能登半島地震で活動した消防士が家庭で準備すべきと感じたもの5選
今年の元旦に能登半島地震が発生しました。
救助隊として10日ほど派遣されましたが、準備していったとはいえ、サバイバルな日々となりました。
派遣を終えてから、家庭の防災準備を見直しました。現地での経験を踏まえ、自分が被災したとしたら、本当に必要で、便利なものは何か、改めて考えることができました。
準備すべきものは自治体や防災の専門家からも発信されていますので、今回書くのはその一部にすぎません。
この投稿は、「食料」や「水」といった当然準備すべきものについて述べているものではありません。実際に行って生活し、これは便利だった、あるいはあったほうが良かった、と感じたものについて記載しています。
南海トラフ地震情報も一旦は解除されましたが、いつも準備をしておくことに越したことはありません。
ヘッドライト
震災時は停電する可能性が高く、被害状況によっては影響が長引くことがあります。
携帯電話にライト機能がありますが、光量が物足りませんし、そもそも携帯電話のバッテリーは通信手段として温存すべきです。
その点、ヘッドライトは光量があり、手が空くため作業もしやすい利点があります。
また、ベルトを引っ掛けて固定ライトとしても使うこともできます。
光量はあればあるほど便利ですが、個人的には400ルーメン以上のもので、電池も充電式や乾電池式のものなど数種類用意しておけば安心です。(私は1000ルーメンのものを使用しています。)
デュアルSIM携帯
意味がわからない人のために簡単に説明すると、1つの携帯電話で複数のキャリア(例えば、auとソフトバンク)の通信網を利用できる携帯電話のことです。
普段は当たり前に使える携帯電話も、キャリアの基地局が被害を受ければ圏外になります。
ですが、キャリアによって基地局の数や場所が違うので、繋がる場所や電波強度も変わります。
実際、能登半島ではキャリアによって繋がるエリアが違い、復旧速度も違っていました。
例えば、普段はahamo(ドコモ)でデータ通信を利用し、災害時用にpovo のSIMを契約しておけば、圏外の場所で切り替えると通信できる可能性があります。
非常時の事業者間ローミングも国で検討されていますが、課題は多いようです。
普段から切り替えて使うこともでき、費用もあまりかからないので、検討をオススメします。
※非常時の事業者間ローミング…簡単に言うと、契約は単一キャリアのままで、災害時に繋がる別キャリアの通信網を利用できるサービス
ポーダブル電源
上記2つに関連した記載になります。
携帯電話やヘッドライトは、バッテリーが無くなれば使い物になりません。
ポータブル電源があれば、しばらくの間は電力の枯渇に備えることができますし、ソーラーやシガーソケットでの充電ができるものであれば、半永久的に使用可能になります。
ただ、高価なので使いたい家電によって容量をしっかり考える必要があります。
ドライヤーや電子レンジ、炊飯器などは特に消費電力が高い家電なので、ポータブル電源の能力を越えると故障の原因になります。
購入にあたっては、夏や冬での被災も考慮し、動かす家電の消費電力を確認してください。
非常用トイレ(凝固剤やニオイ防止袋)
震災時において、最も復旧に時間がかかるライフラインは水道です。能登半島地震では、能登町の水道復旧まで4ヶ月かかっています。
施設内も含めて、公衆トイレは使えないと考えてください。(水洗ができないため、衛生的にですが、多くは語りません。)
ご自宅が無事であれば、ゴミ袋を便座に被せて、簡易テントにすることができます。
凝固剤を持っておくのがよいですが、オムツを敷いて代替することもできます。
オムツを捨てる際に使う、臭わないゴミ袋などもあると便利です。
一般家庭では、備蓄できる数にも限度があると思いますので、商品として売られている非常用トイレ以外の手段も一度検討されたほうが良いです。
おいしい非常食
災害派遣はとても過酷でしたが、被災者の方の大変さはその比ではありません。
そんな中でも、おいしいものを食べることは、それだけで大きな活力になります。
私の小さい頃は非常食といえば乾パンと教えられましたし、同じような方は少なくないと思います。
ですが、想像してください。毎日3食、乾パン食べられますか?
もちろんそれしかないのであれば、贅沢は言えません。
ですが、事前に準備をして、少しでも美味しいものを食べることは全く贅沢だとは思いません。
災害派遣中は、数日に一度出るカレーをアルファ化米にかけて食べるのがご馳走でした。
食は生きる喜びなので、頑張ればおいしいものが食べれると思えるだけで、その日を乗り切れたりします。
少々割高ですが、登山用品のモンベルさんで、ちょっと高級なアルファ化米(ガーリックライスなど)が売っています。
1日1食でも、こうしたご飯を食べれるだけで、メンタルは全然違いますので、日持ちがよく、非常食になるものを研究して、実際に食べてみてください。
終わりに
冒頭でも述べましたが、これらは災害に備えるものの一部です。
限りあるお金や備蓄スペースなど、色々考慮し、備えを充実させていく必要がありますので、優先順位が必要です。
何から揃えれば良いか迷っている方や、備えを充実させたいと考えている方の一助になれば幸いです。