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横に座ったほうがうまくいくときもある

「先週買ったばかりなのに、今週ニュースで新商品が出るって見たぞ!いくらしたと思ってんだ!客をバカにしてんのか!!!」

こんな電話がかかってきたら、さあ、電話に出たあなたは、どう対応しますか?

今回はそんなお話しです。

責任逃れや説得はうまくいかないことがある

新商品が出るというニュースが流れれば、実際の発売が1週間後だろうと半年後だろうと、このような電話はかかってきます。迷って迷って、意を決して購入したとたんに「お前の機種はもう古い」と言われたようなものですから、当然です。

そしてお客さまは、自分では抱えきれない不満を持ち、何とかしたくて電話をくださる。自分ではどうしたらよいのか分からないから、信じて買ったその会社に救いを求めて電話をくださるのです。

そのときに「バカにしているのか?」という訊かれたからといって「バカにしているのかというご質問ですね。バカにはしておりません。他にご質問はございませんか。」と答える人はまさかいないでしょうが、次のような対応をしてしまうことはありませんか?
(次のような対応をされた人はきっといると思います)

「それは弊社の決定でございまして、わたくしどもの部署では……」と自分のあずかり知らぬところで行われたと、責任逃れを言いたくなったり、
「お客さまに、よりご満足いただけるように常に開発を行っておりますので……」などと自社の都合を押し付けて説得しようとしたりする人はいるのではないでしょうか。

しかし、責任逃れや説得は、せっかく自社を信じて電話をくださったお客さまを、追い払ってしまったりクレーマーにしてしまったりする恐れがあります。

では、どうするのか。

最近、デモクラシーフィットネスというものを知りましたので、その概念を使って説明しましょう。

デモクラシーフィットネスとは

「デモクラシーを維持し、評価し、発展させ、次世代につなげるため」デンマークで生まれたコミュニケーションスキルのレッスンのことです。

デモクラシーフィットネスのfacebookはこちら

民主的なコミュニケーションに必要なスキルを筋肉にたとえ、その一つ一つを繰り返し鍛えていきます。

その筋肉のうちの一つにまきこみ筋があります。この、まきこみ筋を鍛えるレッスンに出た体験を踏まえて、日本文化とデモクラシー、ひいては主体的に生きることの重要性について説いたのが、こちらの記事です。

今回は、敬語のマガジンとは別の視点で電話応対におけるまきこみ筋の応用について書いていきます。

まきこみ筋と電話応対

電話応対、特に受電対応においては、お客さまに何かしらの要望があります。それが単なる質問であれば、情報を調べ、調べた情報を伝えるだけなので、対応者側に主体性はそれほど必要とされません。

しかし、それがさらに、なんらかの要望だったり、要望という形をなしていない不満の表出だったりすると、どうしたらよいのかが明確に示されず、お客さまに訊かれたことに答えるのが仕事だと思っていた対応者は困ってしまいます。

そんなとき、このデモクラシーフィットネスで鍛えるまきこみ筋が使えます。

フィットネスの内容自体をあまり詳しく説明してしまうと、これから参加する方の気づきを邪魔してしまうかもしれませんので、詳しくは触れませんが、このまきこみ筋を電話応対でいうならば、お客さまの問題を自社の問題として捉え、どうすれば解決できるかをお客さまと一緒に探っていこうとする姿勢のことです。

スタートはお客さまの問題です。なので、本来の主体はお客さまのはずです。しかし、たいていのお客さまは冒頭のような対立を迫る言葉しか出てきません。自分の問題だからこそ、落ち着いて客観視することが難しいのです。

そこで、電話を受けた対応者が、この問題を客観的に捉えて、かつ主体的に取り組むことで、主客が一体となることができます。

本来の主体であるお客さまと、主体的に取り組む対応者が、手を取り合って共通の問題の解決に取り組めば、対立は生まれません

今回のフィットネスで学んだことで、私が一番広めたいのは、次の言葉です。

ちょっと横に来てもらう

問題に対し、まきこみ、まきこまれることができたなら、それは「あなたの問題」から「わたしたちの問題」に変わります。

あなたがいつ買ったかなんて、ウチの責任じゃないから知らない。
あなたの問題はあなたの問題、私は関係ない。
”分かる”のはウチじゃない。あなたが分かってください。

このような立ち位置では、断絶しか生まれません。

お客さまが抱えている問題を、なんとか説得して封じ込めようとすることは、頑張れば頑張るほど対立構造を深めてしまうことにつながります。

それは大変だ。
私たちが新商品を出すときに、どんな一工夫があればあなたはこんな思いをせずに済んだんだろう。
あなたにウチを好きでい続けてもらいたいから、一緒に考えましょう。

一方で、このような立ち位置を取れば、問題は共有されるので一体感が生まれます。行われるのは説得ではなく、共同作業です。

会社はお客さまのお役に立てることを考え、お客さまは会社がより良くなるよう関わる。

お客さまがウチの会社のために一生懸命考えてくださるとしたら、そのお客さまは紛れもなく「ウチのファン」ですよね。

このまきこみ筋は、別名を「Friendly Wave」というそうです。
良い響きだと思いませんか。

お客さまにとってストレスのない対応は、対応者にとってもストレスのない対応です。

デモクラシーフィットネスは民主主義を守り、維持していくための運動ですが、まずは半径3メートルの範囲で、民主主義を実現してみてはいかがでしょう。

電話応対だけでなく、いろんなところで役に立つと思います。

それでは、また。

もっと詳しく知りたいという方は、どうぞ以下のバナーからお申し込みください。ささやかですが、500円OFFでお申し込みになれます。






世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。