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良い発散とただの雑談の違い

「今日は、発散で良しとしよう」

ミーティングでそんな言葉が聞かれることがあります。集まったメンバーの考えを共有しあって、考えを深められたので、良しとしよう、という意味合いです。

「発散で良しとする」ということは本当はその先がある、ということでもあります。それは「収束」です。議論を整理して合意形成したり、一定の結論を見出してアクションプランを検討します。

リボンフレーム

上図は、問題解決を進める際の流れです。発散と収束を繰り返して、解決策を決めていくプロセスです。見た目がリボンのように見えることからリボンフレームと呼ばれることもあります。

本質的な解決策を見出せる人は、無意識にこれをやっています。ただ、多くの場合、私たちは、一番右側の「解決策」をパッと考えて実行に移すことが多いです。なぜなら、普通は、それでうまくいくからです。

しかしながら、今までのやり方を変えたかったり、長期の構想を考える場合はそうもいきません。それなのに、いつもの習慣で「解決策」から考えてしまいます。そうすると結局何も変わりません。問題というモグラをたたき続けるだけです。

こういう時は、そもそもの「目的」に立ち返り、制約や前提を忘れて発散することから始めます。

ただし、注意が必要です。「今日は、色々話せたし、発散で良しとしよう」となるには、深掘りが大切です。深掘りしないと、単なる雑談で終わります。ただの雑談で終わると出てくる言葉は「今日は、発散で終わってしまった」となります。

大切なのは、「価値観」レベルまで深掘りして気づきを得ることです。私は、ファシリテーションをする際に、以下の流れを意識して参加者に問いを発信しています。

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もちろん状況によって前後するのですが、ポイントになるのは②と④です。ここに踏み込むことができるかどうかで、発散の質が変わります。なぜなら、知覚や感情、価値や原理は、その人の内面に深く根差しているからです。そうした内面を晒すのは、勇気がいります。内面にあるものを表に出してしまったら、議論が紛糾するのではないか、誰かを怒らせることになるのではないか、おかしなことを言っていると否定されるのではないか…無意識にそんな心理が働いてしまいます。

ここで本人の中にも、あるいは組織全体に対しても、ある種の葛藤を起こさないと本質に迫れません。当たり障りのない雑談で終わってしまいます。

うまく進めるためには、「今日は発散にしよう」「では、収束に向かおう」という仕切りが必要です。ただし、発散・収束どちらのモードであっても、問いを投げかけて、深掘りしていくことが大切です。そうしたプロセスを経て価値観レベルでの気づきがないと人はアクションを起こしません。

発散と収束と深掘り。明日からの会議で試してみてください。

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