Blog_アイキャッチ_from_PC

大企業が安定しているというのはもはや神話に近いと思いながら働くことのススメ

大企業は今でも就職先として人気が高い。ぼくの勤め先は比較的大きめな会社ではある。トヨタのような巨大すぎる大企業ではないが安定を目指して応募してくる学生が多い。

確かに今の時代不安定極まりないし、将来への不安が先立ってしまうので本当にリスクをとってベンチャーなどにいくような人とは違って基本的に安定を望んでいる場合が多い。

ぼく自身は比較的歴史が長く安定している会社だからこそ、社内ではわりとチャレンジングな発言や行動をとるイメージを持たれやすいが保守的なところと半々くらいなのでフルリスクをとっている人からしたら甘ったれた働き方をしている方だと思う。

実際にそういった会社で10年以上働いていると昔からある会社というのは決して安泰ではないし、安泰を手にする代わりに諦めなければならないことも多く、就職先として推薦できるかどうかと聞かれると考え込んでしまう点がいくつかある。

他の記事に書かせていただいたとおり実際にぼくも昨年は転職活動をしたこともあり、新たなチャレンジをしたいと思っている気持ちもある。経営企画という希少種の仕事をさせてもらっていることから学びも多く会社を支えていこうと思う一方で一緒に沈んでいく気はないので経営がさらに不味い方に傾いたら動けるようにしている。

そんな大企業で働く身として安定しているとは言えないと思う点をいくつかシェアしたい。

僕にとっては仕事のチャレンジのレベル感や自由度としては今の会社が丁度良いと感じているし大きなリスクをとってチャレンジするようなものに出会っていないのでまだ働くつもりだが、いざという時に動けるように常に準備は怠らないようにしながら常に社外でも通じるかどうかを意識して働いている。そんな理由をいくつか書きたい。

■ 大企業は基本的に変われないし俗人的

大企業の文化というのは変わらない、変われないという現実がある。なんども改革にチャレンジしてはうまくいかないことを経験しているのでこれは経験から。

理由はシンプルで、今政権をとっている経営者とその任命されたメンバーは今の文化でえらくなれたので、その土台を崩すようなことは決してしないというのが理由とぼくは考えている。

その経営者は自分が引き揚げた部下が実務に当たり、その分かたちもまた、その生態系が維持できるような人を選出して上にあげる傾向があるので大きく自分たちを変えるようなチャレンジはしない。

—— 〻 ——

よっぽど経営危機だったり大きな不正などがあれば別だが、今ある体制を変えようという志をもっている人は中にはいるがグッとこらえて順番待ちをしているケースが多いし立ち会がれば叩かれることを知っているので面と向かって戦うことは不利でしかないということになる。

会社が安定していて、今後も問題なければ変わる必要はないが、本当は変わる必要があるのに経営者とその取り巻きの役員が変わろうとさせないという現象が起きていたらその会社に見切りをつけて辞めるのも一つの選択肢として考えた方が良い。

もしくはそういった人の知恵袋、懐刀として実力で上がっていくか、忖度・ごますり何のそので上がってから会社を変えていく覚悟を持つかどれかを選ぶしかない。

いつか変えてやるという人は多いが、本当にそれを実現した人というのはまずいないので、会社は基本的に変われないと考えた方が良い。

■ 規模が大きいと一生同じ事業にいる可能性が高い

規模が数千億の後半になってくると事業が複数あって、人も1万人を超えてくるような会社が増えてくる。こういった会社に就職するとある事業に配属されたら一生その事業で働くことになる可能性が高い。

ぼくはたまたまとてもきつい事業に配属されて心を病むほど色々大変な仕事を事業でやったことがあったが、その斜陽化していく事業に居ながらこのままではダメだとおもって毎日独学で勉強をしたり、誰もやっていない仕事を探してその分野で一番になろうと努力した結果、今の経営企画部という部門にたまたま運よく配属されて助かったという過去がある。

—— 〻 ——

そういうラッキーが起きない限り、大企業は事業が個別の会社でわかれていたり、A事業、B事業と別れていることが大半だ。

それぞれの事業が独立していること、キャリアを何年も積まないと仕事にならないことから部署をまたぐ異動というのはレアケースだし、再教育のコストもかかるので一生同じ部署にいる場合が多い。

たまたまその事業で海外にいくチャンスが出てきたら出られるチャンスが巡ってきたり、どこか別の部署からお誘いを受ければ買われるチャンスはあるが、レアケースと言える。

■事業自体が売り買いされる時代

最近では選択と集中とか、ポートフォリオ経営などで、事業を売却するケースも多い。リストラよりマシかもしれないが、会社に尽くしたとしても会社側はその社員に尽くすことはないということを認識しておく必要がある。

配属はたまたまであることが多いので、たまたまコアではない事業に配属されてその事業がいやであれば他の事業に異動希望を出すか転職するしか道はない。

その事業が好きであれば、もし会社がその事業を辞めるのであればそれまで続けて会社の異動の辞令を待てばいいし、もしその事業が他社に売却されたらその新しい会社でその事業を続けられる。

—— 〻 ——

他社に売却されるというとネガティブな響きがどうしてもあるが、ある意味チャンスととらえることが出来る。

今の会社では大事じゃないという判断のもと切り捨てるわけだが、買収する新しい企業としてはその事業が欲しくて買収するのである。なので買収してくれる会社の方がその事業に対して投資してくれる可能性もあるし、上層部が変わることで風向きが変わる可能性もあるので期待もできる。

