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Sometimes you will never know the value of a moment until it becomes a memory.

なんだか懐かしいものが出てきました。子ども関係の人ならピンと来るでしょうか。英語教室で使っていた、ピザのトッピングです。切り分けた後ラミネートして、裏にマグネットを貼ったホワイトボード対応版も一緒に出てきました。私が英語教育の世界に飛び込んだ1997年に作ったものです。

この教材は、"I like ~." "I don't like ~." を練習させるために用意しました。好きじゃないものを言わせるために、わざわざ "black olives" や "eggplant" を入れたのですが、意外と好きな(or「好き」と言いたがる)子が多かったのを思い出します。ピンクの長方形や茶色のカタマリは、最初のうち "bacon" とか "chicken" とかだったはずですが、子どもたちの想像力にまかせて、だんだん食べ物じゃないものに変わっていきました。白い丸は "onion" の想定でしたが、「違うよ、onion はこうだよ」と言って子どもたちが余白を薄い三日月型に切り、「じゃあ、丸のは "squid" にしよう」となったこともありました。

私は記憶力がとても弱いのですが、こうして眺めていると思い出が芋づる式に呼び起こされます。覚えているものですね。驚きます。

"I like ~." "I don't like ~." の発展形として、ペアやグループでも使いました。"Do you like ~?" で相手の好きなピザを作ってあげたり、"Can we have ~?" でグループごとにオリジナルピザを作る相談をしたり。ある高学年のクラスでは、電話注文という設定で "Hello, I'd like a large pizza with ~." を導入したところ、子どもたちが「名前、言わないと」「住所も」「電話番号も」「値段は?」「配達時間は?」とどんどん追加案を出してきて、壮大なアクティビティになりました。最終的には発表会で披露し、保護者のみなさんにえらく感心していただいたような気がします。

当時の私は教育の知識も経験もなく、「子どもが好きだから」というだけの理由で教室に紛れこんだ1年生でした。英語に対する興味もなかったのですが、子どもに関わるといえば何かを教える仕事。ほかに選択肢がなく、「ま、子どもの英語ならなんとかなるんじゃない?」という軽い気持ちで、図々しくデビューしてしまいました。素人ならではの大胆さです。もちろん、“英語教育に携わる”というつもりはなく、そんな大層なものと自分は無縁だと思っていました。

それから20数年。気づけば英語教育とは切っても切れない、ズブズブの関係に。人生は本当にわからないものです。

ただ、当時から変わらないなぁと思うことがあります。それは、学習者に気づいてもらえる仕掛けをすること。たとえば子どもの英語教室では、どうしたら子どもたちがターゲットとなる表現を「言いたい」と思ってくれるか、ターゲットを一回でも多く子どもたちの口から出させるためにはどうすればいいかを毎日考えていました。タネを蒔き、環境をばっちり整えたら、あとは知らん顔をして子どもたちが見つけて拾うのを待つ。現在の大人向け英語学習コーチングも同じです。



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