましたので、その時に感じた感情を付箋にたくさん貼りました。グループの中では、似たような意見の他に「自販機で何が出てくるか楽しみ」という上述のおっちーさんと同様な感情を抱いているメンバーもいました。このワークだけでも人それぞれ物事の捉え方や感情の違いが分かるのが非常に面白いと思いました。2つ目は、視覚障害者を含む障害者の方だけでなく私たち健常者も十分に恩恵を受けられるサービスを考えるというものでした。先のワークの中でマイナスの感情として多く意見があったのが、横断歩道を渡るのが怖いというものでした。これを解決するために、横断歩道がどこまで続いているのかといつ信号が切り替わるのかという2点にアプローチしました。グループの意見として挙がったのは、およそ何メートルの横断歩道で、どの程度で渡り切れるのかを案内し、何秒で信号が切り替わるのかをアナウンスする音声ガイドを信号に取り付けることでした。ワークショップの集大成として、これまでの体験を踏まえた意見を出すことができたと思います。他のグループからも斬新なアイデアをいくつも聞くことができ、いつかそのサービスが享受できる世の中になってほしいなと感じました。

ここまで私の拙い文章を読んでいただきありがとうございました。今回のワークショップではおっちーさんだけでなく、buen cambio yokohama様やワークショップを企画・運営していただいたPwCコンサルティング合同会社様にも大変お世話になりました。普段は学生同士でグループワークを行うことが多い当ゼミですが、社会人の方とのグループワークでは普段とは異なる視点からの意見を聞くことができ大変勉強になりました。今回のワークショップで得た学びをユニタメの活動にしっかりと活かしていきたいと思います!
それではまた次回のnoteでお会いしましょう!


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