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前に! ー草彅剛さんNHK大河ドラマ出演決定を受けて

2020年7月10日、2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』に、草彅剛さんが徳川慶喜役で出演することが公式に発表された。
草彅さんの大河ドラマ出演は、香取慎吾さん主演の『新選組!』(2004年)のゲスト出演以来二度目、そして地上波テレビの連続ドラマ出演は、2017年1月-3月期に放映された『嘘の戦争』(関西テレビ制作・フジテレビ系列 )以来で、ジャニーズ事務所退所後、初めてとなる。

『あれから1年 ー公取委「注意」のその後』 で触れたように、草彅さん、そして同時期に退所した稲垣吾郎さん、香取慎吾さんの地上波番組出演に関しては、ジャニーズ事務所が民放テレビ局などに対して3人を出演させないよう圧力をかけていた疑いがあり、2019年7月には公正取引委員会からの「注意」が出ている。
あれから1年が経ち、地上波番組への出演機会は増えてはきたものの、依然として草彅さん、香取さんに関しては連続ドラマへの出演は叶っていなかった。(稲垣さんは、NHK朝ドラ『スカーレット』に出演済)
そのような中での草彅さんの2021年大河ドラマへの出演のニュースは、ファンのみならず、彼の演技を求める多くの視聴者を喜ばせた。

ニュースを聞いて以来、私もずっとじわじわと嬉しい。
正直なところ、それは自分でも想像以上だった。
なぜこんなに嬉しいのかと考えると、もちろんこれまで応援してきたということもあるけれど、故つかこうへいさんや高倉健さんをはじめ、名だたる人たちが認める稀代の俳優が、「ある」と噂される、業界の「掟」に縛られる理不尽を、ずっと許せなかったからだ。

だからこれは、実力のある人が認められ、報われるべき人が報われる、
そんな当たり前のことが、やっと実現する嬉しさだ。
口さがない人たちが、彼の実績の全てをあたかも前事務所の力によるものかのように嘲笑することが口惜しかった。
しかし彼は紛れもなく彼自身の実力で、そんな無責任な言説を雲散霧消して見せたのだ。

「新しい地図」をスタートさせた3人が、地上波番組への出演がままならない中でもインターネット番組やSNS、CMなどを中心に活躍するにつれ、彼らへの好意から「今はSNSもあるし、昔に比べたらテレビの影響は大きくない。だから、たとえ地上波に出演できなくても気にしなくてもいいじゃないか」というような意見も見かけるようになった。

それでも、やっぱりテレビの権威や影響力は、多くの人たちの生活に未だに存在している。

同じように、近年は視聴率の低迷が取りざたされることも増えた大河ドラマも、今もなお多くの俳優たちにとっての憧れの舞台であり、ステータスであることは間違いない.。
登場人物ゆかりの地域ではドラマ放映を機に大々的なキャンペーンが行われるなど、一テレビ番組に収まらないムーブメントを起こすことも珍しくない「国民的」な番組であり続けている。

そんな大河ドラマの出演で、草彅さんを目にする人は圧倒的に増えるだろう。
一度目にすれば、必ず求める声が高まる。
彼の演技を見れば、これを埋もれさせることの愚かさに気づく人がたくさんいる。
それはきっと、彼と彼らを取り巻く現状をさらに大きく変えていく力となるはずだ。

以前、『SMAPというキャリア -それでも決して失われないもの』
にこう書いた。

「キャリア」の語源は「わだち(轍)」。
轍は、車輪が通った後ろに残るもの。
もしも、彼らが刻んだ轍に誰かが必死に砂をかけたり、別の車輪でその上を踏みつけて消そうとしているなら、そろそろ気づくべきだ。
あらゆる方向にくっきりと刻まれた轍の全てを消すなんて、到底無理だと。しかもその轍は今も、そしてこれからも、さらに四方八方に広がりながら、伸び続けている。
ただ5本の車輪が前に向かって走り続けている、それゆえに。

草彅さんの大河ドラマの出演もまた、ただ前に向かって伸び続ける彼の「轍」として、くっきりと鮮やかに刻まれるだろう。
そして、それによって今は消されたかのように見えるこれまでの「轍」も必ず再び浮かび上がり、一直線に繋がる日が来ると信じている。

そして願わくは、その「轍」の傍らに寄り添うように、競うように伸びる、あと4本ないし5本の「轍」がいつしか一つの大きな道となって、さらに前に前にと伸び行く日が来ますように。


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2020.7.13追記
この記事のご感想で「(たくさんの人たちが、このニュースに心踊らせる様子に)私たちファン以外にも、轍のようにSMAPが刻まれてるんだな、と思いました」の言葉をいただきました。
なるほど、本当にその通りだな、と心から思います。




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