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正当化の虚しさ『十字軍全史』を読んで

『十字軍全史』本屋さんでたまたま見つけて、お正月読み始めた。

この本、はっきり言って読みにくい。
ひとえに私の理解力不足のためですが、文章は理解しにくい、登場人物は頭に入ってこない、流れも繋がりもなんとなくしか掴めてないという中、それでも読むのをやめられなかった不思議な本。

モチベーションは、この本の後に(この内容を理解したうえで)読みたい本があったというのが最後まで読めた一番の要因ではあるものの、それだけでは説明できない不思議な引き込まれ感がありました。

遥か昔の出来事としてしか認識していなかった十字軍ですが、それはまだ終わっていないかもしれない。

何をもって十字軍を終わりにするのかが今現在でも不透明であり、実際9.11の時にブッシュ大統領が声明の中で「十字軍」の表現を使ったことで、ビンラディンも十字軍に絡め続けたことや、その後の自爆テロにしても、まだまだ終わっていないんだということに戦慄する。

全ては自らの有利性を実現するために一方的に自らの価値観を正当化することから始まり、それは相手にも同じことをさせ、繰り返される。

どちらも正当化することをやめない限り、永遠に続くのだろう。
これは、社会的な関わりでも、個人レベルでの関わりでも結局今でもあらゆるところで起きていることと同じなのだ。

正しいことを証明することがいかに不毛かということを、あらためて感じさせられる本でした。

この本は、グロティウスを理解するために読みました。
グロティウスは国際法の父と呼ばれる人ですが、なぜグロティウスがそれを考えたのか。彼の時代を理解するために十字軍というものを知りたいと思ったのですが、それは終わったことではなく、現代でもまだ続いているのだと。

だからこそ今全てを見直す必要があるのかもしれない。

終わらない戦いを終わらせるために

『十字軍全史』
ダン・ジョーンズ著
ダコスタ吉村花子訳
河出書房新社



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