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あの日、読めなかった君へ。

10月ですね。

気づいたら、もう、10月、ですね。

でもまだあまり、秋ですね!って気分にならないのは、私だけでしょうか。

東京は湿度が下がって朝夕はだいぶ過ごしやすい空気になったけれど、日中は日差しの強い日も多いので、「夏と秋の間らへん」という気分で日々過ごしています。

今回は、まだギリギリ夏の終わりの残り香漂ううちに書いておきたかった、読書に纏わるお話です。



8月の終わり。都内某所にて。
ここ数年ですっかり習慣になった"本屋ぶらり"(某本屋兼レンタルショップで本・雑誌・マンガ・CD・DVDなどの売れ筋or貸出ランキングや新作をチェックしつつぷらぷらする時間)の途中、通りかかった文庫本コーナーの前でふと足を止めました。

色鮮やかな「新潮文庫の100冊 2019」のポップから、平積みにされている夏目漱石や宮沢賢治の名前に視線を移すと、8月の終わりのセンチメンタルな空気にやられたのでしょうか。
なぜか急に、遠い夏の日の思い出が蘇ってきました。

蝉の鳴く声。

近所のひまわり畑。

学校から持ち帰ったトマトの鉢植え。

ラジオ体操のスタンプラリー。

プールの記録表。

遠くに響く祭囃子。

夜空に大きく咲いた打ち上げ花火。

そして…………


夏休みの宿題の読書感想文…………に悪戦苦闘する幼い日の自分。


そう。

そうなんです。

noteのプロフィールの「好き▷」の中に「読書」と書いているけれど、かつての私は全くと言っていいほど本を読まない子どもだったのです。

本人の実感も踏まえてもう少し正確に表現すると、悲しいくらい、本が読ない子ども、でした。

幼い頃の自分は「読むこと」への関心はやたら高くて(何となくすべての始まりは「セーラーマーキュリー」だと思っている)、図書館という場所もとても好きで、いろんな本を見て回ったし、気になる本を手に取ってるんるん気分で家に持ち帰って本を開いていた…けれど、その中で1冊まるっと読み切れたのは…一体何冊あったかな…。

当時は一生懸命文字を追っても、それが文というまとまった形でなかなか頭に入って来なくて、書かれている文章の意味を理解するのがやけに難しいことに感じていました。一つの文を繰り返しなぞって、つっかえながら、もう一度なぞって、やっと次に進んで、また戻って、を繰り返すという感じ。
(今思うとあれって正常だったのかな…?と若干疑いたくなるレベルです)

なので夏休みの読書感想文は苦労した記憶しかない。
具体的にどんなことを書いたかは憶えていないけれど、たしか、はやみねかおるさんの『名探偵夢水清志郎』シリーズを物凄い時間をかけて読んで、ヒーヒー言いながら感想文を書いた、ような、気がします…。

更に小・中学生の頃は、自分は、マンガのキャラクターで言えば、黒髪×優等生タイプだったからか、知り合って間もない人から度々「文学少女でしょ」といった言葉を掛けられ、「実はあんまり本読まないんだ〜」と苦笑いで返すと「え〜意外〜!」と笑われるおきまりのパターンがあって、そのなんとも残念なキャッチボールの度に無駄に凹んでいました。

自分の中の「色んな知識を蓄えたい」「たくさんの面白い物語世界を覗いてみたい」という想いとは裏腹に、活字に対する苦手意識は高まるばかりで、読むことを途中で諦めた本や、名作と謳われていると知りながらこの歳になるまで手つかずのままにしている作品が山程あるのが正直なところです。

ただ、そんな私も17〜18歳の頃、とある人との出会いをキッカケに活字への苦手意識を徐々に克服することになり、読むスピードはゆっくりなものの、気づいたときには「読書」が大切な趣味の一つになっていたのです。
(克服の経緯についてはいつか機会があれば書こうかなと思います)

…と、そんな過去を思い出しながら、ふと考えたのが、

「今なら、あの頃途中で閉じてしまったり、手に取ることすら諦めてしまった本も楽しく読めるのでは?」

ということ。

そして、よくよく目の前に平積みされている本を見てみると、まさに、過去に途中で閉じたまま離れてしまったり、何処か見て見ぬ振りをして通り過ぎて来た作品たちが並んでいたのです。

きっと、自ら「読みたい」と思った今こそ、読み時だ!!!

ということで。
それ以来、とりあえず世の中で「不朽の名作」と呼ばれている作品群を積極的に読んでみる、ということをしています。

「名作」が「名作」と呼ばれる所以は、可能な限り自分で見つけていきたいし、その作品の魅力や作品を通して感じたこと・考えたことを、私なりの言葉で伝えていけたらと思っています。
ちなみに、作品のジャンルは問わず、気になったものは何でも食べてみるという雑食タイプです。

とりあえず今回は<序章>ということで、次回以降、少しずつ作品紹介や感想文を書いて行こうと思います。

(元)活字苦手人間がお送りする読書の旅。
ゆるりとやっていきます。
よろしければ、お付き合いください。

Kei.