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おいしいものはどこにある? 店選びの私的基準。まとめ③レストラン/ミラノ編

予約して行った店もあるが、基本、ホテルも決めていないような旅なので、その日の夕食をどこで食べるかは、直感で決める。
お腹が空いて疲れていれば、何より近場なことが優先だし、ちょっと余裕があるのなら、歩きながら探してもいい。

日本で地方に行くのなら、あらかじめ調べたり、人に尋ねたりもするだろうが、なんといっても、イタリアやドイツの田舎で、名前も聞いたことのないような町ばかり。調べようもない。
でも、いつも、とてもおいしいものにありつけた。
日本食が恋しいとかまったく思わなかったし、雨に降られようが、バイクが壊れようが、おいしいものを食べれば救われたし、不安や負荷は、まったく翌日に持ち越さない。

二日酔いになるわけにはいかないので、かなりセーブしたけれど、満足いく程度には毎晩飲んだし。
移動するにつれ、味がどんどん変わるのも、本当におもしろく、これはやはりツーリングの醍醐味。
若い頃の妄想では、フランスの三つ星のオーベルジュにバイクで乗り付け、ドレスに着替えてディナー、というものだったが、まあ、それはまた今度やろう。

ツーリングを始める前のミラノのレストランは、あらかじめ予約しておいた。

SADLER    ミラノ/イタリア 418ユーロ  2024/05/07

ここは早くから予約していた。どこかで1回は、ミシュランの星付きレストランを入れたい。
いま、料理がどうなっているのか、少しでもわかるから。

だいぶ前だが、バルセロナ郊外のサン・パウに行ったとき、そのすばらしさに感動した。女性シェフ、カルメさんもテーブルに挨拶に来てくれた。
そのときは、中学を卒業したばかりの息子と二人きり、という状況(夫は謎の高熱でダウン)だったが、子連れの東洋人とバカにせず、きちんと対応してくれるサービスに感動した。
食後の感想を、息子にもしっかり聞く(英語で)。

サービスが完璧なのは、小学生の息子とラスベガスの某フレンチに行ったときも同じで、きちんと話しかけてくれる。息子が英語がわかっていたとは思えないが、なんとなくコミュニケーションは成立している。
「いかがでしたか」「ものすごくおいしいから、もっと食べたい!」「ダメダメ、もっと次においしいのがたくさんくるからね」的な。

話が逸れたが。
今回はミラノとイモラしか、行き先が決まっておらず、イモラにも実は一軒あったのだが、F1時期なので予約は取れず。
ミラノに星付きは何軒かあるけれど、そんなに洒落のめしたところに息子と行ってもしょうがないし、適度に、星の常連感のあるサドレルにした。

一応、ちょっとおしゃれめな服と靴も持っていき、息子にもそれなりの服をひとつ用意するように、と言っていたのに、スーツケースが行方不明になり、前日から同じ服。
ぎりぎり、変な服ではなかったのでなんとかなったが。やはり、飛行機にカジュアルすぎる格好で乗るのは避けたほうがいいのかも。

コースは3種で、クラシックとモダンの融合、というものをお願いする。事前に、息子が胡桃アレルギーなことは伝えてある。
メニューが配られたとき、息子のほうにだけ、値段が入っている。ずいぶん、成長したじゃないの。まあ、いいけどね。150ユーロ。
とりあえず、グラスでスプマンテを頼み、ワインはソムリエにお任せ、したりはもちろんせず、リストを持ってきてもらう。
これが、iPadに入っていて、産地から選べるのでパーフェクト。もちろん、いちばんリーズナブルなものを頼む。60ユーロ。

料理はもちろん、どれも創意工夫にあふれてすばらしかったけれど、やっぱり、ビシッとイタリアン・スーツを着こなした皆さんの、完璧なサービスが印象に残る。役割分担がスムース。
シェフ(日系イタリア人)とも、お話しできて楽しかった。
服や体調や気分を、完全にセットアップして出掛けられなかったのは、かえすがえすも残念だけど、別に自分のせいじゃないし、それを除いてもとても楽しい一夜だった。

