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助動詞の区別を問う4択問題への考え方&実践問題

さくっと復習

助動詞に関する(おそらく)最後の記事になります!みなさんはこれまで以下の3つの記事を読まれてきたかもしれません。 4択問題への考え方を確認していく前に、これまでの記事の内容をさくっと復習しましょう。

助動詞表現を分類して順位をつける
過去について物申す助動詞表現
助動詞を使った慣用表現

画像で、さらーっと記憶を刺激です!

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助動詞には人称変化があったり、なかったり…。ないものは真の助動詞…。あるものはbe動詞か一般動詞…

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過去を表すものも、過去について言及するものも…。慣用表現として、ちょっとだけ長いカタマリを作ったりも…。

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こんなに学習してきたんだ~!?すごい!と思ったことでしょう。本当にたくさんの表現がありますね。多すぎて大変すぎるわ!と思ったこともあるでしょう。だけど、助動詞は有限です。無限ではありません。これで終了!全体図を俯瞰して確認することができたみなさんは、もう新たな表現に怯えることはありません。強気で生きていきましょう!

もう1つ、みなさんがウンザリしなくていい方法、ありましたよね。取捨選択をすることです!自分が受ける試験・資格では、どのジャンルの助動詞が出やすいのか、確認するといいでしょう。


文法問題の出題形式の全体図

いきなり4択問題に入るのではなく、一般的な文法問題の問題形式にはなにがあるか、思い出してみてください!中学校・高校の定期試験、センター試験、高校・大学の入試、各種資格試験、いろいろなレベルやジャンルがありますが、文法問題はどんな試験でも、そこまで奇抜な形式はないと思います。

ふつうは、英作文、4択、並び替え、正誤指摘、和訳、英訳、あたりでしょうか。実は、今挙げた順番は、取り組みやすさ順でもあります。

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すべて「英文法」の出題形式ではありますが、対策の取り組み方がまったく違うんですね。

たとえば英作文が50点分くらいあるような大学の試験を受けようとしているのに、4択の対策だけしていたら、「トピックに対する知見の狭さ」が原因で、高得点が取れないかもしれません。英作文では文法と同様に身の回りの出来事への知識や自分の考えも求められているからです。

でも逆にコツコツと経験値を詰んでいる人にとっては、英作文はチョロいはずです。なぜかというと、一番「自由度」が高いからです。四択や正誤の答えは1つだけ。和訳も英訳も、求められる表現がある程度決まっています。でも英作文だけは、完全に自由であることがほとんどです。パターンを覚えることは、文法を広範囲で習得することとは違います。使いやすい構文の形さえ抑えておけば、どうにでもなるんです😉これについては下記の著書で360ページに渡って細かく書いてますので、よければサンプルをダウンロードしてみてください!


4択問題への取り組み方

上の画像のなかで、4択問題について記述した部分をもう1度見てみましょう。

① 試験のレベルに合わせて、文法単元ごとの知識を身につける。

これは知識の土台作りです。いきなり4択を取り組んでも、違いどころかその文法単元が分からなければ、なんの意味もありません。この段階では、高校1年生で使うような、記述式の参考書がオススメです。


② 問題を見た時に、どの単元から出題されているのか考える。

4つの選択肢を見て、時制の問題なのか、助動詞の問題なのか、動詞変化の問題なのか、というふうに考えられるようになりたいですね。頭のなかには広大な、文法書の目次のようなマップがあります。取り組む度に地図全体から眺めていたら、答えを探すのが大変ですね。意識的に見る範囲(考える範囲)を狭めれば、考える際の効率がよくなります。

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かんたんにまとめると上記の図のようになります。ここで大事なのが3番目です。文法の4択問題には文章中に、答えの「カギ」があるものがあります。それぞれの文法で、①この「カギ」があるのか・ないのか、②あるとしたら何なのか、③どこらへんにあるものなのか、という3点を確認していけばいいんです。

