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嗚呼 伊勢物語よ!


#古典がすき


 高校3年生の、選択科目で、古典をとりました。

私は、私立文系志望でしたので、お気楽なもので・・・

現国・古文・漢文   日本史  英語だけ学べば良かったのです。

午後は、確か 選択科目のみの授業だったので、

お気楽度満点!

好きな科目ばかりだし!

中でも、古典で 1年間「伊勢物語」を学ぶ授業というのが、

最高でした。

「伊勢物語」は、ご存じ 在原業平の一生を、和歌と共に短い文で綴った

一代記ともいうべき物語です。

この業平さんの、華麗なる女性遍歴 本当に面白いです!

和歌も、文章もさほど難解ではないので、高校生でも十分理解できました。

何せ、テーマが 男女のエロス!なので、読むほうも真剣度が増すばかり。

先生が、文法などの説明を一切せず、男女のエロスに的を絞って、授業して

くださったのが斬新で、生徒の興味を引き付けたのでした。

私は、

白玉か 何ぞと人の 問ひし時 露とこたえて 消えなましものを

の句が、一番好きかな。

高貴な女性を奪って逃げたものの、

追手につかまって、女性を奪われてしまったのでしょう。

失った恋人に対する哀切な思いが、切々と伝わってきますね。

我ならで 下紐とくな 朝顔の 夕影待たぬ 花にはありとも

なんていう、かなり露骨な和歌もあります。

これの現代訳を任された男子生徒が

「俺が帰ってくるまで、スカートのファスナーをさげるなよ、他の男と」

と訳したら、先生顔面笑顔で「それで いいんだよ」

こんな授業が楽しくないわけはありません。

古典は、言葉が古いだけで、今と何ら変わりない、人の心情を綴った物語

と学んだ気がします。

それから、古典がさらに好きになり、好きになっていく度合いと比例して

テストの成績もアップしていきました。

残念なことに、英語はどうしても好きになれなくて、成績も上がらず

志望校には はいれませんでしたが・・・・

 先生の、「国文科なんて、浦島太郎が乙姫様と寝たかどうか、真剣に

論議するようなところだよ」を真に受けて、国文科を目指し、第2志望の

女子大に入りましたが、平安文学の老女性教授の方は、男女のエロスは、

全く語らず、ただ現代語訳するのみ。大いに失望した私は、すぐに、古典文

学専攻を放棄。近代文学を学びましたが、明治・大正・昭和初期の自然派文

学になじめず、こちらもすぐに嫌になってしまい、劇芸の授業ばかり受けて   

いた始末。

国文学を専攻して研究者になりたい・・・なんて夢は、半年ももちませんで

した。

まぁ、どっちにしろ、私に研究者は無理ですが・・・。

 それでも、古典に対する垣根を取り除いてくださった、あの高校の先生に

は、今でもとても感謝しています。人生の楽しみの幅を広げていただきまし

た。

伊勢物語にでてくる辞世の句、やはり素晴らしいです。

つひにゆく 道とはかねて 聞きしかど きのうけふとは 思はざりしを

古典、大好き!







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