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生活保護受給問題によせて~首の骨を曲げて失職した時の話~


どうも、私はコロナで失職している無職です。

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・・・最近、他人事ではない生活保護申請について
ネットであやふやな話も耳にします。

「生活保護は簡単に貰えるよ!」
「生活保護はそんなに簡単にもらえない!」
「セーフティーネットとして機能してない!」

・・・まぁいろいろ。

実は私には『生活保護と同じセーフティーネットである傷病手当金』を2年半ほど受けていたことがあります。・・なので今日は「えらい人が作った綺麗ごと(システム)の通りに現場は動かなかったよ」という話を共有させて頂きたい。

数年前、私は工場作業員だったのですが、
『首の骨を曲げる大怪我』をして失職しました。

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業務中の怪我でしたから当然、それは『労災』
そんなことは誰だってわかっていることですよね?

そういう『決まり』があるわけですから。

・・・・では現実はどうだったか?と言うと・・・

会社側は「労災として認めない!」と宣言しました。・・するとここで、当然普通の社会人の方ならこう考えるでしょう「なら訴えろ!」と。

そういう『権利』があるわけですから。

しかし、それは出来ませんでした。なぜなら、私は『縁故採用』だったからです。もし私が会社を訴えた場合、私を会社に紹介した恩人は出世から外されるなど、何かしら『見えない罰』を与えられることは必然だからです。

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・・・私も人間ですから、義理も恩も友情も感じます。

もし自分が騒ぐことで、その恩人に迷惑がかかるとなれば、当然会社と揉めることは出来ませんでした。もちろん会社側も私の心情を承知の上で「労災は認めない!」と強気に宣言していたわけです。

つまり、この社会には『権利があるから』といって、
それを行使させないための『仕組み』もあるわけです。

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(縁故採用はメリットも大きいんですけどね~)

・・そして問題はここからです。会社は私に退職を迫りつつ「労災にはしないが、組合から傷病手当金が出るから大丈夫!」と言いました。

そういう『仕組み』があるわけですから。

ところが、実際に辞職して組合に傷病手当金の申請を行うと・・
・・・・・なんと申請を拒否されたのです。

しかもその理由を聞いて驚きました「傷病手当金は病気にしか適用されないから、首の骨を曲げた貴方には適用されません」というのです。

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(電話ガチャン)

さて、ここで考えましょう。もちろんそんなことは嘘。デタラメです。しかしなぜこの組合の職員はこのようなことを言ったのでしょうか?

・・・もちろん簡単にわかりますよね?

ただ、人間は体が怪我などで弱っていると、正常な判断能力が鈍ってしまいます。つまり人と争ったり、論理的に考えたり、意志を通すことが出来なくなってしまうものです。首の骨を曲げて体が動かなくなった私もそうでした。

私は組合から無茶苦茶なことを言われてしまい、一度は弱気になって手当金の申請をあきらめかけました。

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(もう・・・どうでもいいや・・・・)

言うまでもなく組合側はこう考えていたはずです。『傷病手当金を申請したい人間は必ず怪我で弱っている上に、仕事を失って精神的に参っているだろうから、こちらが強気に出れば黙って諦めるはずだ!』と。

・・・・そういう算段があるからこそ、
無茶な理屈や嘘でゴネて申請を突っぱねているわけですね~。

『セーフティーネット』だと思って頼ったシステムが、実は理不尽に弱者をはねのけるだけのシステムだった時の絶望感。

私は理不尽に感じ、少々怒りを覚えました。

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・・・だからどうにかその憤りを気力に変えて。どうにか振り絞って。なんども組合に掛け合いました。「その話はおかしいです、申請を認めてください」と。しかし窓口のご婦人は何度電話をしても「しつこい!」「何度言ったらわかるんですか?」と突っぱねるだけ。

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(もー何回かけてもガチャ切り!ガチャ切り!)

そりゃ怒鳴りたいところだが、理性を失ってはいけない。
ここでもめ事を起こせば、また恩人に迷惑がかるかもしれない。

電話をかけてどうにかこうにか懇願するたび、組合のご婦人は面倒くさそうに「はぁ・・・またですかぁ?」と、ため息混じり。

まるで私を『非常識なクレーマー』のように扱うのです。

「申請できないものはできないの!」「何回言わせるの?」
「何度も何度もかけてきて、あんた普通じゃないよ?」

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私は「傷病手当金の申請をさせてください」
一貫してそれしか言ってないんですけどね。

・・この組合の受付のご婦人は、明らかに手慣れていた。

私はブラック企業で役職者として、前科者たちと長年働いてきてわかったことですが、悪人というのは相手を悪者にするのが上手い人間のことだ。

例えばDV男やイジメっ子は「相手が○○しなければ自分は暴力を振るわずに済んだのに!」というような『都合の良い被害者意識』を持っていると言うが、まさにそれだ。

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かつて知人のDVマンが酒を飲みながらこう言っていた「確かに殴ったオレも悪いよ?でもアイツが○○しなかったらオレは殴ったりしなかったんだよ?原因を作ったのはアイツだよね!?」