例えば「時制」の単元でしたら、ほとんどの場合、カギは「時間を表す副詞句・節」です。並列されている「他の動詞」もカギになります。だいたいは文末に置かれていますよね。こんなふうに、各単元で考えていくんです😉

この段階では、上で紹介した書き込みタイプの参考書でも、4択問題の参考書でもOK!解説がていねいなので、わたしは成川先生の本が好きです。とても分厚いので、背のノリの部分を切り落とし、単元ごとに分けて使用・保管しています。


③ 同じ役割や品詞を持つ者のなかでの違いに注目する。

これは助動詞であれば、

「can」と「may」はどちらも「許可」を表しますが、使い方の違いは?

とか、動詞の変化であれば、

「不定詞」と「動名詞」はどちらも「名詞」の役割を持っていますが、使い方の違いは?

など、自問自答するようになりたいですね。自問し、答えられないたびに、説明が充実している参考書を開くといいでしょう。


助動詞からの出題だと分かった場合の考え方

さて、ようやく本題です。前置きが長くなってすみません。ここからは「選択肢に明らかに助動詞が並んでおり、助動詞からの出題だ!」と気づいた段階のお話です。以下の4つの手順を見てください。助動詞の問題だと分かったあとに行うべき思考フロー(流れ)です。

1.慣用表現の一部が穴空き状態になっているのか?

慣用表現ではない場合

2.時制はどれだ?―過去・現在・未来の動作、過去への言及
3.するのか、しているのか、されるのか?―能動態・進行形・受動態

時間や態に差がない選択肢しかない場合
4.どのジャンルがもっとも相応しい文脈なのか?(文の意味を理解する)
―習慣・予定・意思・義務・提案・推論・勧誘・命令・許可・必要・あえて

「文の意味を理解する」が4番目にあることに気づいたでしょうか?これは頭のなかで「なんとなく和訳してみる」ということです。つまり、助動詞は最初から1問ずつ全力で和訳しなくて済む単元だということです。和訳するよりも先に確認するべきことがありますので、それらを順々に確認していきましょう。


1.慣用表現の一部が穴空き状態になっているのか?

慣用表現の場合は、以下のような点を問う問題が多いです。

・言葉の並び順をしっかり覚えていますか?
(例) have only to Vの「only」を置く位置や、had better notの「not」を置く位置など。くっついてくる副詞の位置とも言えます。

・動詞の変化をしっかり覚えていますか?
(例) cannot help Vingの「Ving」や、would rather V1 than V2の「V2」など。

そのため、慣用表現の場合は、副詞の位置、動詞の変化を注意して覚えておけば、大半はどうにかなります。4択の中身も、例えば動詞変化であれば、動名詞・不定詞・原形・過去分詞などと動詞の変化が並ぶので、覚えていれば1秒で解けるようになります。すごい時短ができますね!動詞変化に関しては、記事で紹介したとおりに論理的に覚えられていればいいんです。だから文章を全部読む必要はありません!


2.時制はどれだ?―過去・現在・未来の動作、過去への言及

助動詞で、時制に関する出題とすれば、副詞をヒントに解かせる問題です。それぞれの時制には、使っていい副詞と、使ってはいけない副詞というものがあります。たとえば現在形は通常、現在の習慣(定期的に行う動作)を表すので「I study English now」とは言いません。nowは「現在行っている動作」を表すからです。そのため「I am studying English now」という文章を作ることになります。逆を言えばnowがあるから動作動詞の場合は進行形をとる、と考えていいです。

助動詞の場合、「過去」を表すキーワード、「未来」を表すキーワードがカギとなっていることが多いです。だからやっぱり文章を全部読む必要はありません!

