“パウパー”ってなんぞや?
どうも、はじめましての人ははじめまして。そうでない人はこんにちは。けいがと言います。主にMagic Onlineでパウパーを遊んでいます。
今回は、コモン限定構築フォーマット“パウパー”について、「プレインズウォーカーも相棒もいないフォーマットか……MOでやってみようかな?」と思っている人向けに、簡単ですが紹介をしたいと思います。
どんなカードが使えるの?
テーブルトップ、MOのいずれかで一度でもコモンとして収録されたことのあるカードが全て使用できます。ローテーションはありません。Gathererで検索するとパウパーリーガルかどうかを確認できるので、「これ使えるのかな?」と思ったら検索してみることをオススメします。禁止カードも存在します。
「コモンカードしか使えないんじゃ、カードパワーが低いんじゃないの?」と思う人もいるかと思います。しかし、そんな事はありません。使えるカードを少し見ていきましょう。
スタンダードでは2マナ3点火力すらなかなか見かけませんが、パウパーでは1マナ3点の《稲妻/Lightning Bolt》が使えます。
モダンで禁止、ヴィンテージで制限カードに指定されている《思案/Ponder》も4枚使えます。
モダンで禁止にされているアーティファクト・土地もすべて使えます。《物読み/Thoughtcast》は1マナ2ドローだし《感電破/Galvanic Blast》は1マナ4点火力です。
どうでしょう? 少しワクワクしてきませんか?
どんな環境なの?
軽い呪文が強い
使えるカードのところでも少し触れましたが、軽くて強い呪文が多いです。1マナ3点が基本の環境なので、少々マナレシオが良いだけのクリーチャーでは活躍できません。ちなみに、パウパーの除去の強さは赤>黒です。《ラゴンナ団の先駆者/Lagonna-Band Trailblazer》や《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》といった高タフネスのクリーチャーや、《ボーラスの占い師/Augur of Bolas》といったアドバンテージを取れるクリーチャーの評価が高いですね。また、《対抗呪文/Counterspell》がバリバリの現役なので、3マナ以上のカードはよほどのリターンがないと使われません。
《渦まく知識/Brainstorm》や《思案/Ponder》、《定業/Preordain》などのドロースペルも充実しています。ただし、他のフォーマットと違い、アンタップインのフェッチランドがないため、自力で不要牌を弾ける《定業/Preordain》の優先度が基本的には一番高いですね。
また、《対抗呪文/Counterspell》からの《赤霊破/Red Elemental Blast》や《青霊破/Blue Elemental Blast》、《払拭/Dispel》によるカウンター合戦はパウパーの見どころのひとつです。
大量にアドバンテージを稼ぐカードがほとんど無い
一方、プレインズウォーカーや、重くて強い呪文などは基本的にコモンにはないので、1対2交換をとるのがせいぜいです。細かいアドバンテージのやり取りが難しく、そして楽しいところです。
そんな中、《熟考漂い/Mulldrifter》は5マナながら2/2飛行に2ドローがついてくるという破格の性能です。ウルザトロンなどの遅いデッキを支えているカードですね。
《深き刻の忍者/Ninja of the Deep Hours》も、《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》や《ボーラスの占い師/Augur of Bolas》などのアドバンテージを取れるカードを回収しながらドローを進められる、大量アドバンテージにつながる可能性のあるカードです。青いテンポデッキを支えるカードですね。
タフネス1に対する当たりが厳しい
パウパーは全体除去の少ない環境ですが、タフネス1のクリーチャーに対しては話は別です。《電謀/Electrickery》や《吐き気/Nausea》、最近だと《息詰まる噴煙/Suffocating Fumes》など、タフネス1のクリーチャーを一掃するカードは多いですね。
また、《ボーラスの占い師/Augur of Bolas》や《海門の神官/Sea Gate Oracle》といったクリーチャーをコントロール側が使っていることもあり、タフネス1と2の間にはかなり大きな壁がありますね。
《墓所のネズミ/Crypt Rats》や《黒死病/Pestilence》、《クラーク族のシャーマン/Krark-Clan Shaman》や《渦巻く砂嵐/Swirling Sandstorm》といった、タフネス2以上を薙ぎ払える全体除去も少ないながらあります。
マナベースが弱い
強力な2色土地などは基本的にレアにしかないので、1点ゲインのついたタップインランドやバウンスランドが使われます。そのため、アグロデッキは単色が基本、コントロールデッキでも2色が限界です。もちろん、3色のアグロデッキの親和や、5色のコントロールデッキのディンローヴァ・トロンなど、例外もあります。
《灰のやせ地/Ash Barrens》は必要な色マナを必要なターンに出せるため、様々な多色デッキで採用されています。《渦まく知識/Brainstorm》や《思案/Ponder》との相性も良いですね。
試合時間が長くなりやすい
1枚で試合を決めるカードがないということは、試合時間が長くなりやすいということでもあります。アグロデッキ対コントロールデッキなどでも、アグロ側が《怨恨/Rancor》などを使ってギリギリの攻めをつなげ、コントロール側が除去とクリーチャーを駆使して受ける……といった攻防が頻発します。ミッドレンジやクロックパーミッション同士の戦いでも、細かいアドバンテージの取り合いを続けた結果、お互いに決め手がなく長引くことが多いです。
特にウルザトロンを使うと、MOでは常に持ち時間との戦いとなります。一時はゲームの決着を早めるために《とどろく雷鳴/Rolling Thunder》を1枚刺しておくのが定番となっていました。
こういった事情から、アグロデッキ以外でのリーグ周回はオススメできません。もちろん、している人はしているんですけれどね。
どんなデッキがあるの?
