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長期間のトレーニングの休止がもたらす骨格筋への影響

トレーニングの効果を得ようと思えば、もちろん強度や質、頻度を高めなければならないですが、トレーニングはやりすぎると身体に害を与えます。
いち早く効果を得たいからといって過度にトレーニングの強度を高めたり、頻度を高めてもあまり現実的ではありません。かといって、手を抜いてトレーニングしていいわけではないですが…。

ドイツの生理学者ヴィルヘルム・ルーは人間の身体を生理学的観点からとらえた時にある基本法則を提唱しました。
その内容とは「使用性肥大」「廃用性萎縮」「過度使用性障害」と呼ばれる三つの法則ですが、この三つは人の身体機能を考えるうえで大前提の考え方になります。
分かりやすく言うと、適切にトレーニングすれば適切に人間の身体は発達しますし、トレーニングを休み過ぎたら筋肉は萎縮する(すなわち少なくなる)、トレーニングをやり過ぎたら怪我するということです。

その中でも今回は、筋線維の萎縮(廃用性萎縮)ついて書いていきたいと思います。

まず、トレーニングに行けない日は焦らなくていいということを言いたい。体調が優れない、仕事が忙しくてルーティンが崩れてしまった、気分が乗らない等、社会生活を営む上で何かが影響してトレーニングに行けない事は多々あると思いますが、筋肉は簡単に減ることはないし、長い目で見るとたった数日、数週間トレーニングをしなかったというだけで今まで培ってきたものが全て取っ払われてしまうなんてことはないので安心されたい。
(余談が長すぎる)

しかし、長期間トレーニングを休止する(ディトレーニング)と骨格筋の萎縮がみられます。骨格筋の現象は老化現象の一つとしても捉えられますが、ギブス固定などによる関節可動域の制限などによっても骨格筋の萎縮が観察でき、筋収縮による刺激やストレスが無くなることでタンパク質合成が抑制され、より骨格筋の減少が引き起こされます。

また、骨格筋が減少するということはそれに合わせて筋力の低下も生じてしまいます。更に、骨格筋内にはミトコンドリアと呼ばれる細胞小器官が存在しますが、身体活動の不活動によってそのミトコンドリアの働きが弱くなる(酸化系酵素の活性値が低下する)ことで酸素系のATP合成が減少します。これはエネルギーの生産が難しくなる。すなわち、体力や持久力の低下を意味しますね。
ミトコンドリアの不活性化が起こると急激な筋委縮が始まってしまいますし、低下に伴って筋内のカルシウムイオン濃度の上昇による様々な物質の連鎖反応によって筋分解が加速されてしまいます。

もちろん、筋肥大が遺伝子レベルで変化するのであれば筋委縮も遺伝子レベルで変化します。すなわち、筋肉が減りやすい人もいるということです。

やはりヒトの身体に遺伝は付き物ですね。


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