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【AJCC】中山芝2200mはリピーター続出!?性別と季節の関係とは?

この記事では2022年AJCC(アメリカジョッキークラブカップ)の血統傾向を解説しています。

コースレイアウトやラップバランスなどからレースで求められる資質を整理し、その条件に強い血統を紹介します。種牡馬などの簡単な血統傾向からインブリードなどの配合のポイントまで、血統初心者から血統マニアまで参考になる解説を心掛けています。各馬の血統診断や馬場解説等はYouTubeメンバーシップ、最終予想はYouTube動画で配信しています!

≪坂上 明大(Sakagami Akihiro)≫
 1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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≪生駒 永観(Ikoma Eikan)≫
 競馬評論家・血統研究家。サラブレで『種牡馬のトリセツ』を連載中。望田潤氏の配合論に感銘を受け、師と仰ぐ。2014年、「競馬 最強の法則」にてデビュー後、「サラブレ」などで活躍。2020年には坂上明大氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。
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リピーターの多い特殊条件

日時:2022年1月23日(日)
コース:中山芝2200m
条件:GⅡ・4歳以上OP・別定戦

(坂上)
今週は中山芝外回りの2200mというやや特殊なコース条件で行われるAJCCです。ラップは以下の通りで、前半やや遅めからの後半は持続力勝負といった流れ。ただ、これは中山芝外回りのコースレイアウトも影響しており、残り1600mまでは強めの上りですから、数字ほど楽なラップを刻んでいるわけではありません。

<AJCCの平均ラップ(過去10年)>
12.5-11.5-12.8-12.4-12.5-12.3-12.1-12.0-12.0-11.8-12.3

(参照)JRA公式ホームページ

(坂上)
また、向正面~3角は緩いカーブですから、比較的マクリの決まりやすいコースでもあります。「先行力」が求められる内回りの1800mや2000mよりも「末脚の持続力」が求められるのが中山芝2200mというコースといえるでしょう。

(参照)JRA公式ホームページ

(生駒)
そういった特殊性が中山芝2200m巧者をたくさん出している要因なんでしょうね。近年ではミッキースワロー(2017年セントライト記念1着、2018年AJCC2着、2019年オールカマー2着)が代表例ですし、遡ればマツリダゴッホ(2007年AJCC1着、オールカマー1着、2008年オールカマー1着、2009年オールカマー1着)やトウショウシロッコ(2006年セントライト記念2着、2008年オールカマー3着、2009年AJCC3着、2010年AJCC3着、2010年オールカマー3着)など挙げれば切りがありませんね。

・中山芝2200m重賞の複数回好走馬
ラストドラフト(2020AJCC3着、2021年AJCC3着)
ステイフーリッシュ(2020年AJCC2着、2020年オールカマー3着)
ミッキースワロー(2017年セントライト記念1着、2018年AJCC2着、2019年オールカマー2着)
グレイル(2018年セントライト記念3着、2019年オールカマー)
ダンビュライト(2018年AJCC1着、オールカマー3着)
アルアイン(2017年セントライト記念2着、2018年オールカマー2着)
タンタアレグリア(2017年AJCC1着、オールカマー3着)
ゼーヴィント(2016年セントライト記念2着、2017年AJCC2着)


Princely Gift vs Lyphard !?

(生駒)
中山芝2200mが特殊条件であることは間違いないんですが、血統的にはいろんなアプローチができるので、絞るのがちょっと難しいんですよね(笑)ただ、そのなかでも注目しているのはPrincely Giftでしょうか。Princely Giftはトモが薄い反面、前捌きが柔軟で下り坂を下ることに長けた血統です。特にステイゴールド系の活躍が目立っており、昨年はAJCC2着馬ヴェルトライゼンデ(父ドリームジャーニー)、セントライト記念2着馬ソーヴァリアント(父オルフェーヴル)、オールカマー2着馬ウインキートス(父ゴールドシップ)とすべての中山芝2200m重賞で連対を果たしました。

Princely Gift
Pharos=Fairwayの3×3、Blandfordの4×3、The Tetrarchの4×5、Sundridgeの5×6などインブリードのうるさい父母相似配合で、早熟傾向の短距離血統といえるだろう。細身、かつ斜尻の馬体構造から時として非力さが欠点となる場合があり、それが欧州ではなく日本での成功に繋がったのかもしれない。父系としてはサクラバクシンオーの直仔が細々と繋いでいるに過ぎないが、名種牡馬ステイゴールドの母母母父として血統表には残っており、その仔ゴールドシップが本馬を5×5でインブリードして増幅。同馬の産駒が平坦コースを得意とすることは本馬のインブリードに起因していると推測できる。柔らかく、かつ軽いスピードは平坦や下り坂で今もなお存在感を示している。

(坂上)
なるほど。ただ、自分はLyphardから攻めたい派ですね(笑)LyphardはLady Juror~Fair Trial的なスピードと持続力が特徴ですから、3~4角でスッとペースアップする姿が似合うんですよね。Lyphardを直接インブリードする形でもいいですし、DanzigNureyevなどでLady Juror~Fair Trialを増幅する形もありかなと。AJCCではどうも成績が振るいませんが、オールカマーやセントライト記念での成績を考慮すれば十分狙いが立ちそうです。

Lyphardインブリード馬の成績(過去10年)

Lyphard
競走馬としても芝のマイラーとしてフランスでG1・2勝を挙げたが、引退後はダンシングブレーヴ(1986年英2000ギニー、キングジョージⅥ&QEDS、凱旋門賞)を筆頭に多数のG1馬を輩出して種牡馬として大成功を収めた。父Northern Dancerと同じく小柄な馬体だが、輪郭としては母父Court Martialに似ており、Lady Juror~Fair Trial的なスピードと持続力が特徴といえるだろう。G1・7勝馬キタサンブラックや2019年ダービー馬ロジャーバローズの先行粘着脚質はLyphardの影響を強く受けた証であり、トーセンラーやリスグラシューの3~4角でマクッていく姿も本馬の特徴が表現された走りであった。DanzigとはNorthern Dancer、Fair Trial、Hurry Onなど共通点が多く、Lyphardらしさを増幅する組み合わせといえる。


季節と性別の関係

(坂上)
あと、最後に挙げたいテーマは「牡馬優勢」という点ですね。これは、以前にYouTubeでとうけいばさんとお話ししたことでもあるんですが、競走馬は牡馬と牝馬で調子の波が違うんですよね。下のグラフは世代限定/牝馬限定戦を除いた月別の性別成績(芝限定)ですが、馬体重も同じような変化を見せることから、この傾向は間違いないでしょう。牝馬の方が冬毛が目立つこともそれを表しているのかもしれません。

月別の性別成績(芝のみ、世代限定/牝馬限定を除く)

(坂上)
これは、AJCCとオールカマーの牝馬の成績を見比べてみてもわかりやすいですね。出走頭数も違いますが、何より好走率に大きな開きがあります。今年は牝馬の登録がないので使えるデータではありませんが、このレースに限った傾向ではないので、こういった競走馬の性質は覚えておいて損はないでしょう。

牝馬の成績(過去10年)

<日経新春杯の血統ポイント>
・下り坂巧者のPrincely Giftが強い!
・LyphardなどのLady Juror~Fair Trial強化型を狙え!
・冬は牡馬>牝馬!


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