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成長は、組織の目的になりうるか

「成功と成長は違う。」

オンラインセミナーを聴いていたら、そんな言葉に出会いました。ラグビーの元日本代表の廣瀬選手の発言です。

成功は、外部環境の条件も関わってくる。相手の方が強ければ負けることもある。ただ、成長は自分たちで変えられる問題。以前と比べて良くなっていることを確認して、さらに積み上げていくことが大事

…そんな主旨でした。
より良くなろうと前向きに物事を捉える、素敵な考え方です。できることにフォーカスするという考え方でもあります。プロセスに目を向けていけば、結果はついてくるということでしょう。

スポーツもビジネスも競争相手がいます。もちろん、その相手に勝つことも大切ですが、何が進歩したかを積み重ねることも大切です。

とはいえ、競争や成長は目的ではないのだと思います。もちろん、競争して成長することがパワーを発揮する源となります。でも、もっと大切なのは、大義です。廣瀬さんも著書でこんなことを言っています。

勝つチームには大義がある。
これはラグビーに限らず、すべての組織に共通していることではないだろうか。このチームがなぜ存在するのか、という意義を皆で考え、共有できているチームは強い。むしろ、それがないとチームは動かないと僕は思っている。だから、リーダーは、まずその大義を語れないといけない。

『なんのために勝つのか。』廣瀬俊朗(著)

著書のタイトルも「何のために勝つのか」となっています。競争に勝つことが目的なのではなく、チームがなぜ存在するのかを考え、語れるチームが結果として競争に勝つチームということです。

考えてみれば、試合は競技の一部です。勝敗に一喜一憂するのではなく、継続的に試合へ向けての準備、トレーニングをする必要があります。時には、つらいハードワークが課せられることもあるでしょう。結果、心が折れることだってあります。

また、試合の進め方、戦略、戦術も選手によって考え方が違います。ぶつかりあうこともあるでしょう。そして、互いに理解し合えないまま試合に臨めば、結果はついてきません。

人間である以上、感情があります。これは、競争相手の問題ではなく、自分たち自身で向き合うべき問題です。だから、チームに大義があり、語り合い、理解しあうことが問われるのです。

そして、忘れがちなのが、選手にとって競技は生活の一部に過ぎないということです。人生のほんの一部です。ほんの一部でしかないのだから、なぜこのチームが存在するのかをみんなで考えたり、語ったりできなければ求心力は生まれないでしょう。

スポーツもビジネスも強いメンバーを集めたからといって勝てるわけではありません。多様な個性を持つメンバーが集まることができ、それぞれの持ち味を発揮しつづけられているかどうかが問われます。

一人ひとりの持ち味は、チームメンバーがいるからこそ発揮されます。また、メンバーとの関りを通じて、一人ひとりがそれまでのやり方を変えることもあります。それを「成長」と呼ぶのではないでしょうか。

つまり、成長も結果であって目的ではありません。これを目的にしてしまうと、自分の成長にならないことはやらないということにもなりかねません。それはかえって、自分の成長を限定してしまうことに気づく必要があります。

これは、組織も同じです。私たちは、自分自身が考えている以上に成功や成長を限定してしまっている可能性があります。事業を成長させたいのなら、大義を定め、語っていくことです。結果として、自分一人では想像もしえなかったところへ組織と共に到達していた、そんな状態を目指したいものです。

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