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「ちむどんどん」賢秀に思うこと

長男賢秀キャラの酷さがけっこう辛いね。身近な人の善意を平気で裏切る行為。そしてそれを強く諫めない母親の存在も。しかも本日は、目の前の人を騙すという…脚本上、どこかで長男キャラの救済はあるのだろうけど。同時に、こういう家庭、けっこうあるかもとの思いも抱く。ドラマでは極力明るくユーモラスに描いているけれども、現実なら近い将来、にいにい賢秀が犯罪者として逮捕されることは必至かと。
ある映画監督が、インタビューで某映画を撮るきっかけを、“もし、自分の家族が殺人者になったらと考えぞっとしたこと”と答えていた。先日観た「誰かの花」…認知症の父親が故意に殺人したかも…にも共通していて。「由宇子の天秤」とかも。
殺人とか詐欺とか窃盗とかetc…身内に逮捕者を出すことはとんでもない恐怖、と多くの人が考える。でも、そういう家庭も少なからずあるわけで。
それが“自分事”か“他人事”かで、意識に大きな溝がある。
身内から逮捕者を出したくないと願っても、それを家族で止めるということは、実際にはかなり難しいだろうなとも想像する。困った人がいても、周りの者がその人格を変えるというのは困難なことだから。
人は、毎日生活を続けていかなければならず、いつもいつも、その困った人のことを考え続けていくわけにもいかない。ある程度は、“あきれめ”…なるようにしかならないという心境でなければ、生きていけない。
賢秀は、家族の愛情につけこんでいて本当腹が立つ。母親や妹が、賢秀の言動を深刻に捉えないのは、無自覚にそれが生きていく知恵と悟っているから。彼女たちは、たとえ賢秀と縁を切っても心の平安にはつながらないことがわかってる。かえって気になり、その苦しさと天秤にかけたら、どんな反社会的なことをしてもきらないほうがいい。そして、そんな家族の心を十分察している賢秀。
…って、ある程度は家族の愛情につけこむってよくあります。私ももちろんそう。世界中が敵になっても見捨てられない、甘えられる人がいるってのは有難いことだし…。この家族は、特別なようでいて、そう特別じゃないようにも思うのです。
…って、ドラマは誰がどんな考察をしてもOK。視聴者として言いたい放題。
でも、現実では…。犯罪を犯した人の親に対し、育て方が悪かったんだ、と自信満々躊躇なく銃弾する人に対しては、いやいやいや!と拒否反応してしまう。
昔有名女優の息子が逮捕されたとき、その女優が記者会見した。母親の責任を厳しく問う記者に対し、お前はそんなご立派か!とムカついたことまで、思い出しました。

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