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アースオーバーシュートデー 20220804解説

アースオーバーシュートデー、2022年は7月28日 1年間の生物資源を使い果たす日

アースオーバーシュートとは?

オーバーシュートには、分野によっていろいろな意味がありますが、要は「行き過ぎる」こと。
アース×オーバーシュートの場合には、地球の1年間の許容範囲を超えて資源・エネルギー・環境容量を「使い過ぎる」ということ。
それが今年は7月28日だった、というニュース。

「年収」にたとえると

元旦から数えると、7月28日は209日目。今年は365-209=156日残っています。

仮に、地球の1年間の資源・エネルギー・環境容量の許容範囲を、「年収」にたとえてみましょう。
単純にいうと、アースオーバーシュートデーが7月28日だったということは、年収分の金額を、その日までに使い切ってしまった、というのと同じです。
すると、7月29日から12月31日までの156日間はどうやって暮らしたらよいのでしょうか?ただ座して死を待つのではないとすれば、

  • 案1:貯金を取り崩す

  • 案2:前借りする

のいずれか、もしくはその両方で、何とかしのいでいく、ということになります。
その場合、個人の生活であれば、

  • 案3:少しでも節約・倹約してつつましく暮らそうとする

はずですが、人類全体でいうと、そうはならず、7月29日以降も、7月28日以前と同じように物事が進んでいます。

貯金は誰が作ったのか?

ところで、「案1:貯金を取り崩す」ことができるとした場合、その貯金は誰が作ったのでしょうか?

個人の場合は、「受け継いだ遺産+自助努力」ということになりますが、人類全体でいうと、自助努力の部分は50年以上にわたり「マイナス」です(記事参照)。

「受け継いだ遺産」の部分は、過去の世代が使わずにとっておいてくれた「資源・エネルギー・環境容量」ということになりますが、さて、残り、どれだけあるのでしょうか。

前借りは誰からするのか?

一方、「案2:前借りする」ことができるとした場合、誰から借りるのでしょうか?

個人の場合は、「本人から」ですね。で、前借りした分を返さなければ、その分、減るのは本人の将来の収入です。自己完結できます。

しかし、人類全体でいうと、「現在世代」が借りるのは「将来世代」からで、「現在世代」が返さないと、その影響を受けるのは「現在世代」(=本人)ではなく、「将来世代」(=子孫)です。

で、すでに50年以上にわたり、将来世代からの前借りを続けてきたわけです。国債と同じで、借金を返すのに借金をしている状態です。

オーバーシュートしないためには?

さて、自分の年収以上の暮らしを続け、遺産を食いつぶし、前借を続けていたら、どうなるでしょうか?
早々に破綻・破産ですね。自業自得です(自「得」と言いますが、得をするわけではなく、自分が「損」を引き受けなければならない)。

しかし、人類全体の場合、自業他損の構造です。これがつま
り、持続「不」可能ということです。

サステイナブル(持続可能)というのは、そのように自業他損にせず、現在世代が暮らしていく(将来世代もそのように暮らしていく)ということになります。

個人の場合は、自分の年収以内の暮らしにする、人類全体でいえば、アースオーバーシュートデーが年内に訪れないようにする、つまり、人類80億人の暮らしに必要な「資源・エネルギー・環境容量」が、地球1個分以内に収まるようにする、ということです。

そこで50年前のストックホルム会議のキャッチフレーズ「Only One Earth」が出てくるわけです。「地球は1個しかないよ。」

環境効率2倍(ファクター2)が必要


ちなみに、冒頭の記事によれば、1972年のアースオーバーシュートデーは、12月14日だったので、「ちょっと」がんばれば、持続「不」可能から持続可能へ移行できました。
「ちょっと」というのは5%ぐらいの効率化です(349日÷366日=95.3%)

しかし今や、「ものすごく」がんばらないといけません(209日÷365日=57.3%)。40%以上の効率化です。1990年代に出てきた環境効率の考え方でいえば、ファクター2が必要です。

著者プロフィール(サステイナブル歴30年の眼)






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