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滑舌を良くするために考えること


誰もが滑舌は良い方がいいと思っている

表現者にとって滑舌は非常に重要な要素です。
表現者でなくとも滑舌は良いに越したことは無いと考える人がほとんどだと思います。

滑舌が悪いと何を言っているか伝わりづらくなってしまうし、場合によっては不快な印象を与えてしまう場合もあります。

その一方で、滑舌を良くしたいと思ってもなかなか良くならない、どうすれば良いのか分からないという方も多いかと思います。

滑舌を良くするためにまず考えること

滑舌を良くするためには、口や喉周辺の筋肉や組織が適切に動くことが必要で、ポイントは大きく2つになると思います。
①口や喉周辺の筋肉や組織が鍛えられていること
②滑舌に必要な正しい動きが思い描けていること
いずれも発達や習得にはそれなりに時間がかかり、すぐに滑舌が良くなるというのはなかなか難しいことだと思います。

残念に思うかもしれませんが、まずは滑舌を良くしようと思ったらじっくり取り組む必要があるということを認識していただければ嬉しいです。

また、簡単には改善されないからこそ努力によって上達すると、それは自信に繋がります。
まずは1ヶ月間、地道に取り組んでいくと実感できる変化があるはずです。

具体的に何をやるか

滑舌を良くしたいと決意したら何をしたら良いか。それは目的意識を持って声を出すことです。
歯切れよく良い発声になる等の目的を明確に持って、できるだけ多くの時間声を出すようにしてください。

私は毎日少なくとも1時間近くは滑舌文を読む時間作っていました。
結果として滑舌自体は大きく改善しました。

このとき大事なのは、しっかりと目的意識を持って取り組むことです。

人の心を動かすために自然で力強い発声をした上で滑舌良く話したいとか、聞く相手が心地良い音色でかつ滑舌良く話したい等が目的になると思います。

何でもいいから一音一音が明瞭に出ていれば良いという目的で滑舌に取り組む人はあまりいないと思います。

しかし、この目的意識が抜けてしまうことは非常に多く、そうすると滑舌は良くなったが、滑舌良くしゃべるためだけの発声になってしまい、身体の力みやカタいしゃべりが身につくということになりかねません。

私がまさにその失敗例で、この癖を直すのは本当に大変なので、目的意識を持ち続けて滑舌に取り組むというのは、大変ですが出来る限りそうした方が望む結果を得やすいです。

目的意識を持つのが大事なのはわかるが結局何をやれば良いのか

目的意識を持って取り組むとは具体的にどういうことなのかというのは、まずは自分で考えてみることが大事だと思います。

それは個人個人の状態によって最適な取り組み方が変わるからです。
表現の勉強を始めたばかりであれば、正しい筋肉の動かし方を勉強するよりはとにかく時間を作って練習して身体感覚を養う方がうまくいくと思いますし、ある程度勉強が進んで行き詰まっているというような場合には理屈から喉の筋肉や声の作られる仕組みを勉強した上で練習したり、そういったことが性に合わない場合には(感覚派の方等そういった場合もあると思います)自身の身体感覚をより研ぎ澄ませて発声時の感覚を自覚しながら練習したりと様々です。

現在の私の取り組み方は、自分自身を丁寧に丁寧に観察して、今の自分の発声や身体状態が良いか悪いか判断して改善することなのですが、これも私の表現や発声のレベルが上がることで、今後変わっていくかもしれません。

いずれにせよ、なんとなくで取り組まず、真剣に全集中力を持って取り組むことです。

そして、勉強を行うための決まった時間を作るよりは24時間いつでも出来る限り意識すると改善はより早まります。
勉強のための決まった時間を作って改善しようとするとそれ以外の時間は、既に身についている(おそらく好ましくない)発声を繰り返し、それがより深く身についてしまいます。

始めは仕事をしながらあるいは別の勉強や作業をしながら取り組むのは無理だと感じるかもしれません。
しかし、仕事をしながら発声を意識する、別のことをしながら発声を意識するということを繰り返している内に、当たり前に意識する能力が育ってきます。
これをさらに育てると無意識に良い状態を探して改善されるようになります。

目的意識を持った取り組み方の例

取り組み方の例を記載していきます。
既に出来ていることだと思っていても、改めてよく観察してみると改善できるところが見つかるかもしれません。
よく観察しながら、自分に合っていると考えるものがあれば取り入れていただけると嬉しいです。

  1. 咽周辺に力みが無いかを常に意識しながら滑舌に気をつけて発声する

  2. 後頭部周辺に力みが無いかを常に意識しながら滑舌に気をつけて発声する

  3. 背中に力みが無いかを常に意識しながら滑舌に気をつけて発声する

  4. 口の動きを常に意識しながら滑舌に気をつけて発声する

  5. 舌の動きを常に意識しながら滑舌に気をつけて発声する

  6. 響いているかを常に意識しながら滑舌に気をつけて発声する

  7. 感情の動きを意識しながら滑舌に気をつけて発声する

  8. 出しやすい文字、出しにくい文字がどれなのかを観察しながら滑舌に気をつけて発声する

  9. 出しにくい文字を発声するときに力みが無いかを確認しながら声を出す

  10. 出しにくい文字の並びがどれなのかを観察しながら滑舌に気をつけて発声する

  11. 出しにくい文字の内、子音・母音のどちらが出しづらいのかを確認しながら滑舌に気をつけて発声する

  12. 第一声を力みなく自然に出るように意識して発声する

  13. 声を出すその瞬間に力みが無いかを確認しながら滑舌に気をつけて発声する

  14. 難しい文字や文章を何度か言ってみて一度前のものと今のものを比べどちらが良いか、どこが良いかを判定しながら練習する

  15. 録音して聞き返しどこが良くてどこが良くないかを判定しながら練習する

最後に

質の高い練習を続けるというのは本当に大変なことです。
この練習で本当に合っているのかと悩むこともあると思います。その度に、この方向で良いのかを全神経を使って精査できるのが理想です。
もちろんそれが難しく、日によっては惰性やなんとなくで取り組む日も出てきてしまうこともあるかもしれません。

最初から質の高い練習を行うことは難しいはずです。それでもその時に出来る精一杯を続けていけば少しずつ高みに近づけるはずです。

そして、大変なことほどそれを乗り切ったときに得られるものはそれに見合う価値があるものだと思います。

一番大変なのは一番最初です。
ぜひこの最初を頑張って乗り切っていただきたいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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