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WASDの謎

 思えば我々はいつからWASDのキーを使ってゲームをプレイしているのだろう。

 その昔、パソコンでゲームを遊ぶと言えば、自機を動かすためのキーはテンキーの2468であった。テンキーは数字が規則正しく並んでいるので、数字の2468を割り当てると上下左右の移動に都合がいいのだ。しかし、WASDはそうではない。手もとのキーボードを眺めても分かる通り、微妙にずれているし、少なくとも2468のように十字形に並んではないない。どちらかと言えば凸型だ。

 2468のキーを使ってゲームをする慣習は、PC-8801時代、PC-9801時代と続いた。しかし、ターニングポイントが訪れるのはDOS/V機が台頭し始めてからだ。初めて自作したDOS/Vマシーンは、フルキーボードだったのでテンキーはついていたが、それでも2468でゲームをしたことはほとんどなかった。その頃使っていたのは、カーソルキーだ。矢印で上下左右を指し示しているのですごくわかりやすい。ただ、キーボードによってはやっぱり凸型だ。

 時代はすぎ、いわゆるDOS/V機の後継である現在のウィンドウズパソコンが全盛となる。あれ? いつの間にか僕らはWASDでゲームをしなければならなくなっているではないか。カーソルキーは健在だ。しかし、ノートパソコンや小型キーボードが数多く現れ、カーソルキーの位置と配置は千差万別。もはやゲームに向いた配列ではなくなっている。

 何よりも、2468時代も、カーソルキー時代も、右手で自分のキャラクターを操作していたのが、WASD操作登場とともに、左手がキャラクター移動となった。

 今や、左手はWASDで移動。右手はマウスで視点切り替えがゲームにおける操作のスタンダードだ。

 こんなことを書いているが、じゃあその操作がやりにくいかと言われると、最初の2468時代から一貫して、ちょっと遊べばキーボード操作には慣れてしまった。要するに誰もキーボードの操作と、その変遷に文句を言わずに対応してしまっているのだ。もちろん僕自身も。

 あれだけ、ファミコンのコントローラーは遊びにくい。ジョイスティックがなければシューティングゲームなんかやってられないぞ。ドライブゲームはハンドルコントローラーだと、いろんな意見があったように思うが、気づいてみればすべてがキーボードとマウスの操作に収束してしまった。そんなものなのか。

 おそらく、これからはWASD操作が革新的な変化を遂げることはないのだろう。誰が発明した操作方法か、今となっては永遠の謎だが、パソコンゲーム界における自キャラ操作方法はWASDの勝利である。この操作方法が無くなるときは、キーボードが無くなるときじゃないかと思っている。僕も、よりWASD操作に慣れ、ゲームプレイに精進したいと思う。

 ただ、近年高度化するFPSに対応するため使用するキーが増える傾向にある。WASDで移動するのだが、走るためにシフトキー、しゃがむためにCTRLキー、そしてアイテムを拾う、扉を開ける、ジャンプする……ゲームが我々プレイヤーに要求する操作はより増加し、その操作は複雑化する。ゲーマーとしては負けてはいられない。これからもキーボード操作の腕を磨くのだ。負けないぞ。


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