「過去」の副詞
then / at that time / yesterday / the day before / 3 days ago / last week / in the past / when S V(過去形) / before S V(過去完了形)

これらの過去を表す副詞がある場合は、助動詞の過去形か、過去について言及する助動詞(助動詞+完了形)を選ぶ必要があります。

「未来」の副詞
tomorrow / the day after tomorrow / soon / next month / in 2 days / in the future / when,if S V(現在)

これらの未来を表す副詞がある場合は、未来を表す助動詞か、未来のある時点で動作が完了したり、その時点まで継続したりすることを表す未来完了形や、未来の今頃~している最中だろう、という未来進行形を選ぶ必要があります。

過去形に関しても、未来形に関しも、また時制の単元で扱いますので、詳細はまたのちほど🌟助動詞の場合は、とにかく時制の存在に気づけるだけで、深い違いは考えなくてもだいたい大丈夫です!選択肢のなかに助動詞の過去形が1つしかなくて、それが正解…なんてことがよくあります。


3.するのか、しているのか、されるのか?―能動態・進行形・受動態

能動態・進行形・受動態に関しては、以下の「Vさせる動詞」のページでもご紹介しています。

「SがVする」のことを「能動態」、「SがVしている」のことを進行形、「SがVされる」のことを「受動態」と呼びます。なぜこれら3つをまとめて取り扱うかというと、能動態を基準に、進行形では「be + V現在分詞」、受動態では「be + V過去分詞」のように動詞が変化するからです。

助動詞を伴う場合は以下の3パターンの語順が生まれます。

能動態 I will write a book.
進行形 I will be writing a book.
受動態 A book will be written someday.

進行形をとる助動詞は少ないと思いますので、今回は触れなくてもよかったんですが、受動態とセットで覚えたほうがいいんです!動詞の変化が現在分詞・過去分詞という、同じ分詞の仲間だからです。受動態を問う選択肢には、能動態や進行形も一緒に誤りとして並ぶんですね。

ここで大事なのは2つのチェックポイントです。

・主語がなにかしている状況か、主語がなにかされてる状況か?
「私は本を書く」は、主語がなにかしている状況です。「本はいつか書かれる」は、主語がなにかされる状況です。この違いを、主語と動詞を見て判断すればいいんです。だからここでも文章を全部読む必要はありません!

・助動詞の後ろは必ず原形か?
ついついですね、紛らわしい語群を選んでしまうことがあるんです。中学生の問題にありそうな「She can writes」とか、「She can is writing」とかはダメです。助動詞の後ろの動詞は必ず原形!というルールがありますよね。be動詞が置かれる受動態では必ず「助動詞 be 過去分詞」の語順になります。


4.どのジャンルがもっとも相応しい文脈なのか?(文の意味を理解する)

上3つの出題ではない、と気づいたら、4段階目の思考にして初めて文章を読む必要がでてきます!以下の手順で解くことになります。

・文章を読む
・文脈的に必要な助動詞の意味を考える
(推量の意味を持つ助動詞が出題されることが多いです)
・選択肢の助動詞の意味を思い出す
・意味を覚えている助動詞から、該当しないものを消去法で消していく
・残った助動詞で、あとは意味の広がりを推測して最後の1つを選ぶ。

センターレベルであれば、文中の単語はそんなに難しいものはありません。だからしっかり文の前後関係を理解して、助動詞の消去法さえできれば、確実に取れるものです。

ただ「推量」を表す助動詞を曖昧にしていると、ちょっと辛いかもしれないです。これは高校から習う役割ですので、出題頻度が高いんです!


Exercise

最後に、これまで学習してきた内容をしっかり定着させるために、4択問題に取り組んでいきましょう!全部で12問です。何分で解けるかも測ってみましょう!過去の自分と比べてどれだけ効率よく解けているか、または新しく習い始めた方は今後の目安のために、時間の計測は必要です😊

(1) It's already half passed nine. I (  ) go home now.
①can ②should ③may ④might

(2) Daisy lost her iPhone yesterday. She (  ) it on the bus. 
①must have been leaving ②must be left ③must have left ④must left 

(3) We've just missed the train. We (  ) left home a bit earlier. 
①should not ②should ③should not have ④should have 

