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僕がリズム感が良くなった過程(2)

札幌から東京へ出てきて、さまざまな演奏の現場にまぜてもらえるようになったのに、リズムが悪いことが原因で伸び悩む、、そんなところまで読んでいただけたかと思います。

まだまだ経済的にはスムーズに自立というわけにもいきませんでした。
そんな中、ヤマハのPMSの講師を始めることになりました。初めは週に1回でしたが、その後音楽学校時代の少し年上の知り合いのピアニストが講師を辞めるというので、そこに後釜で入ることになり、稼働日が増え、週3回になりました。
全部場所が違ったんですが、そのうち一つが、今でも沢山共演しているフルーティスト、坂上領くんが高校生〜浪人生時代に受付のアルバイトをしていた、中野の松栄楽器というところ。

余談ですが、キムタクのロングバケーションのロケ地です。当時ロン毛でピアノが弾ける手タレ(?)みたいの募集していた記憶が。。僕もちょっとそのくらいの長さだったのでシャレで受けてみようか、なんて話してたことがあります。

生徒さんは、まぁよく休むんです(笑)なので、来なかった時間はそのまま練習時間になります。
ピアノを練習もしましたが、この楽器店はバンドアンサンブルの部屋を持っていたので、ここでドラムが叩き放題でした。

クリックとドラムと

PAにはクリックが流せる装置も繋がっています。
ここで、とにかく、クリックに合わせてドラムを練習する、ということを沢山やりました。
リズムパターンとしては良くある2、4に強いスネアが来るパターン。ヒップホップっぽくもある、シンプルな8ビートをひたすら。

よく先輩方が言っていた、クリックととにかくピタッと合うようにする、完全に合ったらクリックが消えるんだよ。。

高校生の時にプレイバックを聞いて唖然とした、フィルイン。フィルインで走らないようにする練習。。

当時、僕が好きだった、某ドラマー。
彼が練習方法として、例えば4小節クリックを聞きパターンを演奏する。その後の4小節はクリックが消えるようにプログラミングしておく。その4小節間、パターンを続けていてもいいし、フィルインなどで好きに埋めてもいい。
4小節後クリックが鳴り始めた時に、頭がピタッと合うようにする。
(つまり鳴っていない4小節間の流れを、脳内で、完全に把握するわけです)
これはとても難しい。でもずっとこの練習やっていると、少しずつ精度が上がってくるのも自分で感じることができた。

このクリックとの練習って、ピアノだと、合っているかどうか、音色的にすごく分かりにくいんです。
ピアノでやるのが本筋だろ、と思って自分でも色々試しましたし、過去に教えていた生徒にもそのやり方を試したことがあるんですが、なかなか効果が薄いです。

あと、ピアノはモーションが常にダウンしかない。。。
ドラムのストロークは両手で出来ますし(例えば16分の頭は右手、裏は左手などが基本)ギターのカッティングなど、アップとダウンがある楽器は、変な話ですが、8分を演奏して裏もなるように調整したら16分音符になります。
バイオリン族などはアップダウンあるにも関わらず、それをビートとは関連させないルールです。
この辺が、ピアニストやバイオリン族がなかなかリズムに合いにくい一つの理由だと思っています。フィドルなどはストロークがビートと合っているはず。
管楽器などもピアノと似ているかも。。僕はちょっと管楽器を演奏したことがありますが、この時に、リズムを合わせるの難しいなぁと思った記憶がありました。
でもその時はそもそも演奏自体がいっぱいいっぱいでしたが、、

こんなことをずっとやっていたら、元々の守備範囲であった、フュージョンっぽい16分音符の世界観、ではなくて、
まずは、8ビートの捉え方が随分としっくりくるようになってきました。

ちょうどその頃、ロック系のサポートの仕事が始まって、そこでも新たなプロのプレイヤーとの出会いがありました。
ここではリズムのことで顰蹙を買うようなことは既になくて、むしろ、今でもこの時のプレイヤーとずっと繋がっています。
こんなこと言うと少し問題発言かも知れませんが、演奏しててストレスがあった仲間とは、友達にもなりにくいんです。シビアな世界だと思いませんか??

