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Good to Great ― KC B team

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小宮コンサルタンツのコンサルタントによる経営のお役に立つコラムです
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#経営戦略

「幅広い人の意見を聞くこと=聞いたことを目指すべき姿に全て盛り込むこと」ではありません

企業や組織の目指すべき姿を描くにあたり、経営者が経営幹部や社員など、幅広い人の意見を聞くことは大事だと思います。しかし、「幅広い人の意見を聞くこと=聞いたことを目指すべき姿に全て盛り込むこと」ではありません。   特に中堅・中小企業においては限られた経営資源で時代の変化に対応し、お客さまのニーズを満足させることで存続、成長するしかありません。「限られた経営資源」ということは、あれもこれも対応できないのですから、対応すべき時代の変化を絞り込まないといけないのです。   もちろん

決算説明会資料で業界動向・企業動向を知るべし

経営戦略・経営計画を作成する際によく感じることがあります。それは経営者・経営幹部ですら業界動向や同業他社のことをあまりにも知らなすぎるということです。勿論、幹部になって現場を離れると業界の細かい動きをタイムリーに知ることは難しいかもしれませんが、全体の大きな動きすらよく分かっていない方が多いです。 そのようなことを感じた時、オススメしているのは同業の上場企業の決算説明会資料(決算プレゼンテーション資料ということもあります)を読み込むことです。上場企業の公表する資料としては決

変わるもの以上に、何が変わらず続いていくのかが大事

経営戦略を立案する過程において、今後大きく変化することに、時に機会と捉えたり、脅威と感じたりしがちなものです。   しかし、年末年始にビジネス関連の本や雑誌を読む中で、奇しくも2人の著名経営者が「変わらないこと」を大事にして経営戦略を立案することを薦めていました。   一人はジョフ・ベゾフ氏。言わずと知れたアマゾン・ドット・コムの創業者です。 彼は「変わらないものを軸に戦略を立てろ」と言っています。具体的には、お客様が変わらず求め続けるものを、「選択肢はより多く、価格はより安

長期事業構想が必要なたった一つの理由

ここのところ、10年先、20年先の会社の進む方向や到達したいビジョンを描く長期事業構想のお手伝いが続いています。お客さまとのディスカッションを通じて、社会や会社のあり方を考える良い機会になっています。 経営者ではなく、考え方を求心力にするこうした長期事業構想や経営計画が必要なのはなぜでしょうか。 なかには、先のことは分からないのだから描いても仕方がないという考えの経営者もいます。ただ、その経営者がいなくなったらどうでしょうか。会社は成り立つでしょうか。 短期的には成り立つ

強み資源を活かして新規事業を開拓する

12月25日の日経新聞で、「ゴルフの栄枯、命運握る 練習場利用16カ月増」というタイトルの記事が掲載されました。ゴルフは、ゴルフ人口減少、コロナ禍において3密でないレジャーとして価値再発見、松山選手の活躍などでブーム再来か、などいろいろなことが言われています。 同記事の一部を抜粋してみます。 ~~ゴルファー人口が減少する中、各地のゴルフ場が姿を変え始めている。「利用税」が自主財源の乏しい市町村財政を支えてきた側面があるだけに、若年層や地元住民、女性など、新規利用者の開拓策

楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する

先週末は、経営シミュレーション研修のファシリテーターを務めました。 架空の会社の社長になりきって、3期分の経営をするという内容です。外部環境の情報を読み解き、戦略を定め、財務諸表を作成しながら経営を疑似体験していきます。いくつかのグループに分かれて、ライバル会社同士として経営を進めていきます。 シミュレーション型研修に限りませんが、研修では振り返りの時間が大切です。結果に一喜一憂しているだけでは、進歩がありません。この研修では、期ごとに振り返りの時間を設けています。 振

確率50%の視点(2)

前回の投稿では、完全確率についてテーマにしました。完全確率とは、その物事を始める前から確率ベースで結果のすべてが予見できる状態のことでした。 一方で、どのような確率でどのような結果となるのかを定義できない物事の場合(不完全確率のテーマと称してみます)には、どのように向き合うべきでしょうか。 賭け事で不完全確率の代表格は、競馬が挙げられます。どの馬に賭けたら何倍のリターンが得られるのか、オッズで情報が得られますが、このオッズには根拠がありません。素人のファンが適当に買った投

