10日目。最強の助っ人、現る。助さん格さんもバイクの救出に向かうが……。2024/05/24
昨日、フッセンの街に置き去りにした私のバイク。
「家から400キロくらいなので、明日現地に行きますよ」という、ありがたいお申し出が山本達郎さんからあり、畏れ多くもお願いする。
原因を解明したいという強い思いが、バイク乗りの興味を刺激するのか。夫も息子も、もう一度、いじりたくてたまらないよう。
「この際、会社はサボる。面白いから」という力強い言葉に感動する。
さすが、ヤマハにお勤めのバイクのプロフェッショナルである。
達郎さんは、明け方に、ミラノ近郊のブリーヴィオを出発。
こちらは100キロ先のリンダウからフッセンに向かい、11時に集合という段取りに。
息子のバイクに夫がタンデムし、うまく直った場合は、一人がモト・グッティに乗って帰ってくるという設定。
私は、もちろんお留守番……。出る幕なし。
一同揃ったところで、早速作業開始。バリバリと中身を開けていくが、な、なんと!(以下、現地からの報告)
上記、キャプションのようなことがLINEで続々送られてきて、自分ではなんのことだかまったくわからないが、致命傷なのはさすがに理解できる。
「こういう状況が起きるとか、実際に起きたという話は知っていたけど、現物を見たのは初めて」と夫が言うように、とても珍しいことらしい。
直るか直らないか、五分五分とまで楽観視はしていなかったが、35%くらいは直るほうに賭けて念を送っていた。でもこれを見たら納得。
”このモト・グッティはもう成仏か。なんといっても、81年生まれだからな。最後の乗り手が私とは光栄だわ” などとぼんやり考えていたら、「再生はできる」との返事。マジ?
ただし、それはいつのことやら、という話で、今回のツーリングに関しては、ついに退場ということになってしまったのでした……。
そうと決まれば、あとはこれをなんとか、達郎さんの家まで運ばなければならない。
いやあ、信じられない。ここまで解体できるとは、想像もしていなかった。
最悪、レッカー移動かと思っていたのに。
もう乗れないのが残念とか、そういうこと以上に、なんだかすごいものを見たという思いが強く、バイクってこういう乗り物だったんだ、と初めて知って感動する。
それにしても、仕事を投げ出して駆けつけてくれた達郎さん。息子の後ろにタンデムして、リンダウとフッセン間、計200キロを往復してくれた夫。息子も、場数こそ踏んでいないものの、機械工学専攻で理屈はわかっているので、ちゃんと役に立ったらしい。
本当に感謝。ますます、お姫様バイク度が上がってしまった感じが。
原因は、なんとなくの劣化、とのこと。
デリケートなバイクなのに、私が雑な乗り方をしていたのも大いに関係があるとは思うけれど、急に長距離走ったからかなあ。
練習は別にして、1300キロは超えていたので、よくもって走ってくれたなと思う。
とりあえず、相性が合うところまでは持っていけたので、個人的には満足。
変なところで立ち往生したり、転けたりしなかったのはラッキーだ。
さて、この間、私は何をしていたかというと、リンダウの町をヘルメットを抱えてうろうろ。
湖の上の出島のような小さい町なので、すぐに歩けてしまうが、湖畔には公園やベンチがたくさんあって気持ちがよく、ぼんやりしているだけですぐに時間が経ってしまった。
夫と息子が戻ってきたところで、すぐ今日の目的地へ。
リンダウから30キロくらいしか離れていないのだが、オーストリアになるドルンビルンという街に泊まる予定だ。
宿は毎日、値段、ロケーション、駐車場や朝食の有無などを基準にサイトで検索して決めているのだが、今日のホテルは、なんだか突然モダンな感じ。久しぶりに都会に戻ってきたような。
数日前のホテルにもサウナがあったのだが、あいにく20時までで使えなかった。バスタブよりサウナが、寒いところの文化なのか。
部屋にバスローブ、巻き付け用のコットンのタオル、スリッパが備え付けてあり、’着替えてそのままサウナ室へ行けばOK。たまたま部屋のすぐ近くだったので、これはラッキーとさっそく行ってみる。
男女一緒なのにちょっと驚いたが、皆、平然としているので、すぐ慣れた。
夕食は、少し歩いて、地元の人で賑わうちょっとしゃれたビヤレストランのようなところに行ったが、息子が歯茎の痛みを訴え出し、一口も食べられない。
今日はずっとタンデムで走り続けたから、疲れが出たのかなあ。スマン。
鎮痛剤を飲んだらぐっすり寝てしまったが、明日が心配だ。
(つづく)
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