また、現在、2020年はまたいろんな価値観があるようですが、当時、90年代中盤、業界内では今よりもロック系のプレイの大切さが言われていたように思います(今はその感覚がだいぶ失われてきたように思います)。

リズムが良い悪いと言うのも大体そういうポイントから語られていたように思います。フュージョンっぽい細かいキメキメものはちょっとしらける、ような価値観をよく聞きました。
ドラムのゴスペルチョップスとかは聞いたこともない(最初に聞いた時にはフュージョンぽくてびっくりしたな、、)。

あとジャズ系のインプロヴァイズが出来るのもポップスの業界では特に重要視されないし、なんなら、アドリブなんかはしようとすら思わない、と言う人の方がかっこいい(笑)という意見にもよく出会いましたね〜
僕からするとジャズもロックもそんなに変わらないんだけど。。。

リズム問題、克服!

実感がありました。誰からも、何も言われなくなりました。
もちろん細かい問題はまだあれど、大きな4分音符、小節の単位、などが皆と共有出来ている嬉しさ。
ひとまず完成(Ver 1.0)。

僕はこの時点では、ピアニストとはとてもじゃ無いけど言えないレベル。
なので、ピアノの発音や指のフィジカルの問題でタイミングがずれたり、そういうのはまだあったけど。。
でも、ようやく、リズムセクションの一員になった感覚が生まれました。
この時23歳くらいです。3年はかかってます。

そこから2年間くらい、いろんな仕事してたけど、ロックよりのポップス、というのが多かったかな。。
そんな中、T-Squareに参加。
メンバーはみんな鬼のようにタイミングがいいです。
僕はといえば、大きな8ビートは合わせられるけど、細かい16になると小学生の頃の(笑)記憶を蘇らせて、何とか細分化させて合わせていた状態。
それでも、少しずつですが、特に、則竹さんとタイミングを合わせることが出来た時に、自分的には大きな達成感を得ました。本当に嬉しかったなぁ。。

その後出会ったサックスの本田雅人さんはもう16を合わせることに関しては、ご存知の通り、鬼です。
なので、僕としては則竹さんと本田さんによって、僕のリズム(Ver 2.0)が仕上がった感じがあります。

もちろんここに同時期にいた須藤さんからは、今に至るまで継続してずっとリズムの気持ちいい関係を継続させてもらえています。
この体験もとても嬉しいこと。そして本田さんのバンドで初めてご一緒した、ギターの梶原順さんのタイミングも鬼のような鋭さ。

そして、海外のトップミュージシャンから得たものはとても大きい。
デニスチェンバースさんとリハでファンクジャムみたいになったことがありますが、全く違うスピード感で(テンポが早いって意味じゃないです)このファンク感は、日本人のアンサンブルでは誰からも聞いたことがない。もちろん僕もついていけませんでした。

レニーカストロさんもどんなにフィルが増えても、繊細なシェイカーのプレイでも、グルーヴがずっとそこにある。極端な話、何も演奏していなくてもそこにある。

あと、僕の身近なところ、世代が近いところでいうと、
ギターの福原将宣さんからは先ほどの古い話ですが、大きな8の感覚を沢山共有できて、そしてその感覚は、当時の若い僕を沢山勇気付けてくれた。。
今でもずっと一緒の石成さんからは、梶原さんから感じた鋭さはそのまま、さらにトリッキーなところへも自由に行ける。
そして、ベースの小松さんはいつでも僕の一つの指針。
グルーヴィーなんて、そんな簡単な言葉じゃ済まされない。タイムの精度がずば抜けている。それは数年前に一瞬共演した、ウィリーウィークスさんからも同じものを感じました。。

その(3)へ続きます!

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