11月9日-11月22日|「旅の欠片 Un morceau de voyage」Yoshimi Azuma Clay Works Exhibition
今年の夏、東さんが滞在したのはモロッコ・マラケシュ近郊の農場。高さ50mにもなるユーカリの木がそびえ立ち、毎日その大木を見上げて過ごしたのだそうです。
驚くほど沢山の種類のサボテン、アロエやアガペ、そして見上げた空を覆うユーカリの葉…。モロッコで目にした圧倒的な緑と、乾燥した赤土の色、それから黒。窓辺には、日本の景色とはまた違う、力強く奥深い色彩の作品が並びます。
うねるような緑色と土色は、あえて変化の大きな釉薬を使うことによってあらわれ出たもの。同じ色はひとつとしてありません。
力強く、荒々しい。
まるで自然そのもののような。
しかしどこか円みを帯びてやわらかなのは、直線的でないその輪郭によるものでしょうか。
モロッコの土壁の家々は、まるで大地からぬっと生えてきたみたいに、地面と同じ色をして並んでいるのだそうです。ユーカリの大木も建物もその土から生まれ、農場の動物も人も同じ土の上を歩く。「黒色はすべてを受け止める土のイメージなのかもしれません」と東さんは言います。
農場の名前が付けられた「Slimane(スリマネ)cup」の、不思議と手に沿って落ち着くような窪み。モロッコの人々、そしてものづくりがおおらかなのは、彼らの営みの根幹を支える大地が影響しているのかもしれません。
鉄分とマンガンを多く含んだ釉薬から生まれる東さんの黒は、よく見ると瞬くようにきらきらとしています。
種のように、エネルギーをじっと溜めてふくらみつつあるような「germe(ジェルミ) 」。ユーカリの実の形状を連想させる土色のリム皿。あまりの土で手が自然とかたち作っていたという「Eucalyptus(ユーカリプテュス) 」。一昨年の展示「Tuberons Plant」、昨年の展示「pappir og steinn 」で見かけた作品も、印象を変えて新たに生まれました。ユーカリは、今回の作品のはじまりです。
東さんが様々な地で拾い集めてきた旅の欠片。それを起点とし、すべてが有機的に繋がりながら新たな作品が生まれています。作品を通じて、そこに閉じ込められた異国の地の空気や時間の流れ、手触りを感じていただけたら幸いです。
東 好美 Yoshimi Azuma
京都生まれ。京都教育大学美術学科卒業後、渡仏。MJM graphic designでディスプレイデザインを学ぶ。京都府陶工高等技術専門校成形科修了。手のひらに収まる小さな器から、私たちを包み込む空間という器まで。テーブルウェアからはじまる空間づくりの提案をコンセプトに活動を続けている。
http://www.azurer.com/
旅の欠片 Un morceau de voyage
Yoshimi Azuma Clay Works Exhibition
2024年11月9日(土)〜11月22日(金)
11:00〜19:00(最終日は14:00まで)
恵文社一乗寺店生活館ミニギャラリー
●作家在廊日
9日(土)14:00~17:00頃
10日(日)13:00~17:00頃
13日(水)14:00~17:00頃
15日(金)13:00~17:00頃
16日(土)11:00~16:00頃
20日(水)13:00~17:00頃
22日(金)11:00~14:00頃
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