MTGGoldfishを見よう!
……と投げっぱなしにしてしまっては申し訳ないので、メジャーなデッキをいくつか紹介させていただきます。ここで紹介したデッキ以外にもたくさんのデッキがありますので、冗談ではなくMTGGoldfishも見てみてくださいね。
ディンローヴァ・トロン
パウパーでもウルザランドは使えます。大量のマナを使って、重たいながらも強力な《熟考漂い/Mulldrifter》や《神秘の指導/Mystical Teachings》でコントロールし、デッキ名にもなっているフィニッシャーの《ディンローヴァの恐怖/Dinrova Horror》につなげます。
《儚い存在/Ephemerate》や《幽霊のゆらめき/Ghostly Flicker》と《記憶の壁/Mnemonic Wall》の明滅コンボが搭載されており、《ディンローヴァの恐怖/Dinrova Horror》や《石角の高官/Stonehorn Dignitary》を毎ターン何度も明滅させ、ロック状態にもちこむのが勝ちパターンです。
基本は白青の2色ですが、サイドボードまで見ると5色すべてのカードが採用されています。それを支えるのが《予言のプリズム/Prophetic Prism》。《誘惑の洞窟/Cave of Temptation》と合わせて、5色デッキを成立させています。
ボロス・ラリー
《戦隊の鷹/Squadron Hawk》や《金切るときの声/Battle Screech》といった飛行クリーチャーを横並べして、デッキ名にもなっている《農民の結集/Rally the Peasants》でフィニッシュを狙うミッドレンジデッキです。赤要素は火力と《信仰無き物あさり/Faithless Looting》のみですが、この《信仰無き物あさり/Faithless Looting》がデッキの軸として活きるように構築されており、粘り強く戦うことができます。
パウパーのアグロデッキは単色が多いので、《虹色の断片/Prismatic Strands》が非常に刺さります。手札からプレイしても強いですが、《信仰無き物あさり/Faithless Looting》で捨てて墓地からプレッシャーをかけるのも強いですね。
アドバンテージを得る手段が限られるパウパーにおいて、統治者による毎ターンドローは非常に強力です。《虹色の断片/Prismatic Strands》で統治者を守りやすいのもポイントですね。
黒単信心コントロール
根強いファンをもつ黒単コントロールです。黒のお家芸であるクリーチャー除去と手札破壊でコントロールをしながら、スタンダードでもおなじみ《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》でのフィニッシュを狙います。コントロールデッキながら単色でまとまっているので、カラースクリューがないのがGoodですね。一時は他のデッキに押されて衰退気味でしたが、最近また隆盛の兆しを見せています。
除去は布告除去の《チェイナーの布告/Chainer's Edict》や《ゲスの評決/Geth's Verdict》と、《汚涜/Defile》が主に使われます。《チェイナーの布告/Chainer's Edict》は一度もコモンカードとして印刷されたことがなく、パウパーの使えるカードの説明で挙げられることが多いですね。
クリーチャーは《ファイレクシアの憤怒鬼/Phyrexian Rager》や《騒がしいネズミ/Chittering Rats》、《クォムバッジの魔女/Cuombajj Witches》などが採用され、アドバンテージと黒への信心を稼ぎながら、対戦相手にプレッシャーをかけます。コントロールデッキという分類にはなっていますが、ミッドレンジのようなイメージのデッキですね。
どのくらいの予算でデッキが組めるの?
コモンカードばかりなので、デッキを安く組めるというのもパウパーの魅力のひとつですね。参考までに、今回紹介したディンローヴァ・トロンは約30チケット、ボロスラリーは約60チケット、黒単信心コントロールは約30チケットでそれぞれ組むことができます(いずれも記事執筆時点)。
少し高いコモンカードもありますが、そういったカードは一部の例外を除いて色々なデッキで使われるカードです。例えば《定業/Preordain》は1枚約1チケットとコモンカードとしてはそれなりのお値段ですが、パウパーの青いデッキならほぼ確実に使うため、1度買ってしまえば他のデッキでも使い回せるので長い目で見れば得になります。
おわりに
パウパーは非常に奥深いフォーマットで、他のフォーマットでは味わえない独特の楽しさがあります。レガシーなどと同じく、一度買ったカードがローテーションによって使えなくなるということもないので、ひとつのデッキをブラッシュアップしながら使い続けることができますね。MOのリーグやフォーマットチャレンジではこの魅力に取り憑かれたスパイクたちがデッキとスキルを磨き続けています。この記事がその魅力の洞窟の入口になれば幸いです。
以上です。ここまで読んでいただきありがとうございました。質問等ありましたらコメントかTwitterでのリプライでお願いします。
※この記事はファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。©Wizards of the Coast LLC.※
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?