思い出の土地

いまは都内在住だけど、5歳までは神奈川に住んでいた。いや、居たっていうほうが正しいかも、そんな頃の話。
ある日、何気なく眺めてた番組表で、アド街が故郷の特集をすると知った。その市が取り上げられて、不思議な感情が湧き上がった。懐かしい、という気持ち。ググったらこれはエピソード記憶で、5歳までに獲得する脳の機能だという。

懐かしいって、過去を振り返る最もポジティブな感情だと思う。けどまた不思議に思ったのは、なんで懐かしいって思うんだろう?ググってもこれは答えが出なかった。

断片的ではあるが、確実に記憶はある。踏切から毎日電車を眺めてたとか、ジャスコまで歩いていったとか、運動公園に毎日連れて行ってもらってたな、とか。ほとんどが一過性で、途切れ途切れの記憶なのだ。例えるなら、24枚撮りフィルムの1コマみたいな。

アド街を見てたときは分からなかったけど、書いてみて考えついたのは、1コマだったからこその現象だからじゃないかって理由。それが何月何日かなんてわからないし、前後も忘れてる。それは年齢を重ね、有象無象を吸収し続けるうちに、映像は無意識のうちに切り取られ、印象深いところが引き出されたからなんじゃないかって思う。頭では忘れても、心のどこかにアルバムとしてしまわれている。思い出はセピア色とはよく考えられた言葉で、流麗な映像ではない、ある一点を切り取った瞬間ってのをうまく表現している。

みなさんにはそんなセピア色の、しかしずっと色褪せない場所はあるだろうか?
ふとした何気ない瞬間に思い出すかもしれない。懐かしいな、って。

いいなと思ったら応援しよう!