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ドラマチック家造り#3

前回

理想の土地が見つかり、購入に向け準備し始めたところで「さて、どこで建てようか。」という壁にぶち当たる。
そして、売るつもりもない土地をウェブサイトに出していた不動産屋に「予算的にいくらで見てるの?いくら出せるかわからないのに値切れないからできないよ。値切るなら土地と上ものでいくらで作りたいのかわからないとうちは、価格交渉はしないよ」とあしらわれてしまう。

とりあえず、ハウスメーカーの比較サイトから間取りと見積を取り寄せることにした。


出会うべくして人は出会う

インターネットで無料請求した間取りと見積が次々と郵送で送られてきた。2番目で順番待ちをしている土地情報で仮にどんな家が出来るのか、少しわくわくした。一括で無料請求が出来たのは3社。加えて、これまでに足を運んで知り合ったハウスメーカー3社に連絡をしたが、結局、見積もりまでもらったのは2社だけだった。1社は土地が決まっていない段階での間取りは作っていないとのことだった。


家づくりを検討し始めた頃、モデルハウスを訪問していたハウスメーカー2社にも、電話をかけていた(詳細は、#1参照)。後日、営業から僕あてに土地の詳細について、連絡があった。

ローコストハウスメーカーの営業さんからは、土地の現地確認をしたいから、不動産屋に許可をもらって欲しいなどを電話でやりとりし、結果をメールでもらう約束をした。ただ、無料間取り相談はやっていないとのことで、ある程度、土地の話が進まないと間取りと見積の提示は出来ないという事だった。

そして、もう一社が、家づくり当初から憧れとしていたハウスメーカーだった。ある日、電話がかかってきた。

営業「ケイメイさん、ご無沙汰しています。以前、一度お電話させていただいたヴェスタと申します。条件にあった土地が見つかったとお伺いしました。良かったですね。」


僕「(え・・・全く記憶にない・・・でも、話を合わせて・・・)あ、こんにちは。ご無沙汰してます。そうなんですよ。予約の順番でいうと2番目なので、実際に購入まで行き着かないかもしれませんが、とりあえず、間取りと見積もの提案をお願いできませんか?」

営業「お声掛けいただきありがとうございます。では、早速ですが、近々お時間をいただけませんか?せっかくなので、展示場で家造りのご要望を伺いたいのですが、今度の日曜日などはご都合いかがですか?あと、できれば奥様もご一緒にお願いします。」

僕「子どももいるので、僕だけでお伺いしようと思っていました。子どもたちがいても大丈夫ですか?」

営業「他のお客様もご家族でいらっしゃるので、心配しなくても大丈夫です。」

僕「わかりました。では、今度の日曜日に住宅展示場へ伺います。」


営業との出会い


久しぶりに訪れたモデルハウスは5年前のものから建て替えられ、より高級な感じになっていた。

「これは、ダメだな。。。話を聞いてもらって帰ろう。」

そう思っていると、営業さんが出てきて、僕たちを誘導してくれた。ここで出迎えてくれたのが電話もくれた営業のヴェスタさんだった。

ヴェスタさんは、僕の家造りに対する想い、部屋数や部屋数、検討中の土地の大きさや形状、家族構成、その他の土地など、時間をかけて丁寧にヒアリングしてくれた。

僕も妻も、ダラダラと5年も家づくりの夢を描きながら、モデルハウスを回ったり、オープンハウスに行ってみたりしていたので、色々な住宅会社の営業さんと会ってきた。

・アポなしで自宅にまで押しかけてくる、とにかくグイグイくる人。
・知識量や経験値で圧倒し説教する人。
・自社の製品がとにかく好きな人。

どんな営業さんが良いかは、それぞれ相性があると思う。営業さんも人に応じて使い分けているかもしれない。だが、ヴェスタさんは今まで出会った人たちをいい塩梅に混ぜた感じの人だった。

