アガ理論あやねの毎日コラム第52回 🆓無料です🆓【 #追憶の名馬 】メジロラフィキ号 ～メジロ軍団最後の生き残りが見せた魂の飛越～
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メジロラフィキ号 セン馬6歳《鹿毛》
父タイキシャトル、母カンパナ
母の父サドラーズウェル
JBIS Searchより
2011年7月2日15：40。東日本大震災が起きて4ヶ月弱。まだ日本列島が震災のダメージを受けた状態ながらも競馬は関係者の努力もあり開催されていた。例年は4月に行われるこのレースだが、13回目を迎えるこの年は東日本大震災の影響により延期され7月開催となった。気温27℃と夏にしては比較的涼しい条件の中、第13回中山グランドジャンプ（JGⅠ）がスタートした。
全馬好スタートからメジロラフィキは果敢に逃げた。エルジャンクション、テイエムトッパズレが付いてくるがお構いなし。どんどんと差を広げる。
「軍団の最後の生き残り。」
その使命を果たすと言わんばかりに只管に逃げた。
所属していたメジロ牧場は2006年を最後に重賞勝利から遠ざかり、競走馬の賞金を基にした経営も成り立たなくなったことで、2011年5月20日付で牧場を解散、同時に馬主業からも撤退した。これを機に馬主は専務取締役の岩崎氏に変わり、勝負服も変わったたものの冠名は残したまま。まさに題名の通り、「メジロ最終軍団の生き残り」だったのである。
メジロといえば、天皇賞制覇に強い拘りを持っていた北野豊吉氏の方針から長距離馬を指向した生産が行われ、「長距離のメジロ」として知られていた。天皇賞、菊花賞で活躍したステイヤーを多く輩出しており、長丁場でスタミナを求められる障害競走でも多くの名馬を輩出。そしてメジロラフィキはどうなのかというと、障害未勝利勝ちの後にOPで6着となった後に臨むGⅠの舞台。名馬たちと比べると決してエリートとは言えない本馬がわずか3戦目で挑む、障害競走の最高峰である。そんな中で果敢に逃げた。とにかくメジロラフィキは逃げた。中山グランドジャンプの難所を超え、谷を越え後続も次々と越える。ファンも声援を送り、拍手をする。この光景を見るとやはり障害競走は的中よりも無事を祈るのだなと感じるばかり。
とにかくゴールまで果てしなく長い道のり。残す障害は2つ、メジロラフィキはまだ先頭。メルシーエイタイムが上がってきて、オープンガーデンも負けじと食い下がる。その後ろにはマイネルネオスがいたが、ジリジリと差を詰めてくる。耐えるオープンガーデン。人気馬が勝負所で一気に迫ってくる。メジロラフィキにとっては完全に正念場だが、手応えは良いまま差は3馬身で、セーフティリードといっても良い状況。「このまま逃げ切るの？！」と場内がざわめく。
あとひとつ、あと1つ障害で悲願…。
最後の障害を迎えて残り250ｍ。越えればメジロ軍団最後の生き残りでＧⅠ制覇のドラマティックなゴール。鞍上の五十嵐雄祐騎手が飛越する瞬間に手綱をしごく。勝てる！！！！メジロが勝つ！！
あっっっ…！
メジロの優勝を願うファンの歓声が、一瞬で悲鳴へと変わった。最後の障害で飛越するもメジロラフィキの脚が上がり切らず引っかかってしまった。完全にバランスを崩し、五十嵐騎手はラチ沿いに吹き飛ばされ、メジロラフィキは首から地面にめり込んで1回転したのちにピクリとも動かなくなった。第3頚椎骨折、即死だった。
その後、優勝したマイネルネオスと柴田大知騎手の優勝インタビューの準備が進められる裏で、馬運車がきてピクリとも動かぬメジロラフィキが乗せられた。映像で確認する限り、傍らには厩務員がいたが、メジロラフィキの顔をそっと撫でていた。手塩にかけて育てた担当馬が残り250ｍで戴冠はおろか、亡くなってしまったのである。その悲しみは察するに余り有る。
わたしは現地にいたわけではない。それでも競馬を見始めて10年余り、学生時代はとにかく馬が好きで好きで過去レースもライブ中継はもちろんのこと、Youtubeやニコニコ動画等でたくさん視聴してきた。その中でも数少ない心を揺さぶられたレースである。
最後まで勝つために走り続けたメジロラフィキの冥福を祈り、その姿をいつまでも胸に刻んでおきたい。
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2011年7月2日レース結果より
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