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企業が文化を持つのではない。企業は文化なのである。

組織理論家のカール・ワイクの言葉です。

コンサルタントとして企業と関わっていると「その会社らしさ」を感じます。これがうちの会社という了解が、暗黙のうちに存在しているように思います。

文化とは、複数の人々が共有しあっている価値体系です。人が集まって活動することで文化が生まれます。とりもなおさず、それが企業であるということです。

となると、一人で起業するのであれば、文化を考える必要はなさそうですね。では、気の合う仲間と起業する場合はどうでしょうか。気が合うのですから、同じような価値観を持っている可能性があります。とはいえ、局面での意見は異なるはずです。そこで、ちょっとずつ違う価値観、思考様式、性格などが表れます。結果として、役割分担が生まれたりもします。発散させるのは彼の役割、うまくまとめていくのは彼女の役割のようなものです。

このようにして、人が集まってそれぞれのちょっとした違いがコミュニケーションによって現れて、少しずつ自分たちのやり方や思考様式、行動様式が定まってくるのだと思います。

しかし、やっかいなのは、妙な力関係が生まれることです。「結局、いつもあいつの考えで決まる」とか「いつも反対ばかりしてくるから無視しておこう」といったことになります。コミュニケーションによって文化が形成されるにつれ、内向きの閉じられた力が働いてしまうのです。意思決定のベクトルがお客さまに向かっておらず、強みが発揮されなくなります。

そして、業績が悪くなると、業績のほうにフォーカスが当たります。戦略を変えたり、組織体制を変えたりといった手が打たれます。しかし、ベクトルが内側を向いたままだと逆効果です。内側の理屈で動くので、本質的な学びがありません。そもそも私たちは、誰のために存在しているのか、どのように憶えられたいのかに立ち返る必要があります。

放っておくと組織は内向きになります。うまく行っているうちは良いのですが、うまく行かなくなってから外向きに戻るのは難しいものです。財務的な結果のようには目に見えないのが組織文化です。それでも、自分都合の言動は意識していればキャッチできます。

そのような時に甘くならずに指摘できるかどうかです。お客さまから学ぼうとする姿勢が失われてないか、自問自答し、社員にも問うていくことが経営者の大切な仕事だと思います。

文化はいつの間にかできあがるものではありますが、その起点に自分の信念があることを肝に念じたいものです。

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