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【新種牡馬研究】サトノダイヤモンド

名牝マルペンサが残した傑作

<馬名>
サトノダイヤモンド
 <プロフィール>
2013年生、ノーザンファーム産、18戦8勝
<主な勝ち鞍>
2016年菊花賞(芝3000m)
2016年有馬記念(芝2500m)

サトノダイヤモンド

母マルペンサは2010年アルゼンチン銀杯、2011年フィルベルトレレナ大賞、クリアドレス大賞という芝とダートの2000mGⅠを制したアルゼンチンの名牝。その父OrpenはAlmahmoud→Natalma牝系であり、3代父Northern DancerもNatalmaの仔。さらに、母父父HaloもCosmahを経由したAlmahmoud牝系であり、Orpen自身はAlmahmoud→Natalma血脈を豊富に内包した血統馬である。また、母父Southern HaloもHalo×Northern Dancerであるため、Almahmoudを3×4でインブリードした形。それに対して、マルペンサ自身の牝系はイギリス→アルゼンチンで育んだ異系血脈であり、母母の部分にAlmahmoud血脈が入らない配合のバランスは高く評価できる。引退後は日本で繁殖生活を送り、初年度産駒からサトノダイヤモンドを輩出。4番仔サトノジェネシスの出産後、結腸捻転を発症して亡くなってしまったため産駒は少ないが、繁殖能力に関しては疑いようがない実績を残したといえるだろう。

父ディープインパクトは国内外で14戦12勝の競走成績を残した日本競馬を代表する歴史的名馬。入厩時に厩務員が本当に牡馬なのかと疑い股間を覗いたというエピソードがあるくらい華奢な体つきで、馬格に恵まれた全兄ブラックタイドと比較すると決して見栄えのする馬ではなかった(ブラックタイド:当歳セレクトセール9600万円、ディープインパクト:同7000万円)。ただ、ネコ科のような身体の柔軟性を持ち、小柄ながらも馬体のバランスは文句なし。バイオメカニズム的にも理にかなった走り方だったと言われている。母ウインドインハーヘアは現役時代に独GⅠアラルポカルに勝った中長距離馬。その母Highclereは父がFair Trialの3×3、母がHyperionの3×2とそれぞれインブリードが強い。「Hyperion+Son-in-Law」は粘り強さや底力を増すニックスとして有名で、さらにその仔ウインドインハーヘアはFair Trialを2本、Hyperionを1本追加した配合。ディープインパクトといえば瞬発力というイメージが強いが、2006年天皇賞春でレコード勝ちを挙げられたのは母方のFair TrialやHyperionからスタミナや底力を受け継いだおかげというわけだ。また、代名詞である瞬発力は父サンデーサイレンスから受け継ぐものであり、さらにはHalo≒Sir Ivorの2×4も手助けとなっている。柔らかくバネのような体質はここに由来し、ディープインパクト産駒の切れるイメージはサンデーサイレンスやHalo≒Sir Ivorらしさといえるだろう。

本馬はHaloの3×5・4を中心に父の瞬発力源を増幅。さらに、4代母TalonadaがDonatelloやSon-in-Lawなどを持つため、父のスタミナ源もしっかりと刺激した配合形である。均整の取れた好馬体からもその素質の高さがうかがえ、ダイナミックなフットワークから繰り出す息の長い末脚は活躍の舞台を選ばなかった。2016年日本ダービーでは上がり3F33秒台前半の瞬発力勝負でマカヒキと接戦を演じ、2016年有馬記念では豊富なスタミナを武器にキタサンブラックに勝利。良血に違わぬ競走馬としての完成度の高さは父の産駒の中でもトップクラスの素材であっただろう。

産駒を数十頭見た印象では、インブリードがきついこともあってか、自身に似た背中の長い芝中長距離馬を多く出しているイメージ。そのため、基本的には父と同様に芝中長距離が活躍の条件となりそうだ。ただ、馬格に恵まれているため、下級条件ではダート中距離での活躍も見られるだろう。これは、同カテゴリーで活躍したハーツクライやキタサンブラックにも共通している点だ。

注目の組み合わせとして取り上げたいのは、母父Orpenの母Bonita Francitaを刺激する形。同馬はMachiavellian(1989年モルニ賞、サラマンドル賞)やCoup de Genie(1993年モルニ賞、サラマンドル賞)などを出した名繁殖牝馬Coup de Folieの3/4同血の妹であり、牝系はAlmahmoud→Natalmaに遡る名門の一族だ。特に、Machiavellianはフィリーサイアーとして有名で、現在は母方に入って数多くの活躍馬を輩出している。中長距離向きの父にスピードを足す効果も見込めるため、注目配合として最初に取り上げた。

Machiavellian
バゴ(母母Coup de Genie)

また、父ディープインパクトと相性の良い血も継続するだろう。特に、キズナやリアルスティール=ラヴズオンリーユーなど数多くのGⅠ馬を輩出するStorm Cat、驚異的な勝ち上がり率を誇るUnbridled's Song、Tiznowなどが代表例か。その代表例がコントレイルであり、これらとの組み合わせでは父の産駒の中でも瞬発力に秀でた産駒が多く出るだろう。

コントレイル

他では、Rahyにも注目。その父Blushing Groomを持つディープインパクト産駒にはヴィルシーナ=ヴィブロス、マカヒキ、ポタジェ、ミッキークイーンなど数多くのGⅠ馬がいるほか、母Glorious Songはサトノダイヤモンドの母方に入るDevil's Bagと全姉弟という間柄。これも、父に非凡なスピードを足してくれるだろう。

Rahy

1点注意したいのはHaloの血量。本馬自身がHaloを3×5・4でインブリードしているため、繁殖牝馬についてはHaloを1本以下に押さえたいところだ。産駒はサンデーサイレンスが3代目に入る形になるため、同馬のインブリードも積極的に取り入れる必要はないだろう。

美野真一さんにも現場の声を聞いているので、下記動画もよろしくお願いします。

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