以下、すべてのレストランで、料理名は適当。私の印象だけ。料理も全部は載せていない。

私たちはコーナーの席。やっぱり、おいしいものは、基本ふたり、多くて3人で食べたい。大きいテーブルも埋まっていた。
このパン類が、ものすごくおいしくて感動。
照明が暗いので写真がイマイチ。生魚のタルタルが完全にイタリア化。
低温調理した仔牛のタン。仔牛はなかなか食べられないので、こちらに来たらたくさん食べようと思っていたが、しかも、タンか。驚くほど柔らかい。
エビの出汁の効いたラビオリ。ここまで生地のしっかりしたものには、この後一度も出合わず。
骨髄の煮込み、オーソブッコを”模した”料理。肉は羊。トリュフのトッピング。
”模す”のが流行なのか?  見た目バナナの中は、ココナッツジェラート。
他にも甘いもの系はいろいろ出た。

BOKOK    ミラノ/イタリア 27ユーロ  2024/05/08

どこの外国に行っても、チャイナタウンを訪ねるのは、個人的ミッション。なくても行く、というか、どこかには必ずあるのだ。別に門はなくても。ないのは、ソウルくらい? 
調べてみたら、ミラノには結構な規模のチャイナタウンがあるらしい。タウンというより、ストリート。もちろん行く。
かなり長い通りの、最初から最後までがチャイナ。立ち食いできるスナック系の店がいろいろあるのは、横浜中華街と同じか。なぜ歩き食べ?
どこかでランチをと思ったが、ちょっとゆっくりしたかったので、テラスという感じでもなく、なかなかいい店に出合えない。
イタリアンのレストランは間口が広く、その前にテラスを出している感じだが、ここはそもそも一軒一軒の間口が狭いので、なかなか微妙だ。

偶然見つけたこちらは、店先に点心を作るブースがあるけれど、奥が広そうなので入ってみた。
おしゃれカフェ風だけど、料理もちゃんとしていた。
スーツケースの件で、いつもの調子がなかなか出ない。でも、中国茶を飲んだら落ち着いた。ポット6ユーロ。

店名からしてもブックカフェなんですね。
イタリア語表記は、spagetti in brodo con spezzatino di manzo  内容は合ってる。牛筋肉の煮込みのせスープ麺。ニンジンが謎だが、おいしかった。
小籠包も本格的。レンゲでなく、なぜかスプーン。

Osteria del Treno  ミラノ/イタリア 82ユーロ  2024/05/08

ここは、出発直前に、予約していた。
ミラノ、イモラ以外は、行き当たりばったりになることはわかっていたし、広いミラノをうろつくつもりも、ホテルの近所で適当に夕食を済ませる気もないので、いろいろ調べて見つけたのがここ。
ミラノの老舗で、オーセンティックな料理を出すという。昔はチェントラーレ(セントラル、中央)駅の社員食堂的な場所だったそう。
これなら大丈夫そう、と予約。
ネット予約ができる店は、それなりに観光客も多いはずで、だからこそ、予約しておいたほうがいい。

ホテルから歩ける店で、スーツケースが届いたこともあり、かなり気分よく参入。
早い時間だったので、客はまばらだったけれど、あっという間に満席に。予約しておいてよかった。お店の人とおしゃべりしている人も多い。家族づれや、仕事の仲間風や、ひとりのお客さんも。
私たちにも、普通ににこやかにサービスしてくれて、こうなるとイタリア語でも通じる(感じになる)のがすばらしい。
皆楽しそう。こういう店が好きなんだよなあ。ワインのデキャンタもあったし、これこれ、という感じ。500cc の白が、9ユーロなり。
アラカルトで、前菜をそれぞれ取ってからメイン。
リゾット・ミラネーゼ添えオーソブッコのパーフェクトなことといったら。これで28ユーロ。ふたりでシェアして満腹。
ここはまた来たい、本当に。通いたいくらい。

trenoは鉄道の意味。
労組の本拠地でもあったらしい。
いくつもの部屋に分かれていて広い。
鉄道を感じさせる写真。
牛脛のゼリー、ヴィネグレットソース。食べたことのない味。
トロトロのようでいて、ちゃんと芯のあるリゾット。
手前、ピスタチオとチリのソルベ。本当に辛かった。こういうのは、伝統とは関係ない、最近のれレシピなんだろうな。感動。

(つづく)


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