確率50%の視点

先日、ある社長とお話する機会がありました。そのお話の中で「当たる確率が50%以上になるよう意思決定することが大切」という示唆が印象的でした。同社長の示唆の概要は、次の通りです。 ・経営層には様々な判断が求められる。判断とは、やることとやらないこと(やめること)を決めること。何をやるか、やらないか、単に当てずっぽうで選ぶと成功確率はシンプルに50%となる。 ・経営・マネジメントに100%はない。どこまでいっても未来のことは完全には分からない。その中で、50%より60、70、

老舗にあって、老舗にあらず(2)

前回の投稿では、創業150年の鈴廣グループについて取り上げました。 https://note.com/fujimotomasao/n/n4e43039ef50c 社是「老舗にあって、老舗にあらず」に沿って、「変えてはならないもの」と「変えなくてはならないもの」の両方を追求することの大切さについて考えました。今日もその続きです。 同社HPや日経新聞のサイト等で紹介されている情報を参照すると、例えば以下の取り組みが新たに始まっているようです。 ・「おさかなボール」を使用した

老舗にあって、老舗にあらず

小田原市に本拠を構える企業に、鈴廣グループがあります。鈴廣かまぼこ株式会社を中心としたグループで、かまぼこを中心に鈴廣ブランド商品の製造、販売、飲食サービス等も行っています。同社が新商品をリリースしたというニュースがありました。 同社は、創業150年の企業です。「食するとは、生命をいただき、生命をうつしかえること。その一翼を担うのが私たちの仕事。かけがえのない地球の中で、この役割こそわが天職。」を企業理念としています。「かまぼこの里」「かまぼこ博物館」なども運営されていて、

エビちゃんとアイちゃん(2)

前回の投稿では、エビデンスに依存する「エビちゃん」の盲点について取り上げました。物事を判断・意思決定する上でエビデンスは必要。しかし、その有効性には限界があり、過度な依存は前例がないと動けない思考停止状態を生んでしまうかもしれないという話でした。 https://note.com/fujimotomasao/n/n8702413437b9 今日は、「アイちゃん」について取り上げてみます。 「アイちゃん」とは、「アイデアマン」のことです。ここで言う「マン」は、特定の性別の人を

エビちゃんとアイちゃん

先日、ある企業様の幹部会議に参加する機会がありました。そのとき耳にした問いかけのひとつが、「それはアイデアとしては面白いが、確度を説明するエビデンスがあるのか?」でした。これに類する問いかけは、様々な組織の様々な場面で聞く機会があると思います。 Weblio辞書によると、エビデンスの意味について次のように説明されています。-「証拠」「裏付け」「科学的根拠」あるいは「形跡」といった意味で用いられる語 ある仮説や主張を訴えるにあたって、その根拠を説明できるデータや論理、と言い

景気拡大局面への備え

6月8日の日経新聞に、「今期増配、3社に1社」という記事が掲載されました。増配企業の比率が前期実績を上回るのは4年ぶりとのことです。同記事の一部を抜粋してみます。 ~~上場企業が株主への利益還元を積極化する。2022年3月期は村田製作所など3社に1社が前期よりも配当を増やす計画だ。増配企業の比率が前期実績を上回るのは4年ぶり。新型コロナウイルス禍による先行き不透明感が後退するなか、手元資金の確保から株主還元の拡大へシフトする企業が増えている。増配(復配含む)を見込む企業は全

転居しない転勤

5月31日の日経新聞で、「どこにいても働けますか(2) JTB赴任せずに「転勤」 仕事場選べる新制度」という記事が掲載されました。 JTB東京都品川区の部署に所属でも、実際は兵庫県の日本海側にある新温泉町の実家で勤務しているという社員の事例を紹介しながら、部署異動と転居を分別し働く場所を選べる制度にした(「ふるさとワーク」制度)という説明でした。必要な時にだけ現地に行けばよくて、住む場所自体を強制移動する必要がないという考え方です。雇用を取り巻く環境が日々変わっているのを実