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魅惑の食器棚。

ずっと食器棚がほしかった。
東京にいたころはコンパクトな部屋に住んでいたので、うつわは備え付けの小さな棚に入れていた。外観は白くて外から中身は見えない、いわゆる「ふつうの無機質な棚」だった。

雑誌でよく、「おしゃれな人の食器棚」を見ては憧れ、いつか私もこういう好きなものに囲まれた生活をしてみたいな...と思い続けてきた。

そして、とうとうその夢がかなった。

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引っ越しが決まりいよいよ家具をそろえるぞ、となったときに一番に探しはじめたのは食器棚だった。買うならここ!とあらかじめ目星をつけていたお店の商品をくまなくチェックして、大阪や京都にも見に行ったりした中で、最終的には仙台にあるお店で買った。実物は見れなかったけれど、ネットでこの写真をみて心がざわついた。家の壁紙やフローリングと合うかこの画像をかざして確認してみたりして、自分のもっているうつわを置いたところを想像したうえで...  思い切ってポチッてみた。

数日後、うちに届いた食器棚は想像していたよりずっと素敵だった。

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ちょうどいい大きさ。雰囲気あるきれいな木目と、開けたときにふわっと香る木のにおい。
この食器棚にうつわを並べてみてから、毎日の楽しみが増えた。
まずは、「自分がどんなうつわを持っているか」をガラス越しに眺めることができるようになったことが大きな変化だ。見えない棚に入れていた時は奥の方にあって忘れかけていたうつわたちも、この食器棚に入れば対等にスポットライトが当たる。きっと、うつわにとってもうれしいことだろう。

料理をしながら「どのうつわにしようか」とガラス越しに選ぶときはわくわくする。

いつもはこのうつわだけど、こんな色を合わせて見ようかとか、チャレンジ精神もわいてくる。同系色で合わせてみると意外とシックでいい感じになるよなとか、青色のうつわもけっこう使えるじゃんとか、今日はどんなうつわでお茶を飲もうとか。

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うつわ選びを通して、今まで押されていなかった感性のスイッチが小さく刺激されるようになった。

うつわを戻すときも、どのうつわと一緒に重ねようか迷う。同じかたちで重ねてみようとか、色を交互にするときれいだなとか。

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偶然重ね合わせたうつわを見て、うつわの上にうつわを載せるのもアリだな、とひらめいてしまったり。

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「晩ご飯何にしよっかな?」と迷いながら食器棚を見ると、グラタン皿がみえてレシピが決定することもしばしば。

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そうそう。食器棚の上のスペースも活用している。お気に入りのブローチを置いたり、季節の花を散らしてみたり。

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たったひとつの食器棚が、こんなにも楽しみを広げてくれる。毎日の生活の中でほんのわずかな時間だけど「見て・選んで・楽しむ」ことのエッセンスを加えるだけで小さな花が咲いたように心が華やぐ。

生活って、生きていくために必要な活動のこと。料理をすることも、食べることも毎日毎日同じことの繰り返しで、そのなかで丁寧に色んなことをやるって忙しい現代人にとってはハードルが高いことだと思う。
それでも、こういう小さな時間を大切にしたいなと思うのはなぜだろうって考えてみたときに「自分に自信をつけたい」という言葉が出てきた。私は日々、楽しくやっているように見えて、足元はガタついている。毎日、仕事でやらかさないように怯えていたり、失敗して落ち込んだりすることもたくさんある。そんな中でも心の安定を保つことができているのは「ちゃんと生活している」という自信が根っこにあるから。自分のために、毎日おいしいご飯をつくって自分がご機嫌になる工夫を少しづつ足していくこと。それがあるだけで、大変なときも心を落ち着かせる支えになってくれている。

私は偶然うつわだったけど、うつわじゃなくてもいいと思う。生活の中でこだわって大事にしたい瞬間。はたから見れば、「面倒くさ...」と思うようなことだってその人にとって自分を取り戻す時間だったらなんでもいいんじゃないか、と私は思うのであります。

みなさんは、なにかありますか?

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