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「JAMPの視線」No.10(2020年3月8日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループメールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
③メディア掲載情報
④インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2020年3月8日

完全ゼロ報酬の投資信託が登場する等、アセマネ事業利潤の消失の流れに拍車がかかる中、従来型の資産運用会社ビジネスモデルが曲がり角を迎えているという見方が徐々に広がっているように感じます。
これまでコア事業だった個人向け投信運用事業の事業利潤が消失するというのは、写真フィルム市場の消失を目前にした当時の富士フィルムの状況と似ているのではないかと感じますが、資産運用会社がこのパラダイムシフトを生き残る戦略もまた少なからず残されているというのが私の考えです。
それらは大きく、A)コミュニティ戦略、B)プライベート性の具備、C)資産運用アドバイス事業基盤の提供という以下の3つに整理することができると考えます。AとBはアセマネ事業の延長線上に、Cは資産運用アドバイス事業への展開というカテゴリー分けになります。
A)コミュニティ戦略・・・資産運用会社の創業者や経営者、運用責任者がエバンジェリストとしてビジョン等を積極的に発信し、それを軸とするコミュニティで顧客を囲い込むことで、そこに利潤を確保する戦略です。例えば、既存の独立系資産運用会社のように、運用戦略自体は決して類のないものでなく、コモディティ化は一見避けられないように思われるものの、独自のコミュニティを形成することで、顧客に「ここで投資・資産運用をする意味」を感じてもらうことで囲い込みに成功している例は少なからず存在します。ただ、大手資産運用会社がコミュニティ構築のノウハウを必ずしも持っていないことに加え、少数のエバンジェリスト等に依存する「ファンクラブ的」モデルとなるリスクも孕み、そうなると長期の持続性やスケール可能性等の課題があると思われます。
B)プライベート性の具備・・・上場株等の公開資産を中心にポートフォリオ投資運用を行なうことはもはやコモディティ化は避けられないものの、何らかの形でプライベート性を商品・サービスに具備することで、「ここでしか利用できない」付加価値を創出することは可能と考えます。例えば、最近では一部のFinTech企業が提供するクラウドファンディング投資や、マネックスグループが手掛けようとしている個人向けアクティビスト投信等、そうした動きが広がりつつあります。また、個人的に注目しているのが米国で拡大しつつある「クロスオーバー投資」です。T. Rowe PriceやFidelity等が個人向け投信の投資対象の一部に非上場のスタートアップ株式を組み入れる動きが広がっており、日本のSansanやラクスル等のスタートアップ企業もそれら米国運用会社に上場前から投資を受けていました。こうした「クロスオーバー投資」が今後日本でも個人向け資産運用商品として普及することが期待されます。ただ、いずれの「プライベート性」にせよ、従来型の資産運用会社のノウハウをどこまで活用できるかということや、大手資産運用会社の巨額の受託資産額に効果を発揮する程の規模の非公開性をどこまで確保できるか等の課題はあると考えます。
C)資産運用アドバイス事業基盤の提供・・・IFAや保険・保険代理店、地銀等の対面アドバイザーチャネルによる資産運用アドバイスサービス及びビジネスが今後の主流となる中、一見すると単なる商品供給者としてしか存在意義のない資産運用会社も、投資一任事業スキームの提供基盤として存在感を示すことができると考えています。米国RIAのような小規模投資運用業者のハードルが高い日本において、対面アドバイザーが利用する投資一任事業スキーム基盤への需要は大きいと思われ、資産運用に関る専門性や哲学、ブランド等を備える資産運用会社がコア基盤として対面アドバイザーを囲い込む可能性はあるように感じています。ただ、証券や保険、住宅ローン等のサテライトその他の周辺サービスを持たないことに加え、コアを担う際の商品中立性の欠如という劣位をどう克服するかは大きな課題です。

NewsPicksダイジェスト(2020年3月2日~2020年3月8日)

2020年3月2日
【信託報酬ゼロ投信「ついに野村も動いた」】
大原コメント→
リテール金融の世界において、ブローカレッジ及びアセマネ領域からサービス付加価値と事業利潤が消失しつつあり、今後は資産運用アドバイス領域がサービス・ビジネスともに主戦場になるという見立てを持っています。
ただ、昨秋からのオンライン証券の動きをみるに、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/4682219?ref=user_121187