そして、話をしてく中で、ヴェスタさんと出身大学が同じこと、年齢も近いことなどから、親近感がわいた。
何より、「グイグイ来ないし、説教もしない。ただ、話を聞いてくれて、都度、提案をしていく」これが、ヴェスタさんのスタイルだった。

結局この日、子どもたちと妻は新しい住宅展示場を見て回ったが、僕はほとんど見ずに、ヴェスタさんと話していた。

一通り話を終え、今検討している総枠の予算もヴェスタさんに伝えると、みるみる表情が曇った。

「うちでは、ちょっと厳しいかもしれませんね。でも、銀行から借りれるか、実際、支出がどのようになっているのかも含めて、ライフプランを受けてみませんか?」

きちんと話を聞いてくれて最後に「今の予算計画では無理」の結果をくらい、結構なダメージを受けて、その日は終わった。

結局、間取りも見積もくれなかった。ただ、話しただけで終わり、翌週、ライフプランの予約をし、来週には、おおよその資金計画と間取りをご提案するとこのことだった。


ライフプラン診断

次の週、ライフプランを受けに、営業所まで足を運んだ。保険会社の人が二人きて、年収だったり、家族の年齢、習い事、月に使っているお金の事などをヒアリングされた。もちろん、ヴェスタさんも同席し、平均的に上物だけでどれくらいの値段がかかるのかなどの話をした。

ライフプラン診断をうけるのはもちろん初めてで、なんだか、家計の通信簿を付けられている気分でやはり、緊張した。

丁寧な言葉で、切れ味よくダメ出しをされたのは人生で初めてだったかもしれない。

一通りシミュレーションが終わるとライフプランナーから「シミュレーション上は、なんとかなります。あとは、銀行がかしてもらえるかどうか、お客さんにそれができるかどうかですね。できるかできないです。詳細は、レポートにして来週にでも、お届けに上がります。」と言われ、2週続けて現実というパンチをくらい、僕の足はガクガクだった。


その後、ヴェスタさんと話をして、間取りと概算を出すのにもう少し時間が欲しいとのことだった。ノックアウト寸前の僕は、意識が朦朧とするなか翌週の約束をし、帰った。

帰りの車の中で、妻と「やっぱり、家づくりは僕らには無理なのかな〜。土地を探す範囲を広げればもっと家づくりの選択肢は増えそうだけどどね。子供たちの成長の事も考えて建てるんだから、校区を変えたり、仲良くなった御近所さんと離れるのは本末転倒な気がするよね〜」などと話しながら、どうしようものない閉塞感が僕たち夫婦を包んでいた。


途切れそうになる家づくり

悪いことは続くもので、日課にしていたネットで不動産情報をチェックしていると、予約した土地情報が消えていた。


まさか、売れた?


僕はすぐ、あのおじさんの電話した。

「あ~あの土地ね、先に約束していた人が前向きに検討しているみたいだから掲載とりさげたよ。別な土地さがしてあげるから、また、電話してね。」


検討していた土地がなくなり、また、振り出しに戻ってしまった。

「今回もだめかぁ・・・ また、土地からさがすのかぁ・・・。ま、いいや。のんびり探そ。ヴェスタさんにも断り入れないとなぁ〜」


そんな時だった。

半年ぶりにツクヨミさんからメールが入っていた。紹介された土地は、なんと、以前、問い合わせた事がある土地で(詳細は、#2参照)、5年は建てれないといわれた土地だった。僕は、八つ当たりぎみに、「一度、問い合わせたことがあり、すぐには住めないといわれましたよ」と返信した。しばらくして、ツクヨミさんからの返信に僕は目を疑った。


「上水道が通れば、浄化槽設置で建築が可能かもしれません。造成中なので、詳細スケジュールを役所に確認してみます。」


え?


いけるのか?


おれ、家建てれるの?


この時、ツクヨミさんからのメールが途切れそうになっていた僕たちの家づくりを繋ぎ止め、そして、ツクヨミさんとヴェスタさんの関係が僕たちの家づくりを大きく動かしていくことになるとは、誰も知る由もなかった。


では、次回の「ドラマチック家づくり」で会いましょう

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