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赤字309億円と報道されたクールジャパン機構。その出資の仕組みがわかりました。

ここでもよく書いている
クールジャパン機構の話。
このページを参考にしてください。
https://note.com/keihasegawa/n/n40734f155579
先日309億円の赤字の問題がクローズアップされ、
国会で組織の統廃合まで追求されていましたね。

名前は知っているが何をしているかわからない組織。
それがクールジャパン機構。
担当大臣は内閣府。所管は経済産業省。
赤字を追求したのは財務省。
その他農林水産省や外務省などと活動が混同される場合もあります。

2017年にクールジャパン政策を阪急百貨店から誘われてから、
なんとか弊社ブランドの海外進出を
機構でサポートしてもらえないかと交渉しています。

原宿の伝説クレープブリュレを海外へ!
ぶっちゃけますと、
弊社に投資してもらえませんか?という交渉です。
クールジャパン機構は官民ファンドです。
日本の「クールな事業」を海外で成長させるために、
その企業にお金を出して事業をさせるわけですが、
まず、最初から私の勘違いがあった。
投資ではなく、出資なのです。
補助金でもありませんし、助成金でもありません。

つまり増資です。
例えば弊社がその対象となったら、
機構が弊社に増資する。
当初1,000万円だったが5億1,000万円になったりする。
この出資金を、海外展開する事業に活用する。
その事業が売上をあげ、利益を生み、
企業価値を高めていく。
海外で10店舗以上展開するようになったところで売却。
10億円で売却できたら、
5億円の増資で5億円の利益が出たということになります。
簡単に言うとこんな流れです。

309億円の赤字とは、
この海外事業を行う会社に出資し、
それを原資に事業を拡大させてみたが利益が出ず、
企業価値も上がらず売却できなかった。
持っていた株をその会社にタダで譲渡した。
出資金が戻らずに赤字ということになります。

30社に10億円ずつ投資して、
売却できなければ300億円ですね。
この多くは税金です。皆さんどう思われますか?

私の会社も海外事業を計画していますので、
どうぞ出資してくださいとお願いしているのですが、
そんな簡単なものではありません。

◉まず今から海外事業をする会社はダメです。
海外から多数の問い合わせがある。
原宿で行列のクールジャパンスイーツがある。
だから海外に出店できるよう予算を、。、、
そんなのではダメなのです。
出資はミニマム5億円と言われてます。
このボリュームの出資ですから、
それなりの事業計画と企業体力、
すでに自社で行っている海外事業実績を求められます。
それで何度も跳ね返されています。
そこで思うのは、こんなに厳しい審査が何重にもあるにもかかわらず、
300億円もの出資金回収できないパターンが多いのか。
そして、今からクールジャパンとして可能性があるものは、
実績がないということで全て却下なのか。
納得できる部分もあれば、モヤモヤもあります。

◉海外事業実績がある会社でそれなりの売上高が必要です。
数億円の失敗をしたくないわけですから、
それは回収見込みのあるものに出資します。
ファンドなら当たり前です。
そうなるとすでに海外実績のある企業に絞られます。
そこでおかしなことが発生しています。
海外事業実績があっても
それはクールジャパンでしょうか?というものまで出資している。
その辺りが「機構はクールをわかっていない」と
突っ込まれるところの一つ。
海外での日本人が日系人の会社や事業ならなんでもいい
ようにも見えてしまうのです。
赤字は許されない環境でしょうから、
クールじゃなくても間違いなく回収できる日本人海外事業に、
ターゲットを絞る戦略は分からなくもないですが、
結局300億円の赤字なら、
可能性だけしかなくても新しいクールジャパンに出資しても、、、
と思ってはしまいます。

◉収益性はもちろんですが「政策性」「波及効果」が必要です。
普通のファンドなら儲かるなら、対象となるビジネスは広いのでしょう。
そこはクールジャパンです。官民ファンドです。原資は税金。
「政策性」のあるなしを求められます。
この場合の政策性とは、公共性と言い換えてもいいかもしれません。
ただ営利を目的とするのではなく、
例えばクレープを売るのであれば、それがインバウンドにつながるとか、
それが原宿の商店街を活性化させるとか、地域ブランドの発展に貢献するとか。
そこには「波及効果」も含まれ、一社に出資したことが呼び水となって、
周辺地域や業界の活性化に繋がるという効果があるか、ないか。
その辺りも審査対象のようです。
この条件はクリアできそうでクリアでない問題。
「政策性」「波及効果」ばかりを追うと「収益性」が疎かになります。
「政策性」「波及効果」「収益性」すべてが揃わないといけない。
ただ、今までの出資事例をみる限り、疑問もあります。

これクールジャパン?

日本発の発芽大豆由来の植物肉原料の世界展開を企図するフードテック・スタートアップ企業DAIZ社へ出資
https://www.cj-fund.co.jp/investment/deal_list/vol49/

アジア全域のモバイルデータを活用し 日本のモノ・サービスの販売を促進するデジタル・マーケティングへ出資
https://www.cj-fund.co.jp/files/press_200909-jp.pdf

日本のテキスタイルを活かした ワーキングウーマン向け NY 発ファッションブランドへ出資
https://www.cj-fund.co.jp/files/press_191002-jp.pdf

私の印象からすると、
クールジャパン機構の出資はそう簡単なものとは思えないです。
しかし、なぜ300億円も赤字になってしまっているのか?
シブチンの審査もあれば、
エンコな審査もあるのか?
これらの問題について何人かの国会議員にも質問しましたが、
その実態を知る人材はいませんでした。
政治サイドからのプレッシャーも弱いような気がします。
何がクールで、このクールなら回収できると
国会議員の誰一人理解できていない印象です。
これも原因の一つでしょう。

よく成功事例としてあるとんこつラーメンの海外進出の話が出ます。
機構が誕生して初めて手がけたような感じで報道されています。
私が聞いている限りは、実はこのとんこつラーメンチェーン店の海外進出は、
民間企業としての事業で成立しており、
それを後付けで機構が出資して乗っかったという説。
これが事実なら、
これぞクールジャパンというコンテンツに増資して、
予想通り収益が上がり、株式売却か譲渡での利益をあげたという実績は皆無です。

おそらくこれだけの規模の機構となると
小さな仕事を面倒に感じると思うのでしょうか。
本当はまだクールジャパンの卵と言うべき、
ポテンシャルと可能性を持ったコンテンツにも出資すべきなのでしょう。
ミニマム5億円は大きすぎます。
例えば、弊社の原宿コンテンツを海外店舗展開する場合、
1億円の増資で充分です。
月商500万円×12ヶ月×5年で3億円。
5年後に株式を2億円で売却か弊社に譲渡すれば利益が出ます。
こういった規模の案件は100件ぐらいすることも大事なのでしょう。
ただ、細かすぎて面倒でしないのでしょう。
ビジネス規模としても面白くありません。
もっと大きな仕事をしたいと欲張って能力以上のこと、
出資の結果が309億円の赤字にも見えます。

そういう努力がないと指摘されるのが正しい指摘のような気がします。

クールジャパン機構のEXITは最長でも2033年です。
その前にうやむやで統廃合してしまうかもしれません。

そこを私はなんとかしたい。

冒頭の写真は、弊社が国内でスタートさせてビジネスモデル。
原宿ミニッツJHK一号店です。
JHKとは自販機です。
原宿に行列を作ったクレープブリュレもクールジャパンですが、
外国人の方から見ると
自動販売機はクールジャパンのようです。
ちなみに日本よりアメリカの方が自販機の数は多かったします。


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