2020年3月3日
【地銀、強まる再編機運 合併特例法と異業種連携で】
大原コメント→
過疎化が進む地方部において、縮小する事業機会のパイでは現存する数の地域銀行全てが十分な成長機会を見出すのは困難であり、地域銀行同士の合併を通じたプレイヤー数の減少は避けられないと思われます。
一方、地域銀行同士の合併では・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/4685719?ref=user_121187

2020年3月3日
【三井住友DSアセットマネジメント社長に猿田氏】
大原コメント→
日系金融グループ子会社の資産運用会社が外部からプロフェッショナル人材を招聘し、経営のかじ取りを委ねるということは稀であり、注目に値するニュースだと思います。
証券・資産運用ビジネスが大きな変革期を迎えるなか、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/4686592?ref=user_121187

2020年3月4日
【「投資の助言役」で先を行く米国】
大原コメント→
金融危機後の「顧客の最善の利益(Best Interest)」に対する規制強化の議論を受け、米国RIA(Registered Investment Adviser)は米国資産運用業界の中核として過去10年に更に存在感を高めつつあります。
本記事にある通り、独立系アドバイザーという表現では・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/4689387?ref=user_121187

2020年3月5日
【証券営業、問われる顧客本位 手数料ゼロが契機に】
大原コメント→
記事内で紹介されている野村證券と山陰合同・阿波銀行の業務提携、だいとく投資ビレッジのIFA転換のいずれも共通していることは、金融商品仲介スキームを活用し、それぞれ自社の強み(比較優位)にリソースを配賦するという事業モデル改革です。
ブローカレッジ・アセマネ事業から・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/4692087?ref=user_121187

2020年3月5日
【つみたてNISAで初めての投資を応援する「野村スリーゼロ先進国株式投信」】
大原コメント→
野村グループの手数料ゼロ投信について思うところは多々ありますが、本記事では何より
も・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/4694749?ref=user_121187

2020年3月6日
【銀行窓販で外貨保険急減 説明ずさん、金融庁が問題視】
大原コメント→
日本円で生計を立てている一般生活者が保険機能サービスを利用する場合、本来求められている商品は日本円建てが基本であり、外貨建て商品は保険機能以外に資産運用機能が付随しています。
それであれば・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/4696902?ref=user_121187

2020年3月6日
【マニュライフ生命、PWM証券と業務提携 投信販売体制拡充】
大原コメント→
マニュライフ生命系のIFA事業会社マニュライフ・ファイナンシャル・アドバイザーズは、これまでの楽天証券との提携に加え、より丁寧な保険募集人への投信提案等の研修サポートを求め、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/4697144?ref=user_121187

2020年3月8日
【証券大手、地銀に急接近 相互に弱点補完、連携に活路】
大原コメント→
記事内でもコメントを紹介頂きましたが、昨秋から広がる大手証券会社と地域銀行の「販・販」分離型業務提携は、互いの比較優位を最大限に活用できる「一石数鳥」のスキームであり、今後も更に展開が進むことを予想しています。
ただ、足もと多くの地域銀行からご相談をお聞きしていると、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/4703037?ref=user_121187

メディア掲載情報          

■メディア掲載:インタビュー記事掲載
「資産運用会社も無料化チキンレース?まだ残る3つの収益源」
代表の大原がITmediaビジネス「金融ビジネス最前線」でインタビューを掲載頂きました。
https://www.jamplatform.com/news/2020/03/04/1115/

■メディア掲載:代表コメント紹介
「証券大手、地銀に急接近 相互に弱点補完、連携に活路」
時事ドットコムで代表の大原の証券・地銀ビジネスに関するコメントを紹介頂きました。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020030700460&g=eco

■メディア掲載:「ファンド情報」での連載開始
代表の大原が資産運用業界誌「ファンド情報」で3月23日号から毎月1回の全4回で「従来型資産運用ビジネスの終焉 ~『利潤消失』チキンレースをどう生き残るか~」という連載を寄稿させて頂くことになりました。楽しみにお待ち頂ければ幸いです。

インフォメーション       

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