見出し画像

エリザベス女王杯回顧(今後の予想に向けた重要な要素を紹介・解説)

今年のエリザベス女王杯は戦前の混戦予想そのままに波乱の決着となりました。ジェラルディーナの勝因は?ライラックの激走の要因は?結果を元に理由を考えることで、多くのパターンを学び、予想のバリエーションを増やすことができます。あなたにとって新たな発見に繋がる機会にして下さい。
それではレースの流れに沿って紐解いていきましょう。

エリザベス女王杯当日の天気は雨。朝方から断続的に降り続いた影響で、時間が経つにつれて、良→稍重→重と馬場状態が変化しました。それに伴い、レース結果にも変化が現れます。前日の芝レースはほとんどが前残りの競馬、差し馬には厳しい馬場状態でしたが、芝コースで行われた阪神3レース以降の芝レースで、各騎手直線からゴールに向かって内から3、4頭分開けて馬を誘導していました。内側が荒れていると判断できます。
その後のレースも差し有利の展開が続いていたので、エリザベス女王杯も差し馬中心で考えるというのが基本線だったと言えます。

そんな中でレースを迎えました。大方の予想通りローザノワールの逃げ。各馬揃ったスタートでポジショニングに苦労した馬も見当たらず、思い思いの位置・戦法でレースが進んでいったと思います。ペースは1400m通過後にローザノワールがペースアップしたことで、それに付いていったマジカルラグーンとウインマイティ―が早々に後退したことからわかるように、完全な差し馬有利な流れに。直線で内目にいた馬は全滅。外から虎視眈々と機を伺っていた馬のワンツースリーの結果になりました。

それではここでジェラルディーナの勝因を考えてみましょう。
戦歴から他馬との比較がしずらい馬でしたが、牡馬のG1好走馬と好勝負しており、大きく見劣りはせず穴人気してました。何よりも馬場と枠が味方したと言っていいでしょう。他馬の跳ね上げた芝生を受けない外目の比較的良い馬場を走れたことでストレスがかからなかった点、馬場に関しては重馬場経験がなかったが、父父スクリーンヒーローでロベルト系の血脈を持っており、こなせても不思議ではないと判断できます。また外国人ジョッキーながら阪神コースGⅠ2勝と得意にしているクリスチャンデムーロの存在も大きかったと思います。
そして一番大きな要因は、近走の馬のレース振りの変化にあると思います。
一言で言うとレースへの対応能力が大幅に上昇したことである。
デビュー以来、能力がありながらもなかなか勝ちきれないレースが多かった同馬だが、その大きな要因としてスタートしてからの出脚の遅さがあった。そのウィークポイントに変化が見られたのが小倉記念。You Tube等で映像を見てもらうとわかるが、スタート直後に手綱をしごいて出していっている。馬と言うのは賢く経験によって次のレースに生きてくることが多い。次走オールカマーでは、スタート直後に更に手綱をしごいて好位付けに成功。勝ちきれないレースに終止符を打ちました。負かした相手には、エリザベス女王杯1番人気のデアリングタクトや、テーオーロイヤル・ヴェルトライゼンデといったGⅠ好走馬がいた。追い込み一手から好位差しへ脚質転換の成功は名馬への足掛かりとなる。ハーツクライ・ジャスタウェイ・リスグラシューがまさしくそうであった。勝てたのはもちろん、馬場に恵まれた可能性は否定できないが、父モーリスが遅咲きだったように、そして上記名馬のような足跡を残す成長力を残している可能性もあり、次走更に強いメンバーとの対戦でも過小評価は禁物です。有馬記念への参戦が決まれば重い印を打つことも考えた方が良さそうです。
次に2着のウインマリリン。もともとオークス2着や、日経賞1着、天皇賞・春5着と長距離実績はメンバー随一だったことを考えると、スタミナ寄りの馬場が味方したと考えられる。関西遠征で結果が伴わないレースが続いたが、通常より早い金曜輸送を選択したことで、美浦にいる時と変わらず落ち着いた状態でレースに挑めたのが良かった。また、前走でデビュー以来最高の馬体重を記録し好走。成長分だと考えれば一皮むけたとも考えられます。関東でのレースは更に今後期待出来ると思います。
そして同着で2着のライラック。12番人気の低評価を覆しての好走でした。みんなのKEIBAのDAIGOさんが本命にして的中していましたね!
フェアリーSで見せた鮮やかな決め手から、展開が向けば馬券圏内にくるのではないか?と期待させてしまう魅力的な差し脚を持っていましたが、GⅠの舞台ではことごとく不発。前走も状態はかなり良かったと記憶していますが、直線半ばで脚色が他馬と同じになってしまい惨敗。桜花賞や秋華賞の敗戦から、阪神コースを苦手にしている(もしくは遠征が苦手)、もしくは距離が少し長いのかもという不安要素があり、少し信頼を置けない馬という位置づけの人が多かったと思います。ではなぜ好走できたのか?その理由に迫りたいと思います。
ポイントは3つあります。
1つ目は、馬場と展開
2つ目は、血統背景
3つ目は、走法にあると思います。
まず馬場と展開ですが、冒頭で記載したように、当日の阪神の芝コースが外差し馬場という偏った傾向が見られていたこと。そしてローザノワールの早めスパートがより先行馬にとって苦しい展開になったことが考えられます。
いわゆる”展開が向いた”と言えると思います。ここでは当日の馬場傾向を把握することが重要だということを覚えておいて頂きたいです。
次に血統背景です。父がオルフェーヴル。道悪になるとパフォーマンスを上げる種牡馬として穴党の間では周知の事実ですが、この日の阪神芝レースもオルフェーヴル産駒が勝利していましたし、他のレースでもハーツクライやブラックタイドといった産駒が勝利しており、とてもパワーがいる馬場であったと考えることができました。また、勝ったジェラルディーナの父父スクリーンヒーローも道悪馬場でパフォーマンスを上げることで有名ですので、馬場が悪くなった時はこれらの産駒が出走していないチェックすると高配当が手に入るかもしれません。
そして走法ですが、これが意外と重要です。各出走馬の追切や過去のレースを見返すと、このライラックが一番頭の位置が低く低重心、ややピッチ走法寄りの走り方だとわかりました。馬場が悪くなるとピッチ走法の馬が向いていると言われますので、他の馬以上に好走の条件が揃ってると判断できます。あと補足ですが私の感覚だと、M・デムーロは馬場が悪化したら”買い”です。もしここまで気づけていたら万馬券を的中出来たかもしれませんね!

結果を振り返ることで、次の予想に繋げていくことが重要です。もちろん勝因や敗因は一つではありませんし、色々な要素が組み合わさっています。多くの知識やパターンを知りそれらを組み合わせて考えることで、より競馬が面白くなると確信しております。
この分析によって得た知識によって、あなたの競馬脳が少しでも進化したのであれば幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。



いいなと思ったら応援しよう!