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LEGENDARY TALES / RHAPSODY

 noteにヘヴィメタルの記事を書いている人はほとんどいないと思っている。しかし、今日は素晴らしい記事を見かけた。

 この記事に登場する『エメラルド・ソード』が収録されているアルバム『SYMPHONY OF ENCHANTED LANDS』がリリースされた当時、ラプソディ・オブ・ファイアは、まだラプソディという名前のバンドだった。

 そのラプソディが、『SYMPHONY OF ENCHANTED LANDS』の1年前、1997年にリリースしたのがデビューアルバムの『LEGENDARY TALES』だ。

 このアルバムの幕開けを飾る曲"Warrior of Ice"は、当時強烈なインパクトを持って迎えられた。今ではシンフォニックメタルというジャンルはメタルのカテゴリのひとつとして市民権を得ているが、当時はこういう重厚で、クラシック音楽とも映画音楽とも取れるような作り込まれたサウンドとメタリックなギターやヴォーカルとの融合を実現しているバンドはまだまだ少なかったからだ。

 当時、SNSなどは存在しなかったが、僕はパソコン通信の大型掲示板にある、ヘヴィメタル関連のフォーラムでこのアルバムの評判を読んでいた。「アニソンみたいだ」「こんな柔らかいギターはメタルじゃない」「ヴォーカルの声が気持ち悪い」などと散々な評価だった。特に、このメロディアスさが極まった歌メロと、きらびやかなシンセが大部分を占めることを厭わない音空間の作りが、旧来のメタルファンには受け入れがたかったようだ。

 しかし、僕はその"Warrior of Ice"を聞いただけで、このバンドのサウンドに釘付けだった。言ってみれば、ハロウィンのようなメロディックスピードメタルの流れにあるジャーマンメタル勢のサウンドをもっと大仰にしたような、重厚さを持ってファンタジックな世界観を表現したかのような音楽性は、その頃僕が求めていたメロディアスなヘヴィメタルの究極の形だったのだ。

 彼らのアルバムは連作で一大叙事詩を語っており、曲名にある「氷の戦士」は、続く『SYMPHONY OF ENCHANTED LANDS』で探し求めていた「エメラルド・ソード」を手に入れる。壮大な音作りは、壮大なストーリーをも描いていたというわけだ。

 その後、ラプソディは権利関係のトラブルからラプソディ・オブ・ファイアとバンド名を改名する。しかし、その音楽性には一片のブレもなく、今日まで自らが切り開いたシンフォニックメタル道を邁進している。力強いバンドである。バンド名を変えたことはメンバーにとってタフな経験だったようであるが、僕自身はエメラルド・ソードを手に入れたバンドが、新たな力を得て転生したよりパワフルな存在であるように解釈している。

 おそらくこれからもラプソディ・オブ・ファイアは彼ら独自の路線を突っ走ってくれるに違いない。それにしてもあれから20年以上経って、未だに彼らが健在であることに、ヘヴィメタルファンとして頼もしさを感じる。

 余談だが、クリス・インペリテリラプソディに大いに刺激され、彼らの曲をなぞったかのような名曲を書いている。それほどのインパクトがあったということだ。


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