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新型コロナ問題から考える銀行の役割

現役銀行員の門部です。
法人営業を行っており、主に中小企業を担当してます。

新型コロナで影響を受けている中小企業向けに、現時点で政府が展開している資金繰り支援策を情報提供したいと思い、記事を書きました。

新型コロナにより経済活動は停滞しており、終息が見えないのが厄介なところです。既に倒産している企業も出始めており、かなりの企業で売上が減少してます。本記事を資金調達の検討材料にして頂ければ幸いです。


1.セーフティネット保証


【セーフティネット保証とは】
大きな経営支障を被った中小企業や小規模事業者を救済するために融資を行う制度を指します。取引先企業の倒産や活動制限、自然災害、不況などで経営が不安定化した事業に対する資金供給の円滑化を目的として、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で保証を行います。希望する企業は、事業所の所在地の管轄の市町村長か特別区長の認定と、金融機関と信用保証協会による審査を受けることで、この制度を利用することができます。原則として有担保保証2億円、無担保保証8,000万円の計2億8,000万円を上限に、一般保証とは別枠で利用できます。


①セーフティネット4号の指定

直接1ヶ月の売上が前年同月比20%減少、かつ今後2ヶ月の売上も前年同月比20%減少見込みが条件です。全国で基本的に全業種で利用できるため、今回の支援策の目玉と言っていい制度です。


②セーフティネット5号の対象業種の拡充

直属3ヶ月の売上が前年同期比5%減少であれば、利用可能です。(時限措置として直近1ヶ月の売上と今後2ヵ月の見込値でも利用可)しかし業種が指定されており、全ての企業が利用できるわけではありません。今回の新型コロナで利用できる業種が増えました。拡充されたのは旅館・ホテル、食堂、レストラン、フィットネスクラブなど40業種です。自社が利用できるかは中小企業庁のホームページでご確認ください。


どちらの制度も別枠のため、すでに保証協会の通常枠の大部分を使ってる中小企業には有効な調達手段です(無担保枠なら8,000万円を上限に申し込みが可能)。利用するために最初に行うことは、足元業績の確認です。例えば2月の試算表を前年と対比し、売上が何%減ってるかを確認しましょう。20%以上減少していれば、セーフティネット4号を利用すべきです。5%以上ならばセーフティネット5号の利用を検討することをお勧めします。

詳細を知りたい方は、下記リンクを参照ください。


2.東京都制度融資

3月6日に東京都がリリースしました。利用条件は、最近3か月の売上又は今後3か月の売上見込みが前年同期比で5%以上減少していること。この制度融資の最大の特徴は、信用保証料を都が全額補助してくれることです。

更にこの制度はセーフティネット4号と併用利用が可能です。売上が20%以上減少しているなら別枠で調達でき、保証料がかかりません。そこまで売上が減少してない場合は保証協会の通常枠での利用となります。

当然ながら東京都内で事業所を持ってる企業しか対象になりません。詳細は下記リンクをご覧ください。


3.日本政策金融公庫の制度融資

旅館業、飲食店及び喫茶店が対象。最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期間と比較して10%以上減少しており、かつ、今後も売上高の減少が見込まれることが条件。基本的に金額上限は1,000万円です。

他にも「経営環境変化対応資金」というのもあるので、詳細について知りたい方は下記リンクをご覧ください。


番外.返済猶予(リスケ)

今までは新規資金調達についての情報でしたが、既存借入の返済猶予も付記しておきます。返済猶予はそのままの意味で「融資の返済を銀行に止めてもらう」ことを指します。銀行内では「リスケ(リスケジュール)」と呼ばれてます。昨日、麻生大臣から銀行に要請がありました。

リーマンショック後の「中小企業金融円滑化法」を思い出させる事態です。

政府はリーマン・ショック後の2009年に「中小企業金融円滑化法」を成立させ、銀行などが中小企業から申し込みがあった場合に貸し付け条件の変更にできるだけ応じるよう措置し、どれだけ条件を変えたかなどを報告させた。

しかし銀行実務上、銀行がリスケに応じるかは与信判断次第です。というのもリスケされた融資は原則、「貸出条件緩和債権」に分類されるからです。なじみの薄い言葉だと思いますが、簡単に言うと不良債権にカテゴライズされる可能性が高いということです。

銀行にとっては、「不良債権にカテゴライズする=貸倒引当金を積み増す=与信コストが急増する」ことに繋がります。政府が要請しようと、銀行にとって重要なのは「貸した金が返ってくるのか」です。またリスケした取引先に新規融資を行うのは非常に困難です。以上を踏まえたうえで、返済猶予を希望する場合は銀行と交渉した方がいいでしょう。


終わりに

最後に新型コロナ問題から企業と銀行について私見を書きます。

制度融資で資金調達しても、当座の資金繰り確保にしかなりません。重要なのは、今回の騒動を教訓にビジネスモデルを多角化したり、コンティンジェンシープラン(緊急時の行動プラン)を策定し、いざという時に耐えられる予防線を持つことです。

例えば、中国のインバウンド旅行客のみに頼っていたホテルや旅館は倒産の憂き目に瀕しています(実際に倒産した企業もあります)。トレンドのみに経営資源を一点集中するリスクが顕在化した事例と言えるでしょう。

トレンドが伸びてる期間は問題ないですが、逆回転すると一気に倒産するリスクを経営者が認識しないとダメですね。

銀行も制度融資を貸し付けて終わりではなく、業績悪化している企業の立て直しをサポートしないといけないと思います。保証協会の制度融資を実行するだけなら、どの銀行でもできます。保証協会が保証してくれるので、銀行にリスクは無いですから。「他の銀行に真似できない価値」ではないのです。

例えば顧客同士をビジネスマッチングして顧客の売上を伸ばすのは本質的な解決手段となります。業績悪化の要因分析を行い、経営計画を一緒に策定しながらプロパー融資(信用貸し)に繋げるのも他の銀行には真似できない価値になるでしょう。

「ピンチはチャンス」です。私は今の状況をチャンスと捉えています。こんな状況下だからこそ、銀行の社会的な意義が問われているのだと思います。


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なんてことだ・・・。最高だ!
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1982年生まれ。銀行の法人営業担当者です。銀行・金融・人生のアップデートを中心に発信していきます。連絡先:siguresui@gmail.com またNewsPicksというSNSでも毎日コメントしております。https://newspicks.com/user/1870561

コメント2件

うぉぉぉぉおおおお!
ピンチはチャンス!!!

結果的に働き方改革の社会実験が進み、
ビジネスの前提のいくつが変わるでしょうね。

自社のビジネスモデルと、
起こり合えるワーストシナリオ
それに対するコンティンジェンシープラン
の備えは中小企業でも必要ですね。

勉強になります。
工藤さん、熱いコメントありがとうございます!!

「ヤバい」だけでは何も変わりませんね。
「この状況をどう活かすか」を考えた方が楽しいです。

働き方改革でいうと、テレワークなんかはオリンピック前の良い予行演習になってると思います。
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