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ホームをレスした話

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家なし生活(2年間)の日々をまとめました。
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2018年7月の記事一覧

ホームをレスした話(13)

ホームをレスした話(13)

ひとつの大きな命を生きている。

ある日、日本在住の女性から「海外に行きたいのだけれど、ひとりで行く勇気がない。よかったら、旅費を出すから一緒に行かないか」と声がかかった。結果、私たちはマレーシアとミャンマーを一緒に巡ることになった。

家なし生活を続ける私を見て、色々な人が、色々な言葉で私を形容した。ある人は「あなたは禅僧みたいですね」と言う。ある人は「アーティストみたいですね」と言う。ある人は

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ホームをレスした話(14)

ホームをレスした話(14)

横を見るな。縦を見ろ。

昔流行した歌に「涙の数だけ強くなれるよ」という歌詞がある。そのあとの歌詞は「アスファルトに咲く花のように」と続くのだけれど、当時、小学生だった私は「アスファルトに咲く花は別に涙を流したりしない」と思った。この時期から、アスファルトに咲く花側の人間になりたいと思った。涙の数だけ強くなるのではなく、粛々と突き抜けた数だけ強くなるのだと思った。

ある日、イタリアに呼ばれてロー

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ホームをレスした話(15)

ホームをレスした話(15)

センスのある損をする奴が新しい。

家なし生活を続ける中で、一点、極めて重要な発見をした。様々な人々のご自宅にお邪魔する日々を過ごしていた(これは結構稀有な体験だったと思う)のだけれど、あ、なんだかこのひとはいい感じだなと思うひとのご家庭には、必ずと言っていいほど『花』が飾られていることに気が付いた。

空間に花が一輪あるだけでも、一気に潤いが生まれる。この違いは大きい。花を愛でるためには余裕が必

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ホームをレスした話(16)

ホームをレスした話(16)

楽になる道が正解だよ。

ひとつの秘密を語ろうと思う。ある日、インドネシアのバリ島に呼ばれた。この頃、私は、体調がすこぶる悪かった。連日の移動と、他者からの期待。いつの間にかネットアイドルみたいになっていた私は、周囲から「会ってください!会ってください!」と頻繁に連絡が舞い込むようになっていた。

私は、誰とでも楽しく過ごせるタイプの人間ではない。気を遣いすぎて自滅することが多く、露骨に疲労を蓄積

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