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『メタバース進化論』の進化のゆくえ

バーチャル美少女ねむさんの『メタバース進化論』読了。面白かったです。
きちんと裏付けを準備して書かれた本。研究者ですねー。
知らない事が沢山ありましたワ。

「ソーシャルVR国勢調査」がベースとなっているため、とても説得力がありました。欧米のサンプル数の少なさを考慮しても、メタバースの住民の方の動向が把握できて、さらに興味がわきました。

組織アイデンティフィケーションの研究者としては、やっぱりアイデンティティの話に目がいきます。アイデンティティの形成には、いろんなものに同一化していく過程が含まれます。例えば、自分はメタバースの住民であるというアイデンティティも、メタバースの世界観やそこにいる住民への共感などから、「同じだ」と認知することで生まれていると考えます。

本書でアイデンティティは、「私たちが私たち自身をどのようなものと捉えるかという「認識」であり、他社や社会からそれが認められているという「感覚」のこと」(p152)という記載があります。メタバースにおいては、名前・姿・声という3点がアイデンティティの軸になっているとのことで、物理現実での性に違和感を持つ人は「側」を変えるだけで生きやすくなりますし、男女とか年齢とか関係なく関係を持てることに価値があるというわけです。現状、メタバース内で自由に生きる「分人」のアイデンティティを、その3点を操作することで作り出している、ということだと理解しました。

ただ、どの世界においても「なりたい自分になれる権利」を行使するときに、名前・姿・声を換えればなれるわけではないとも思いました。つまり、メタバースの世界で名前・姿・声を換えた後も、さらに外見と中身の両面で、こんな自分になりたい、という成長欲求があるのではないか、と思うのです。

今は、メタバースの中で自分を表現する、遊ぶ、つながる、そして稼ぐといった点が注目されていますが、今後のメタバースの方向性として、娯楽・消費という側面だけでなく、そこでの人(アバター)の成長をどうサポートするか、という学びや経験の側面でも、大いに期待の余地があるのではないかと思っています。
これからもっともっと大学や専門学校のような学びの場や、お互い助け合って成長できるコミュニティができてくると楽しいな、と思います。

ということで、私のアバターの髪はピンクで統一しています。これもなりたい私ww (昨日は、リアスタ5見てて(聞いてて)、最後もらい泣きしてしまった。)


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