自分がどんなに残酷で違法なことをしていても、決して悪いとは思わない思考回路になってる人間がいる。そういう人とは会話が成立しません。

・・・このご婦人も「仕事中にケガをしたお前が悪い!こっちはいい迷惑だ!」と、そんな風に『自分は被害者だ』と思っているのだろう。

自分は被害者だから、どんなことをしても、正当化できる。
・・おそくらくこれまで何度も何度もやっているのだ。

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作業中に怪我をしてしまい、会社を辞めることになって、傷病手当金申請をしてきた弱り切った元作業員たちを、こんな風に何度も何度も適当な話で申請を拒否をして叩き返してきたんだろう・・・

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(弱った人間はコントロールされやすい)

そもそもだが『組合』は工場作業員の生活を守るための組織だ。毎月私たちが懸命に働いて稼いだお金で成り立っている組織なのに・・・

『怪我をした作業員の生活を保障する』
・・・それは組織としての役割であり大事な仕事だ。

理屈の上では、仕組みの上では、そうなっている。

それなのに、組合は「保証は認めない」と言う。
現実では、現場では、こういうことがおきる。

さてさて・・・ちなみにその後、傷病手当金はどうなったか?

それがオカシイ話なんですが、私が何度も何度も電話を掛け直していると、ある日・・・・若い男性が電話に出たんです。

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いつものご婦人とは違う男性です。

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私は「もしかしたら?」と思い必死に訴えました
「傷病手当金の申請をさせてください!」と。

・・・するとあっさり「もちろんですよ」と男性は言った。
私はびっくりして「え?いいんですか?」と聞き返してしまった。

すると男性はキョトンとして言いました。

 「そのためにある組合ですから・・」


つまりそう、傷病手当金の申請を突っぱねていたのは、どうも組織的なものではなかったらしい?あの電話口のご婦人が単純に「面倒だから」とか。「仕事を増やしたくなかった」とか。

・・・どうでもいい理由で突っぱねていただけだったのです。

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・・・・・人間が人間を管理する以上、
こういうエラーは必ずどこの組織でも起こります。

それから2年半は組合から、
傷病手当金を貰い続けることができました。

ここからは少し蛇足ですが・・組合が本当に理不尽だったのは、むしろここからの『手当金を受給してからの2年半の間』だったのです。

組合の行動はかなり過激で非常識なものでした、定期的に「いつまで手当金を貰うつもりですか?!」「来月には手当金を切りますからね!」と、まるで脅迫めいた連絡をしてきたのです。

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(やべえ人だな・・・)

私は首の骨が曲がって動けない状態。

さらに無職状態で病院にも通ってリハビリを続け、ちゃんと申請する時には診断書も提出している。首の骨がグニャっと曲がったレントゲン写真だってある。

・・・確実な証拠がそこにあるのに・・・

そしてリハビリをしながら社会復帰に向けて、動かない体でどうにかネットで見つけた在宅仕事を始めると、今度は「手当金をもらう以上は、仕事をしてはいけません!働くなら手当金は切ります!」と、さらに意味の分からない連絡してきました。

・・なので私は「そういう決まりがあるんですか?」と尋ねると、組合の職員さんはこう言いました「べつに決まりは無いけど・・」と。


(えっ・・・・ないのに言ったんだ?)

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・・・人間とは不思議なものです。
時に『感情だけ』で仕事をしてしまう。

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(こういう人はけっこーいる)


あげくに組合は、私を診察して『毎月の傷病手当金の診断書』を書いてくださっていた病院の先生に対しても妙な電話を繰り返しかけていた。

いつまで傷病手当金の申請をさせるんですか?」とか「本当に彼は重症なんですか?」などと、素人が先生の診断を疑ったり。恫喝まがいの電話で『傷病手当金の申請をさせないよう圧をかけてきた』と、のちのち先生から伺って大変申し訳ない気持ちになりました・・・

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先生は組合からの脅しには屈せず。面倒くさいことをされ続けても投げ出さず。2年半もの間、リハビリと傷病手当金の申請を黙々と続けてくださったのです。

いつも優しい言葉をいつもかけてくださる良い先生でした。

最後になりますが、例えどんなに苦しい状況であっても『救いの手を差し伸べてくれる人』は必ずいるものです。私にとっては、この先生の存在が救いでした。

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・・もし先生が担当でなければ、傷病手当金は切られていたかもしれませんし、間違いなく過酷な2年半ものリハビリ生活を乗り切ることはできなかったでしょう。

そういう親切な人間も、必ずいる。

さて・・話が途方もなく長くなるので、この辺りで終わりますが・・こういう経験があると生活保護の申請にも『何かしらのエラー』は出るんだろうなと考えてしまいます。

・・・これはあくまで個人的な体験談ですが、
やはり人間とはあやふやで、不安定な生き物です。

そこにたとえ『全ての人を救う完璧な仕組み』があったとしても、意味もなく逆らったり、面倒だからとサボったり、なんの根拠もない感情を優先させたりしてしまう。

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(あの組合の職員みたいな人も、いるんじゃないかな)

生活保護申請も同じ。人間が行う以上は、
不条理もあるだろうなぁと思います。


おわり

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