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未来志向の人事評価をするために

人事評価制度の策定を依頼されることがよくあります。「ウチも大きくなったし、そろそろちゃんとした基準がないと…」という動機が割と多いように思います。ただ、ちゃんとした基準は人事評価制度で作られるわけではありません。働きぶりを評価する基準ですから、事業戦略とセットになります。

また、ありがちなのが「仏作って魂入れず」になることです。制度を作ったけど運用されない、とか、運用しているけど意義を感じない、と言った状況に陥りがちです。制度という仕組み(What)だけでは機能しないのですね。Why・What・Howという観点から考えていく必要があります。

以上を、表にしてみるとこんな感じになります。

人事評価

こうして整理してみると、よくあるマネジメントの問題点も見えてきます。

評価にまつわるマネジメントの問題点

①事業と組織・人がつながっていない
評価面談で「君の評価はどれだと思う?」と聞いてくるマネジャーがいます。評価は「期待以下・期待通り・期待を上回る」だとします。この時、聞かれた側は「期待って何?」と思っていたりします。割とあるあるです。本人が「期待?」と疑問に思わずに面談が進んでいくこともあります。事業として何にチャレンジしていくか、それに対する本人の貢献はどうあるべきか、チーム内で対話がなくただただタスクをこなしているという寒い状況です。

②運用が形骸化している
毎月、数字の状況を会議などで社長やマネージャーが発信するものの、社員側はそれを聞いてオシマイになる。PDCAのAがない状態です。これは、評価も同様です。評価はするものの、本人にフィードバックしていない、という状態です。こうして書いてみると、そんなバカなと思いますが、割とこれもよく遭遇します…。

③未来志向の大儀がない
表でいうところの「Why」がない状態です。たしかにWhatとHowだけでも成立しそうです。ところがこれがないとワクワクしません。何のためにこれをやっているのか、私たちはどうありたいのかという対話がないままだと、目の前の結果だけにとらわれてギスギスしていきます。

評価は、未来へ挑戦するための反省

大義だけでは、何をして良いのか具体的にならないので、計画や目標を立てます。そしてPDCAサイクルを回すわけです。ところが、そうこうしているうちに大義を忘れます。その中で評価をすると過去との対比だけになります。結果、目標設定も昨年度と比べて何%あげるか…といった話になりがちです。そんな中で「あなたの働きぶりは期待通りでした」と言われても「期待って何?」となります。

評価する行為は、放っておくと過去志向になります。まして人からされると後ろ向きになりがちです。大切なのは、「そこからどうしますか」と未来志向に転換していくことです。その時大切にしたいのが、Will・Can・Mustの考えです。

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これは3点セットなのですが、未来志向という意味ではWillが重要です。そもそも何を目指していましたっけ?というリセットを行うために必要になります。そして、その際に個人と組織のWill・Can・Mustをつないでいくのです。

未来に向けた期待値をすり合わせる役割マトリクス

その際に使うツールとして「役割マトリクス」というものがあります。

役割マトリクス

職場のミッションを主要な職場課題として定義して、目標を定めます。それらを、各自の役割に応じて割り振っていくためのフォーマットです。組織課題や各自の課題が見える化されるとともに、期待値を互いに交換することができます。これによって、過去の反省を未来への挑戦課題に変えていくのです。評価者が事業の方向性や経営計画を咀嚼することにもつながります。ぜひお試しください。

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