タイムリープという究極の異化【文芸論】
ロシア・フォルマリズムの中心・ヴィクトル=シクロフスキーによれば、日常にて見慣れたものを非日常的な形で提示し、慣習によって鈍らされた感覚の克服こそが芸術の目的に他ならないという。そうだとすれば、タイムリープという異化(Drfamiliarization)現象は小説の芸術的本質のある部分を構成しているといってよいだろう。以下、そのことについて論じる。
デイヴィド・ロッジはThe Art of Fiction(1992, Penguin)において、小説の芸術的本質を50個抽