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【今年の家庭内ブーム】今村夏子の小説

自分ら夫婦は読むものの趣味が違います。ダンナさんは歴史ものとか好きで詳しいです。自分はどうせなら知恵がつく系がコスパと思うタイプです。
そんなですが、おかげさまで今年は今村夏子ものに二人ともハマりました。

きっかけは三省堂の手書きPOP。芥川賞の当時は知りませんで文庫化で気づかされました。本当にありがとうございましたと言いたいです!

おもしろかった!デビュー作もすぐ読みました。
どちらも、「こうしてはいけない」と教えられても腑に落ちないままナリだけ成長しちゃったタイプの人の主観で繰り広がってるのがとても良いです。

我が国では、行動するとき周到に外部を慮ることを強いられますよね。それを忘れて許されるのは小学生くらいまでかと思います。
「こちらあみ子」はそれをわきまえる前後の年頃に野性味を発揮しすぎ悪目立ちし対処に至るが…という、まず現実的な話です。遠い昔の自分や周囲の誰かの失敗を思い出してイタタ…となる読者は多いのではと思います。

一方「むらさきのスカートの女」の登場人物らは自立済の成人で、社会の片隅に身をおき淡々とやらかします。軽犯罪も散見されますが警察は出ません。星新一ショートショート的なひっかかりと軽快さなので安心して大丈夫です。

日常と犯罪が紙一重なのはリアルなことと思います。まず野ばなしの本能あり、それが招く混乱を回避する発明が法でありルールです。封じた野生が何かの拍子で顔を出したとして誰も見てなければまずルールが負けます。そのうえ一握りを除くほとんどの人類は大して注目されない存在なわけです。

だからファンタジーのようでリアリティ。フィクションを見下げがちな自分ですが、もう信頼と実績の今村夏子です。

次は、芦田愛菜さん主演で映画化されてるやつに行きました。タイトルや装丁に普通の感動作の可能性が漂いますが、信じました。

既読のものとはテイストが変化し、長編で読み応えがありました。終わり方に社会性が高そうな匂いがして、あらっと思いました。
調べてみると、そこは編集者の介入だそうです。納得です。さすがですね。映画見てないけど芦田愛菜さんで場面が目に浮かびました。

昨日は新しい短編集「とんこつQ&A」を読み終え、今はダンナさんが読んでます。表題作は設定がファンタジーでセンス芸人のコントみたいです。現実にいる癖のある知り合いを思い出してしまいました。
どれも面白かったので、年末年始の娯楽に取っときゃよかったかなとちょっと悔やみ中です。


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