(4) I'm very so tired that I (  ) join the party tonight. 
①had better not to ②would not rather ③would rather not ④had not rather 

(5) My father (  ) hide his face with a mask because he was a famous YouTuber.
①had to ②ought to ③should ④must 

(6) I would rather (  ) by taxi.
①having gone ②go ③going ④to go 

(7) My mother couldn't help (  ) when she heard the news that her beloved artist passed away.
①to cry ②crying ③to crying ④cry 

(8) Your smartphone still works. You (  ) buy a new one. 
①must ②don't have to ③should ④have to 

(9) You (  ) go jogging alone after dark.
①had better not ②had not better to ③not had better ④had not better 

(10) Danielle would rather go to the movies than (  ) Nexflix.
①watched ②to watch ③having watched ④watch

(11) I (  ) not to tell my father that I have already moved in together with my boyfriend.
①should ②must ③ought ④better 

(12) Kate (  ) in Los Angels, but she moved to Oregon last year.
①used to live ②was used to live ③used to living ④is used to living

問題の考え方、いくつ覚えていましたか?😊

答えと解き方はこの下です!


Answers

問題文の太文字は、解答を考えるときのキーワードです。答えの太文字は正解の答えです。

(1) It's already half passed nine. I (  ) go home now.
もう9時半なのか。家に帰らなくちゃ。
①can ②should ③may ④might
※文脈からの判断、意味の消去法です。

(2) Daisy lost her iPhone yesterday. She (  ) it on the bus. 
デイジーは昨日iPhoneをなくした。バスに置いてきたに違いない。
①must have been leaving ②must be left ③must have left ④must left
※時制、能動態の判断がカギです。 

(3) We've just missed the train. We (  ) left home a bit earlier
ちょうど電車を逃しちゃったね。もう少し早く家を出るべきだったなぁ。
①should not ②should ③should not have ④should have 
※文脈から肯定文を選び、電車に乗る前の、過去について言及することだと判断します。

(4) I'm very so tired that I (  ) join the party tonight. 
すごく疲れてるから、今夜はパーティーにはどちらかと言うと行きたくないなぁ。
①had better not to ②would not rather ③would rather not ④had not rather
※否定形の形として正しいのは3番だけです。

(5) My father (  ) hide his face with a mask because he was a famous YouTuber.
①had to ②ought to ③should ④must 
※過去形動詞(was)があるので、過去の時制と判断できます。

(6) I would rather (  ) by taxi.
①having gone ②go ③going ④to go 
※助動詞の後ろは動詞の原形です。

(7) My mother couldn't help (  ) when she heard the news that her beloved artist passed away.
①to cry ②crying ③to crying ④cry 
※見た目的に、helpの目的語になるためにing形にすると考えれば良いやつです。

(8) Your smartphone still works. You (  ) buy a new one
①must ②don't have to ③should ④have to 
※文脈から否定文を選択すれば一発です。

(9) You (  ) go jogging alone after dark.
①had better not ②had not better to ③not had better ④had not better 
※助動詞のカタマリのうしろにnotを置くルールです。形を覚えていればすぐ!

(10) Danielle would rather go to the movies than (  ) Nexflix.
①watched ②to watch ③having watched ④watch
※動詞同士を比べていると分かるので、形を揃えればOK!

(11) I (  ) not to tell my father that I have already moved in together with my boyfriend.
①should ②must ③ought ④better 
※このなかでtoを取る表現はoughtだけです。ought toのtoは不定詞なので、toの前にnotを置くことができます。

(12) Kate (  ) in Los Angels, but she moved to Oregon last year.
①used to live ②was used to live ③used to living ④is used to living
※文脈から引っ越した、つまりLAには今は住んでいない=かつて住んでいた、ということを判断します。あとは正しい形を思い出せるかどうか!


全12問でしたが、どれくらい覚えていましたか?ぜひコメント欄で教えて下さい😊

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