トニ・クロースが稀代のプレーメイカーたる所以。モダンサッカーのトレンドとレアル・マドリーのジレンマから浮かび上がる特異性
こんにちは。
国内外の最先端のサッカーを扱う専門誌『footballista』に、特集「プレーメイカーは絶滅するのか?」昨季で引退したトニ・クロースの分析記事を寄稿しました。
こちら、以前にfootballistaではなく個人的に執筆し、公開した「トニ・クロースは何がすごいのか?」という記事の続編のような内容となっています。プレーをより深掘りした前作に加えて、クロースのようなプレーメイカーが欧州フットボールにおいてどのように求められてきたのかというトレンドとの関連性から、逆にクロースがいかに他に類を見ないプレーメイカーであったのかを論じています。また、そのようなキャリアを歩むに至ったクロースに大きな影響を与えたであろうカルロ・アンチェロッティのマネジメントについても言及しています。
クロースが引退したことで主にマドリーのビルドアップ局面でどのような問題が生じているのかという点や、より大枠の目指すフットボールの方向性の変化と抱えているジレンマについても内容に盛り込んでいるのですが、筆者は昨季のマドリーが見せた攻撃の再現性の高さから、正直なところもう少し上手くやると思っていました。現状では、ビルドアップがうまく行かずにジュード・ベリンガムがゴールに近い位置でプレーできない、そして孤立するキリアン・エンバペに対する戦術的な解決策や個人戦術の落とし込みも見られない。再現性や秩序はあくまでクロースの“個人としてのクオリティ”によってもたらされていたのだと痛感しました。攻撃の自由を与えるマネジメントだけでは勝てない時代になりつつあるのか、あるいはそれをいかに打破していくのか。もう少し見守っていきたいです。
また、この特集では筆者の東京大学運動会ア式蹴球部(サッカー部)時代の先輩である2人の記事が公開されています。こちらも合わせてぜひご一読ください。
最後に、話が変わりますが、所属するエリース東京FCの関東サッカーリーグ1部全日程(18試合)が終了し、10チーム中7位という順位に終わりました。
テクニカルコーチとして現場に立ち2シーズン目となりましたが、今季は苦しいシーズンでした。まず前提として、これまで記事を読んでいただいていた方なら薄々感じていたことと思いますが、個人としてもチームとしてもポジショナルプレーを標榜し、魅力的なフットボールを目指してきました。今季のボール保持率の平均は65%。どのカテゴリーを見てもこれほど安定してボールを握ることができるチームはあまりいないのではないかと思います。
しかし、持つだけでは勝てないのは当然の話です。昨季は2部で48ゴールを奪いましたが、今季はその約半分の25。1部の守備強度の高さは2部とは比べ物にならず、またカウンターの鋭さやセットプレーの怖さも大きく違いました。端から見れば昇格チームが洗礼を受けたように見えると思いますし、実際にそうでした。とはいえ、降格も近づいていた状況で終盤には3連勝を達成し、自力で残留を勝ち取ることができたのはチームとして非常に大きかったです。
地域リーグは注目を浴びづらいカテゴリーではあるかと思いますが、今季はこれから全国社会人サッカー選手権大会の本戦が滋賀県で行われます。ここで勝ち上がるとJFLに昇格するチームを決めるリーグ戦への参加資格を得ることになります。
Xでは度々エリース東京FCのフットボールや試合結果に言及してくださっている方々を見かけるようになりました。今季も最後まで強く魅力的なチームになるよう取り組み続けるので、ぜひ注目してください。
最後に、リーグ戦のフルマッチ動画のリンクを載せておきます(南葛SCさんのチャンネルより)。
最後までお読みいただきありがとうございました!