アクティビストやかなりエグイ会社に買収されて雑巾のように働かされる可能性もあるがその場合は素直にやめるのが賢明ということになる。

このように大企業に勤めたからといって、安定しているのはその企業全体であって、配属される先の事業が安定しているとは限らず他社に売却されたり事業撤退する可能性もあるので安定しているとはいえないといえる。

■巨大すぎると新事業も小さすぎて全体は支えられない

これは結構大企業あるあるで、色々な会社の経営企画の方と会うとだいたい同じような悩みを抱えていることが多い。

どの企業も既存事業が古くなってきて新しい事業の柱を作らなければならない状況にあるが、既存事業がデカすぎると小粒の新事業をつくっても屋台骨を支えられないというデメリットがある。

例えばコピー機のリコーは2兆円規模と巨大であり、数十から数百億円の新事業を作っても全体を支えることはとてもできない。

このようにあまりに大企業だとそのコアの事業が劣化した時に非常に悲惨で、一気に会社が傾く可能性が高い。

—— 〻 ——

どの会社も新事業を作ろうと躍起になっているし、IRや採用のホームページでも変わっていること、チャレンジしていることをアピールしているが、話半分に聞いた方が賢明で、そんなピカピカな未来ばかりではないということを認識するほかない。

買収すればいいじゃないかという考えもあるが、買収した場合、買収した先の社員もついてくるので今の会社の人はとくにその事業では必要ないことになる。

何か買収した先の会社に対して貢献できる人であれば係る意義はあるが、そうではない人は特に何か新しい仕事ができるわけではないのでチャンスはない。

■赤字の昔ながらの事業に出世コースがあったりする

上に上がっている人を良く分析することは重要だ。利益の大半が新しい事業から上がっているとしても役員構成は売上や利益のシェアで分かれてはない。色々な党派から当選%で選ばれる国会議員とは全然前提が異なっているような役員構成になっている会社も多い。

赤字事業だけど祖業の事業からなぜか人がたくさん出ていたり、会長の出身事業の役員が多く取締役になっていたり片寄りは必ずあるはずだ。

このように大企業になるとロジックで決まることは少なく社内政治だったり、出身校がどうだとかそういったつまらないことで結構人事が決まるので面白くない気分を味わう可能性が高い。

どう考えても自分の配属先がそういった環境になかったり、未来が描けない場合は会社に恩義を感じる必要はない。安定など訪れない可能性の方が高い。

■全体感がなく部分最適な場合が多い

大企業は上層部がセクショナリズムに毒させている確立がとても高い。事業を成長させるために他の部署と一緒に仕事をしたり、他部門に依頼した仕事を手伝って一緒に進めようとすると「それはうちの部署の仕事じゃない」とか社内の仕事の押し付け合いに遭遇する可能性がとても高い。

そしてそんな上司のもとで育った部下というのは必ずそういった上司の悪い影響を受けてセクショナリズムの塊のような人に育ってしまうという悪い面がある。規模が大きいとどうしても仕事が細分化されて、全体の責任を取る必要がなくなり、自分は自分の部分だけやったからあとは知らないというスタンスをとることが容易にできてしまう。

—— 〻 ——

メンバーと一つの仕事を協力し合って最後まで進めたいと思っているタイプは大きな会社には向かないことが多いと感じるかもしれない。

たまたま僕のいる経営企画は経営にかかわることすべてが業務範囲になるので特殊であり、法務や財務や総務、それとそれぞれの事業部門などそれぞれはセクショナリズムに躍起になってる上司がポストを占めているので必ず支配されている。

一つの事業で製造、販売、技術、マーケティングなどで部門が分かれていることからそれぞれの組織が大きくなるほど社内の部署間の戦いが増えていき、大切な社外の競合との戦いにまわすマンパワーがそがれてしまう場合が多い。

■まとめ

結局このように大企業が幸せか?という問いを受けるとしたらぼくは安定しているとはいえないし、配属次第では活躍できる幅が狭まってしまうと回答すると思う。

数千億後半の会社で働いてはいるが、もうちょっと裁量が欲しいと思うことやキャリアを積みたいのに上が詰まっていて当分ポスト待ちのような雰囲気があるのでぼく自身は転職活動もほんの少しだけしてみている。

焦りもありつつ今の会社の良さもあることを認識したうえで自分を俯瞰したりするためというのもあるので何か縁があればくらいのスタンスで考えているのでどうなるかはわからない。

そういった色々な企業分析やちょっとした転職活動を通じた内省の結果、その人その人であっている会社規模というのはあって心地よい規模というのは必ずあるとぼくは感じている。

会社の大小ではなく、自分の求めている働き方と規模の大小は大きく影響しあっているので会社の規模というのは良い仕事ができるかということに直結する重要な要素といえる。

もし転職をする際に規模が大きく変わる(今より大きくなったり、逆に小さくなる)場合に、今までと求められる働き方はガラッと変わるということは認識しておいて損はない。なんとなく今の会社がうまくいかないなとか、しっくりこないと思った時、会社の規模について少し考えてみると新しい視点が生まれるかもしれない。

keiky.

いただいたサポートは、今後のnoteの記事作成に活かさせていただきます。ますます良い記事を書いて、いただいた暖かいお気持ちにお返ししていきたいと思います☆